ナチス略奪絵画、スイス美術館に遺贈を希望
2014年05月08日 16:38 発信地:ジュネーブ/スイス
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ドイツ・ミュンヘン(Munich)にある、ナチス・ドイツ(Nazi)が略奪した作品が大量に…
×ドイツ・ミュンヘン(Munich)にある、ナチス・ドイツ(Nazi)が略奪した作品が大量に発見された共同住宅(2013年11月4日撮影)。(c)AFP/CHRISTOF STACHE
【5月8日 AFP】ナチス・ドイツ(Nazi)がユダヤ人らから略奪したとみられる作品を含む絵画コレクションを保有し6日に死去したドイツの男性が、スイスの美術館へのコレクションの遺贈を希望していたことが分かり、スイスの美術館は7日、驚きを表明した。
スイス・ベルン(Bern)のベルン美術館(Kunstmuseum Bern)によると、父親がナチス体制下のドイツで画商だったコルネリウス・グルリット(Cornelius Gurlitt)氏(81)の弁護士が、同氏が死去した翌日に同美術館への遺贈の意思を伝えたという。
ベルン美術館は声明で、「うれしい驚き」ではあるが、そのコレクションにまつわる巨大な歴史的、法的問題に取り組まねばならないだろうと述べた。
また同美術館は、「グルリット氏がドイツ国外の美術館にコレクションを遺贈するとの憶測がメディアで広がっていたものの、同氏とベルン美術館の間にはつながりが全くなかったことから、このニュースは青天のへきれきだった」と述べている。
さらに、「感謝の意」を示した上で、コレクションの相続は「相当な責任」を負うことでもあり、「とりわけ法的、倫理的に慎重に扱うべき問題」を引き起こすだろうとの見解を示した。提供された資料を精査し、手続きを進める方法について「関係当局」に相談する方針だという。
ベルン美術館はすでにピカソ(Picasso)やパウル・クレー(Paul Klee)らの作品を収蔵しているが、グルリット氏のコレクションの相続は同美術館の広がりと質を劇的に高めることになる。(c)AFP/Nina LARSON