安倍政権が法案を国会提出した国家安全保障会議(日本版NSC)の設置計画。日本の安全保障の能力向上に役立つと「期待する」との回答が約7割を占めました。政府にはこの声に応えるような組織・人材づくりに努めてもらいたいものです。
「期待する」という読者のコメントをみましょう。
○役所は意思決定が遅いので、トップダウンが必要だ(29歳、男性)
○そういう組織ができることが国全体への意識付けになる(40歳、男性)
○中国や韓国へのアピールになる(56歳、男性)
安保を真剣に考えているという姿勢を内外に示すことそのものが安保力の向上につながるというのはその通りだと思います。
もっとも、「期待する」という読者も「期待できるというよりも期待したい」(31歳、男性)など願望的な回答がかなりありました。中国の海洋進出などに有効に対処できない日本の現状への焦燥感が伝わってきます。
期待できないとみる読者のコメントはほぼ裏返しでした。
○情報機関を持たないのに何をよりどころにするのか(51歳、男性)
○安保の専門家がいないのにつくるのは安倍首相の自己満足(63歳、男性)
回答総数 | 779人 |
---|---|
男性 | 95 % |
女性 | 5 % |
20代 | 5 % |
30代 | 11 % |
40代 | 21 % |
50代 | 23 % |
60代 | 27 % |
70代 | 11 % |
80代以上 | 1 % |
小数点以下を四捨五入
したため、合計は100%にならない
つくるなというのではなく、看板だけ掛けても意味がないというニュアンスの回答が大半でした。
今回は女性読者からの回答がほとんどありませんでした。国の安全をどう考えるかは性別に関係なく重要な課題です。
安保担当首相補佐官を誰に委嘱するのがよいのか。こちらは自衛隊OBという回答が最多でした。軍事がわかる人が必要だという考えなのでしょう。「現職自衛官」(65歳、男性)という回答もありました。
オバマ米大統領が政権発足時に起用したのが海兵隊の元幹部だったのに倣ったのかもしれません。ただ、「その他」に登場するかと思ったキッシンジャーのような国際政治学者の起用を推した読者はいませんでした。
米国では最もよくある選択ですが、日本では学者=浮世離れした人というイメージが強いのでしょう。
「その他」で多かった提案は「英米の専門家に来てもらうべきだ」(28歳、男性)でした。明治政府が欧米の学者を多数迎え入れたのに似ています。面白いアイデアですが、自国の安全を他国の人に委ねるのは現実的ではないでしょう。
欧米に追いつき追い越せの時代は終わりました。外国に理想のモデルがあるという考えは改め、日本の生き残りは日本人自身が考えるしかありません。
オバマ、森本敏