多良木町の養鶏場で発生した高病原性鳥インフルエンザの終息を宣言した蒲島郁夫知事は8日、農林水産省の小里泰弘政務官と県庁で会談した。蒲島知事は「迅速な初動が感染拡大と風評被害の防止につながった」と強調。小里政務官は、県の対応をモデルケースとし、国や全国の自治体で教訓を共有していく考えを示した。
消毒槽を撤去し、舗装工事をする作業員。県の防疫対応は、国内における鳥インフルエンザ対策のモデルケースとなる=8日午後、人吉市鬼木町の人吉IC(横井誠)
県は今回の初動防疫で、遺伝子検査で感染が確定する前に職員を現地に派遣し、鶏の殺処分の準備を始めた。
知事はこの点に関し「確実な検査結果の前に大勢の職員を動かすのはリスクが伴うが、感染が広がった場合のコストに比べれば問題は小さい」と説明。家畜伝染病で自治体が迅速な対応をするため、「出動が空振りに終わった場合の費用負担も国で十分考えてほしい」と要望した。
小里氏は「養鶏業者の早期通報に加え、日頃の演習や備えが十分だったことが大きかった」と県などの対応を評価。鶏11万2千羽を殺処分された発生養鶏場に対し、早期に手当金を支給する考えを示した。
県は、今回の防疫対応を踏まえて(1)現場の指揮命令(2)防疫資材の管理(3)情報伝達手段の確保-などの課題を洗い出し、6月末をめどに防疫対策マニュアルを見直す。(蔵原博康)
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