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**P
どういうきっかけでこの人の動画を知ったのか今となってはぜんぜん覚えていないんだけれど、最初に印象を残したのは『カントリーガール』だったことは覚えている。渋くてうまいなあと思ったのを覚えている。アドビの高い映像編集ソフトを使って画面の色を変えている動画は山ほどあるなかで、それを単に画面を華やかにするためではなく、動画内の物語を表現するために、実務的に使われていたというところに、とても面白さを感じ、作者の冴えた感性を感じ、また、これをやったのはただの能天気なアイマスファンではない、斜に構えた気取り屋野郎かもしれないと感じさせられたのを覚えている。
この人の動画からは、いつも作者の意識とでもいうようなものを感じさせられる。映像がアップになった時、ロングになった時、色調が変わった時、スローになった時、すべての映像操作が、動画としての自然な流れではなく、作者の確かな意図によって動かされたものであるということがとてもはっきりと伝わってくる。黒子に徹するつもりで付けたであろうP名にもかかわらず、ほかの多くの動画と比べても作者としてのPの存在を動画の背後に強く感じさせられるのは、皮肉でもあり、奇妙で面白くもある。作者アイコンの律子の鋭い目つきも、それに一役買っていると思う。
感ずるに、この人の動画にはなにも装飾がない。アドビの高い映像編集ソフトを使って画面の色を変えたりしているにもかかわらず、私たちはまるでアイマス2のキャプチャ映像を生のまま見せられているかのように錯覚させられる。構成においてもそれは同じだ。この人の動画を面白く感じて笑うときの笑いは、アイマスのゲームプレイ中に現れる、コミュのヘンテコな会話を見て笑うのと同じ感覚の笑いであることに気付く。自分が今見ている映像が、人が作ったアイマスMADなのか、それともアイマスのゲームプレイそのものなのか、だんだん区別がつかなくなってくる。それは、二次創作としては、ひとつの理想の形なのではないかと思うことがある。
音楽も映像編集もきわめてなめらかでありながら、同時にこれが二次創作の作りものであるということを隠す気がないかのようで、動画としての自然さと不自然さがまったく等しい存在感で両立している。数あるアイマスMADのなかでも、種類としてはかなり特殊な作風といえるだろうが、『アイマスMAD動画』という単語を具現するものとして**Pの動画以上のものはない。アイマスMADを観たいなら、まずはこの人のマイリストにアクセスしよう。
YJT
**P主催の、新着アイマスMADPV視聴コミュニティ『YJT』の開設3周年記念に寄せて。
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