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シゴトノオト
シゴトがうまくいくヒントがありそう!人気のコノ人に「シゴト」について聞きました
月曜更新
くぼたまさたか1988年8月6日生まれ、神奈川県出身。2006年ドラマ『チェケラッチョ!! in TOKYO』主演でデビュー。ドラマ『ゲゲゲの女房』『平清盛』、映画『ふがいない僕は空を見た』などで好演。13年には舞台『唐版 滝の白糸』や映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』、ドラマ『SUMMER NUDE』、14年は映画『抱きしめたい-真実の物語-』、連続テレビ小説『花子とアン』など、話題作への出演が続いている。
演技という「嘘」の世界を
「本物」にするための挑戦
撮影中、笑顔でおどけてみせる窪田正孝は、終始リラックスムード。
あえてつくっていた雰囲気だと、インタビューしてわかった。
「期待されるものに応えられるよう、構えないようにしているんです」。
これが、若手実力派俳優としての評価に繋がっているのだろう。
強い自己主張なんてない。与えられた役割を冷静に見つめ、責任を持って果たす。
「誰からも求められる存在」として成長しながら、この大切さを彼は証明してみせる。
人との出会いに恵まれ
「俳優」として目覚める
10年前は自分が映像の中にいるなんて姿、想像もできませんでした。確かに映画やドラマが好きでよく観ていたけれど、「ココに映るんだ!」というような意気込みはありませんでした。母のすすめでオーディションを受けることになったのですが、会場内に入ったとき、その雰囲気に圧倒され、衝撃を受けました。家で観ていたドラマ『WATER BOYS』や『世界の中心で、愛をさけぶ』などに出演していた先輩たちのそばで、自分も誰かを感動させるような作品に関わりたいと思ったんです。
それからは、自分でハードルを決め挑戦し、少しずつ自分を強くしていく……、今でもその繰り返しです。「俳優」としての原点と言えるのは、ドラマ『ケータイ捜査官7』への出演です。1年間携わり、現場でのできごとや撮影風景など、今でもしっかり記憶に残っています。人との出会いが一番大きかったですね。この作品は「いつもは映画をつくっているスタッフたちが、TVドラマをつくる」というダイナミックな企画でした。三池崇史監督を筆頭に、職人気質な人たちばかりの現場で、学べることがすごく多くかったです。スタッフさんたちにはそんな感覚はなかったかもしれませんですが、俳優として育ててもらった場です。体を張るシーンもたくさんあり、まさに「体当たり」。演技ってこんな感じなのかなって、ちょっとずつ感覚がつかめた感じでした。
柔軟に反応するため
緊張感をコントロール
ドラマや映画は、大勢のスタッフさんが見守る中でカメラを回し、カメラの前で演技をしていくのですが、それって不自然なこと、ですよね。だけど、撮影した映像が監督さんによって編集されると、役者しか映っていなくて、リアルを切り取ったかのような作品に仕上がる。これが映像の魅力なんだと思います。三池崇史監督がおっしゃった「インチキがうまくなったな」という言葉がすごく記憶に残ってて。いろんな意味が含まれている気もするし、もしかしたら、冗談だった気もします。演技は嘘、その嘘の真ん中で、嘘をつき続けられたらいいなと思っています。「嘘を超えて本当にする」、これが一番の理想です。普段の会話はまさにキャッチボールですが、セリフとして用意されると、お互いに構えちゃう、それを「本当に」キャッチボールできれば、演技が自然に見せられるんじゃないかと思うんです。相手の役者さんからもらったものを受け、それをまた僕が返す。そんなイメージで演技をしています。3月からはじまった朝の連続テレビ小説『花子とアン』でも、同じことを意識しています。木場朝市という、吉高由里子さんが演じる花子のことが大好きで、彼女が変われば彼も変わる、という男子なんです。だから僕も、花子役の吉高さんの表情やリアクションを常に見て、柔軟な対応を心がけながら朝市くんを演じています。昔は「ああしたい、こうしたい」と、ある種のこだわりがありましたが、今は演技をつくらなくなりました。自分の演技を一歩引いて見ることができるようになったのかも知れません。構え過ぎると演技が崩せず、求められているものに反応できなくなってしまう。現場に入るとどうしても背筋がピシッっとなってしまいがちですが、控え室で待機しているときのような、ほどよい緊張を持続できたらなと思っています。監督のOKを信じて、演じるのみです。
続けて芽生えた
次のステップへの欲望
蜷川幸雄さんの舞台の本番と並行して撮影していた今度公開する『闇金ウシジマくん Part 2』の山口雅俊監督は、頭の中でつくりたいものが全部できあがっているんです。芝居の動きを細かく指導してくれる一方で、セリフも現場でバンバン変えていく、長ゼリフも容赦なく変わっていく(笑) それをワンカットで撮影したり……(笑) もう、食らいついていくしかなかったです。監督が「作品の登場人物はみんな〈まじめな人たち〉」と言っていたのが印象的でした。
裏社会やアウトサイダーな生きかたの面々で、取り組むシゴトにそれぞれカラーがあるけど、自分たちのシゴトをまじめやっているだけなんだ、と。僕の演じたホストもそうで、役づくりのために、実際にプロのホストのかたに指導していただきました。新人に教えるように皆さん親切でいて厳しく、配役を通してコミュニケーションが取れる楽しさを学びました。そこをもっと追究して、どんどん新しいことに挑戦していきたいと思っています。そういう意味では、欲が出てきましたね。主役も脇役もできる役者でありたいし、芸人さんと絡んで、思いっきりコメディもしてみたい。「何かを残せる」、人の印象に、心に、そして「窪田って役者、いるよね」と「残る」役者になりたいですね。そのためには、このシゴトで残って行かないと、ですね。
©2014真鍋昌平・小学館/
映画「闇金ウシジマくん2」製作委員会
あの史上最悪の問題作エンターテインメント『闇金ウシジマくん』が帰ってくる! 現代社会の闇を容赦なくえぐり、その先のわずかな光を予感させるハードな内容ながら、2011年『小学館漫画賞』を受賞した真鍋昌平の原作コミックをリアルに実写化し、深夜ドラマから映画へと展開した前シリーズから2年。映画&DVDの大ヒットを受けて、待望の続編決定!
■出演:山田孝之 綾野剛 菅田将暉 窪田正孝 ■監督:山口雅俊