STAP細胞:小保方氏の反論却下「悪意は明らか」
毎日新聞 2014年05月08日 21時59分(最終更新 05月08日 22時32分)
新たな万能細胞とされる「STAP細胞」論文不正問題について、理化学研究所の調査委員会は8日、小保方(おぼかた)晴子・理研研究ユニットリーダー(30)が求めていた再調査をしないことを決め、論文不正が確定した。調査委は、小保方氏側の反論をことごとく退け、「悪意(故意)があったことは明らか」と認定した。「世紀の発見」として世界の注目を集めた研究成果は、発表から3カ月あまりで白紙に戻ることを突きつけられる事態となった。【須田桃子、八田浩輔、清水健二】
理研調査委員長の渡部惇弁護士はこの日の記者会見で、「今回の報告では不服申し立てに対し、従来の調査内容を織り込みながら詳細に検証した」と述べ、最終報告を変更しない根拠について一つずつ説明した。
◇「悪意」の意味
理研の規定は研究不正について、「悪意のない間違い及び意見の相違は含まない」とある。このため、小保方氏側は画像の不備について「過失であり、不正でない」と訴えた。調査委は「悪意」について「偽装など加害目的のような意図を必要とするものではない。故意と同じ」と説明した。
一方、渡部委員長は「小保方氏側に『悪意』という言葉に誤解があった。同じ規定で、一般的な意味で『悪意』という言葉を使った記載もあり、規定の文言にも問題がある」と述べ、米倉実・理研理事は「規定の見直しを検討する」と表明するなど、言葉遣いが混乱を招いたことを認めた。
◇改ざんの認定
「改ざん」とされた画像は、小保方氏は二つの実験を切り張りした事実を認めたものの、「結果自体は影響を受けない」と主張した。だが調査委は「小保方氏が一方の画像の大きさを科学的な考察や手順を踏まずに目で見て調整した結果、真正な画像でなくなった」と、その主張を退けた。
◇過失を認めず
「捏造(ねつぞう)」との認定には、小保方氏は「取り違えで、単なる過失」と訴えていた。しかし、調査委は▽別の科学誌に論文を投稿する際も同じ画像を使うなど画像の由来を確認する機会が2度以上あったのにしていなかった▽画像上に説明の文字を追加した跡があることに小保方氏自身が気付いていたことを認めた−−などの事実から、「異なる実験のデータである可能性を認識しながら使用していたと考えられ、失念したとは言えない」と結論付けた。