それでまあ、今回取り上げたいのは、公共投資叩きとMF理論です。
以前、三橋貴明さんがチャンネル桜の番組でマンデル・フレミングモデルは今の日本では成立しないと主張し、その後すかさず上念司が「MF理論を批判するなら、ノーベル賞を取ってから批判しろ」と叫び、それに対して中野剛志さんが「そもそも、ノーベル賞とノーベル経済学賞は違う」と一石を投じたことで、すっかり一部保守業界でも有名なMF理論なのですが、そもそも「本当にノーベル賞を取らないと批判できないような完全無欠の理論なのでしょうか?」ということについて考えてみたいと思います。
先に断っておきますが、はっきり言って、私には全くMF理論の数式は理解できませんし、ましてノーベル賞なんて絶対に取ることはできません。まあ、そもそもノーベル賞とMF理論は全くなんの関係もないのですが・・・
まあ、それでも簡単に批判することは可能です。まず、最初に「MF理論とはなんぞや?」という方のために説明すると、MF理論とは、公共投資を行って内需を拡大しても、金利の上昇と通貨の切り上げによって、その内需拡大効果が相殺されるという理論です。
「これで、そうか!!やっぱり公共事業はやっても景気回復しないんだ!!」
と考えるのは、早計で、たとえば、WikipediaでMF理論を調べてみるだけでも、次のような記述があります。
基本的なモデルでは、資本移動が完全に自由であること、自国の金利変化が世界の金利に影響を与えない小国であることを仮定する。
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AB%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB#cite_note-12)
「自国の金利変化が世界の金利に影響を与えない小国であることを仮定する」とありますが、言うまでもなく、日本は未だ世界第3位のGDPを持つ経済大国であり、どう考えても小国ではありません。実際に、先の説明をさらに読み進めると、
マンデルフレミングモデルは小国開放経済モデルであり、かつ資本移動の自由が完全であることが仮定されている。よって、自国の行動が世界的な金利にも影響を与える米国のような大国や、資本移動が完全に自由とは言えない国においては、マンデルフレミングモデルに基づく効果は減衰して表れることとなる。
とあります。さらに、菊池英博さんや宍戸駿太郎先生は、日本のように輸出依存度、輸入依存度の低い内需大国は外需依存度の高い小国と比較してMFの効果は小さくなると説明しています。
しかし、経済学者の原田泰は「1990年代以降、政府支出の増大で景気刺激策を行ったが、金融緩和をしていなかったので政府支出の効果はほとんどなかった」と指摘しており、また時計泥棒の高橋洋一氏は「1990年代の日本は公共投資を連発したにも関わらず、一向に景気は回復せず、巨額の国家債務だけが残ったのも、マンデル・フレミング理論で説明できる。」と述べています。
それでは、本当に日本は90年代以降MF効果により、公共投資のGDPの押し上げ効果は相殺されたのでしょうか?
しかし、藤井聡さんは「「1990年代」における、名目GDPと政府系の建設投資額の推移」をグラフ化し
この結果を「ご覧のように、政府系投資額が右肩上がりで伸びているうちは名目GDPが伸び、その減少局面では名目GDPも減少していく。」と説明しています。
この結果から、時計泥棒の「1990年代の日本は公共投資を連発したにも関わらず、一向に景気は回復せず、巨額の国家債務だけが残った」という説明と、原田泰氏の「1990年代以降、政府支出の増大で景気刺激策を行ったが、金融緩和をしていなかったので政府支出の効果はほとんどなかった」という解説は嘘っぱちであったということが理解できるでしょう。
ちなみに、この結果について、五流大学のハゲが反論しているのですが、それについても再反論してみようと思います。
いい歳して「ヒント」とかやってる時点で痛々しさ満載なのですが、それは置いておいて実際に期間を延長して取ったグラフがコチラ
見にくいのですが、ここから何がわかるのかというと、簡単に言えば1997年以降ほぼ一貫して、公共投資の額を減らしてきたにも関わらず、GDPは上下し、90年代ではキレイに相関関係を描いていた名目GDPと公共投資額の関係性が変化します。
多くの人が、これを見て
「おい、藤井!!こりゃあインチキじゃねーか!!お前も名目GDPと公共投資額が綺麗に相関が出る期間だけ抜き出してるじゃねーか!!」
と思うかもしれませんが、実はそれは少し早計です・・・。
先の図の注意書きを読めばわかるように、藤井聡さんが相関関係があるとしているのは「「総輸出額」の変動による影響を除去した」名目GDPと公共投資の額、つまり内需のことなんですね。それでは、実際に、総輸出額の影響を除去してグラフを作ると次のようになります。
非常に強く相関関係が表れますね。
つまり、なにやら凄い発見でもしたかのように「延長するとどうなるか? 調べよw」とか書いているのですが、別に調べたところで、なんの矛盾もおかしな点も見られない。藤井聡さんが書いているままのデータが出てくるわけです。
さらに言えば、ついでに言うならこれは、「1990年以降、政府支出の増大で景気刺激策を行ってきたとき」には、MFモデルの影響で、公共事業による効果は「ほとんどなかった」という原田発言に対する反論であり、90年代後半までしか公共投資の増額を行っていない以上、この公共投資を増額している期間中景気刺激の効果は存在したということは十分成り立つわけです。
それで、まあ、実は先日の上念司氏とのやりとりで、この総輸出額による影響について指摘したところ、次のような返答が返ってきました。
@KATSUNAMA 輸出の寄与度!出た、それ擁護しているつもりで全否定ってやつです。2000年以降はまさにマンデルフレミング効果が発揮されて輸出に影響が出たってこと認めちゃってるじゃん。自分で何言ってるかわかってますか?
