May 8, 2014
米政府は6日、気候変動に関する総合的なレポート「第3次アメリカ気候評価」を発表し、地球温暖化に伴う諸問題が、既に一般のアメリカ人にも影響を与えていると警告、温暖化ガスの排出削減にさらなる措置が必要であると訴えた。
「この結論が示唆することは、気候変動の脅威と戦い、今日のアメリカ市民と地域社会を守り、子や孫の世代までも持続可能な未来を残すために、緊急の対策が必要であるということだ」と、ホワイトハウスは声明を出した。
「アメリカ気候評価」は、13の連邦政府機関と300人以上の科学者および専門家の協力を得、さらにビジネス界からの意見も取り入れて、アメリカ国内での10年以上にわたる気候変動の影響をまとめた最も包括的なレポートである。
シエラクラブの執行役員マイケル・ブルーン(Michael Brune)氏は、「もはやこれまでのように見過ごすわけには行かない、人々の目・・・
「この結論が示唆することは、気候変動の脅威と戦い、今日のアメリカ市民と地域社会を守り、子や孫の世代までも持続可能な未来を残すために、緊急の対策が必要であるということだ」と、ホワイトハウスは声明を出した。
「アメリカ気候評価」は、13の連邦政府機関と300人以上の科学者および専門家の協力を得、さらにビジネス界からの意見も取り入れて、アメリカ国内での10年以上にわたる気候変動の影響をまとめた最も包括的なレポートである。
シエラクラブの執行役員マイケル・ブルーン(Michael Brune)氏は、「もはやこれまでのように見過ごすわけには行かない、人々の目を覚まさせる報告書だ」と評価している。
「アメリカの家庭は既に、気候変動の危機による激しい天候と健康被害の犠牲となっている。ここで行動を起こさなければ、全米各地で人々の健康、地域社会、経済への負担は激増するばかりだ」。
しかし、保守派団体の中からは懐疑的な意見も出ている。自由主義のケイトー研究所はブログで、レポートが「温暖化がもたらす悪い影響ばかりに焦点を置き、好ましい面を却下するか、完全に無視している」と書いた。具体的には、気温が上昇すれば、人々は暑さに慣れるものだと主張する。
◆焦点は今現在に
専門家の審査を受けている「気候評価」は、気候変動が原因で、激しさを増す天候やインフラの破壊など、経済、公衆衛生、生態環境に既に実質的な被害が出ていると主張する。例えば、西部の干ばつや東部での洪水による道路損壊などだ。
温暖化ガス排出を削減し、気候変動による影響を抑えるための手段は多くとられているが、レポートによると、特に地方レベルでの措置はまだ不十分であるという。
そこで、全米の地方自治体がどのように気候変動に対応すれば良いのかの指針も示されている。例えば、海岸沿いの町では、海面上昇にどのように備えるべきか、西部では干ばつや森林火災への対策などをアドバイスしている。
◆アメリカ国内への影響
レポートによると、1895年の記録開始以来、全米の平均気温は摂氏2.7度上昇したという。その上昇率のうち80%が1980年以降に起こったものだ。
これほどの規模の気候変動が起こったことで、建設業、交通、農業、林業、さらには人々の健康まで、国内の様々な分野に影響が出始めている。
今後ますます森林火災は増加し、大気質が低下し、昆虫や食料、水を媒介した病気が増え、中でも特に子どもや高齢者、体の弱い人々に健康被害が増加することが予想される。
気候変動は他にも、自然環境を破壊し、生物の住処を奪い、それによって洪水管理や水域の維持など重要な「サービス」を提供してくれる生態系にも影響が出ると、レポートは警告している。
Photograph by David McNew / Getty