STAP細胞:石井・理研調査委員長が辞任
毎日新聞 2014年04月25日 12時13分(最終更新 04月25日 14時05分)
◇「自身の論文に不正の疑義」理由に
新たな万能細胞「STAP細胞」の論文に不正があったとされる問題で理化学研究所の調査委員長を務めた石井俊輔・理研上席研究員が25日、自身の論文に不正の疑義が出たことを理由に委員長を辞任した。調査委は、STAP細胞論文の不正問題で著者の小保方(おぼかた)晴子・理研研究ユニットリーダーから出された不服申し立てについて審査中。最終報告の取り扱いや、再調査の判断に影響が出そうだ。
石井氏は24日夜に委員長の辞任を申し出ており、理研が25日に受理した。後任の委員長は、調査委員の一人の渡部惇弁護士と決めた。また、理研は石井氏の論文不正疑惑の指摘について予備調査を始めた。不正の疑いがあると判断すれば、STAP細胞論文と同様に調査委を発足させる。
石井氏は同日、「このような状況で委員長を続けることは迷惑をかける。身を引くことが賢明と判断した」とコメントを発表した。
インターネット上で、石井氏が2004年と08年に責任著者として発表したがんに関する2本の論文について、画像の切り張りや使い回しが指摘された。石井氏はコメントで、08年の論文で画像の順番を入れ替えていたことを認め、切り張り部分を明示する白線を、新たに加える訂正を雑誌編集部に申し入れたと説明した。04年の論文の切り張りは「当時としては問題ない」とし、いずれも実験データがそろっていることから、「不正はない」とした。
日本分子生物学会の幹部は「自分の論文の切り張りは問題なく、STAP論文の切り張りは不正と言うのはかなりきつい」と話す。【渡辺諒、相良美成】