有識者らでつくる民間研究機関「日本創成会議」(座長・増田寛也元総務相)は8日、2040年までに全国の計896自治体で、20~39歳の女性が半減するとした独自の試算をまとめ、発表した。東北の県庁所在地も含まれ、このままでは人口減少が止まらず行政機能の維持が困難になるという。

 男女別の自治体間の移動状況、子どもの数などをもとに国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が昨年3月にまとめた人口推計データから、同会議が試算した。社人研は地方から大都市への人口流出は20年までに落ち着くと推計したが、同会議は大都市で医療・介護分野の求人が増えるため、現状のまま年間6万~8万人規模の流出が続くと仮定した。

 その結果、12年に子どもを産んだ女性の9割以上を占める20~39歳の「若年女性」の人口は、全国1800自治体(福島県のみ県単位、20政令指定都市のうち12市は区単位)のうち、10~40年には896(49・8%)で10年と比べて50%以上減り、373(20・7%)だった社人研の推計の2・4倍となった。男性も同様に減少する。

 若年女性が半減した自治体は、介護保険や医療保険などの社会保障の維持が困難で、雇用も確保しづらい「消滅可能性都市」になると指摘。896のうち人口が1万人を切る523は消滅の可能性が高いとした。

 全国で最も減少率が高かったのは、群馬県南牧(なんもく)村(89・9%減)。半減する自治体には県庁所在地の青森市(57・4%減)や秋田市(54・3%減)も含まれる。都道府県別にみると、東北4県と島根県で全市町村の8割以上が半減。秋田県では25市町村のうち大潟村を除く24市町村が半減する。

 同会議は、合計特殊出生率が全国最低の東京などの大都市に若者が吸い込まれて人口減が加速しているとも指摘。①地方ごとに拠点都市をつくり、周辺自治体を支える仕組みづくり②都市から住み替える人への税制優遇③出生率を35年までに2・1に引き上げること――などが必要と訴えた。(田中聡子、東郷隆、二階堂祐介)

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 「日本創成会議」の公表内容の詳細は公式ウェブサイト(http://www.policycouncil.jp/)で見ることができる。