— 上念 司 (@smith796000) 2014, 5月 2
「じゃん」って、上念氏は横浜出身なんですかね?ああいいや、2000年以降MF効果で、輸出に影響が出たとしていますが、本当にそうでしょうか?
上のグラフでは、2003年頃から(見にくくてすいません)公共投資の額をほぼ一貫して減らし続けているにも関わらず、名目GDPの上昇が見られます。これを上念氏は自信満々に「これこそMF効果だ!!」と述べているのですが、本当にそうでしょうか?
↓むしろ本当の原因はこっちでしょ?
これはアメリカの貿易収支のデータですが、2002年以降大幅に貿易赤字を増やしています。この時期はアメリカが膨大な貿易赤字を垂れ流すことで、世界各国がアメリカに大量に輸出を行い、それによって世界的な好景気を支えていました。これを、なにか、日本の公共投資額の変化による金利差のみから起こった日本特有の現象と述べるのはあまりにも無理があるでしょう。そもそも、MF理論の効果による変化を主張するなら、なぜ90年代にはMFの効果がほとんど現れず、アメリカが貿易赤字を大幅に増やした2000年代に入って突然その効果が発揮されたのかが謎です。
田中秀臣は、ブログで
「Twitterでつぶやいたことをまとめただけ。ヒントをもとにした解答編はチャンネルくららで五月中旬以降動画を配信予定。
以下では、藤井論文の主張を5点にまとめ、それぞれについて批判的に検討するための「ヒント」を列挙する。」
などと書いているのですが、なぜいつでも、反論を受け付けるとしている藤井聡さんのもとに反論の文章を贈らないのでしょうか?全く謎です。ついでに言うと、田中先生が、なぜツイッターで議論に負けそうになると突然ブロックし、ブロックした相手のフォロワーの、そのまたフォロワーにまで3親等ブロックするのかも謎です。さらいに言うと、日本で3本の指に入るほど経済学を学んでいる田中先生が、内閣参与どころか国公立大からも声がかからないのも不思議です。やはりこれも、木下が危険の芽を何一つ見逃さず手を打ってきているということでしょうか?
しかしよりのよってこの僕に「国家観や民族がある経済学」の話をどこの誰ともわからない匿名がいってくるとは 笑。悪いけど、たぶん日本で3本の指にはいるくらいその種の経済学を学んでる人間なんよ。だからそんな類の経済学の陥る罠も十分に知ってるつもり。本当に教養のない連中とは語るのも面倒。
— 田中秀臣 (@hidetomitanaka) 2013, 12月 15
藤井聡「いつでも反論受け付けます!!」
ペラ「論文精査します(キリ」
ハゲ「今回は、このブログでヒントを出しておこうかな・・・解答編は5月のチャンネルくららで喋ろうかな」
馬鹿「うおーやっぱり藤井なんて低脳な土建屋、田中先生上念先生最高!!」
はいはい、病人病人┐(´-`)┌
以前は、「なんで、こんな頭のオカシイ連中が支持されるんだろう?」と疑問に思っていましたが、最近では、もう「そういうもんだ」と思って諦めてます。
「私の師匠の 浜田先生(要出典)
デマと詭弁で金儲け 似非ケインジアン 似非ケインジアン 敵見えねぇ
詐欺 詐欺 詐欺 詐欺 詐欺 詐欺」
作詞 東田剛
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ASREADに寄稿しました!!⇒『消費税増税の問題点について改めて考える』 http://asread.info/archives/611
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「経常収支の推移」を出しながら「貿易の収支のデータですが」とか言ってるのもよく分からんが(経常収支と貿易収支の区別がついてない?)、アメリカの経常収支赤字が急拡大するのは1998年ころからだぞ。
藤井「公共事業が民間事業より非効率っていう根拠だせ!土建差別だ!新自由主義ガー」
飯田「民が事業をやるより、官がやるほうが良いなら、共産主義国のほうが経済成長しやすいということになる。それでいいんですか?」
↓
藤井逃亡 土建派D層「飯田って奴はとんでもない新自由主義者ですね!我々ドカタの力を思い知らせてやりましょう!!」
↓
D層がなぜか倉山スレを発狂しながら荒らす
ちなみに、私はリフレ派ではない。リフレ派も福祉派も土建派も官僚派も、全て官による経済介入として批判し全否定している。
土建派が最も悪質というだけの話。
私の話ではどうでしょうか。
「公共事業をしても一向に景気は回復しなかった。」
こういう話も成り立つと私は思っています。
図2からもそれが説明できます。
政府系投資額が減ると、名目GDPも伸び悩んでいる。
三橋さんや藤井さんのしてきた話というのは、今後ずっと公共事業に大金を使い続けろというものではなかった。
そうではなくて、公共事業が呼び水になるという論調の話をしていた。
しかしグラフからどういう事が言えるか?
公共事業などを増やしても経済が成長軌道に戻りそうにないという事が言えます。
起こらなかった事は、
● 公共事業で大勢の所得が増え、
↓
● 所得が増えた人達の消費が増え、
↓
● 消費が増えることで企業が人を雇い、投資も増え、
↓
● 毎年政府が莫大な借金をしなくてもいいるようになる、
こういった事でした。
求められるのは、政府がお金を使っている間だけ景気が良くなる様な政策ではないんです。
そういう政策ならば後でこんな批判が出ても仕方ありません。
「公共事業をしても一向に景気は回復しなかった。」
管理人さんはどう思いますか?
三橋さんも藤井さんも、今後ずっと大金を使い続けるような公共事業を勧めたりはしないでしょう。
ただ、呼び水の効果が怪しいことは図2からも解ります。
それでも「公共事業で景気回復」という話に賛成でしょうか?
三橋は嘘つきだ。