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女子中学生を連れ去るという価値観をどうすべきか

 4月14日に、ナイジェリアの北東部にあるボルノ州の女子中学校が襲撃を受け、生徒200人以上が連れ去れる事件が起こっており、いろいろ思うことがあったので、これについて少し。

1 反欧米

 今回の事件は報道によると、ボコ・ハラム(アラビア語で「欧米・禁止」)というイスラム系の組織で、さらわれたのは大半がキリスト教徒だそうです。

 彼らは、女子教育に反対しており、女性は家にいればよいという思想を持っているそうで、結果生徒を連れ去った後、学校に放火をするということも行っております。

 それ以外にも今回の事件の背景には、ナイジェリアはアフリカきっての産油国だが、その富は一部のものに独占されており、貧富の差もこうした事件の背景にあるとされております。

2 自由

 私は相対主義者で(相対主義)、他人に思想を強要されることをもっとも嫌う性格なので、こうした暴力で他人に自分の思想を押し付ける行動については断固反対の立場です。そのうえで思うのは、もし自分がこうした国々に生まれていたらどうなっていただろうということです。

 人はどう頑張っても言語を使って思考する以上、まず言語の影響を受けます。更に小さいころからどのような教育を受けてきたか、どのような両親に育てられたか等(親(オタク)が子育てに与える影響児童虐待という現実と放送)、社会環境の影響を受けて育つこととなります。

 結果、どうしても育った時代や、社会環境(含む家庭環境)の影響を受けるということになるわけですが、国際政治的に見ると生まれ育った国の影響という話になるかと思います。

 つまり、先進国に生まれればそれだけで乳児死亡率が低く、生き残る可能性が高くなります。言語も国際的に通用する言語を母国語とするかどうかによって、国際化の時代大きな影響を受けます。

 教育でも言論の自由、学問の自由があるかどうかによって、学べる知識に差が出てくるという話で、そうした知識を学ぶことができないところとそうでないところでは大きな差となります。

3 価値

 そういうところで学んだ人は自分のいるところ、受けた教育が制限されているところがおかしいと思いがちで、皆が自由に学べるようになるべきだと考え、そうした発想の普及に努めるわけで、これ自体は崇高な考えかと思います。

 ただ、問題はこれが結果として自分の価値観の押しつけになっていないかという面を考慮する必要があるという話です。

 例えば、今回の事件も広い意味で男女差別という話なるわけですが、「男女平等」と一言で言っても、何を目標とするかによって目指すところは大分異なってきます。

 例えば、文化の問題もあり、いわゆる「女人禁制」をすべて一概に男女差別とみなすのは多少乱暴だと思いますし、男子学生を受け入れない女子大が男女平等に違反しないのかという問題もあれば、性差を無視するようなことを目指す方もおられます。

4 多様化

 私自身、価値の多様化を理想としているわけですが、「価値」というものはどうしても他の発想を排除して成り立つ面もあれば、全く反対の相容れない価値観も存在します。

 そうすると、結果として私が理想とする価値観とは相いれない価値観(今回の事件もその一つ)をどうするかという問題が出てきます。

 憲法学などであるテーゼで、憲法で思想の自由が保障されている以上、憲法を否定する思想についても保護すべきかという問題とある種共通するものかと考えます。

5 最後に

 ただ、こうした思考は一種の思考的な遊びに過ぎず、あくまで思想(理屈)面で言えるだけの話であり、現実にはどこまで通用するのかという面もあります。

 私自身、価値の多様化などときれいごと言っておりますが、当然普段そんなに他人の意見ばかりを尊重して生活しているわけではありませんし、日常生活で全く付き合いたくない方、受け入れがたい思想をしておられる方というのもいらっしゃいます。

 また、冷戦時代ほどではありませんが、共通の価値観を有している人が増えるということは、ある種自分が生活しやすい社会が増えるという面もあります。

 そういう意味で、価値観が陣取り合戦の様な面を有していることを否定するつもりはありません(欧米との価値観の共有を狙う日本と中国)。

 私自身、価値の多様化を理想としているという点で、欧米的な「自由」を支持しておりますが、そうは考えない人から見れば余計なお世話になりかねず、そういう人たちの考えを排除するのは思ったほど簡単ではないし、一概に排除してよいのかいろいろ疑問に思っている面もあるという話です。

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