集団的自衛権:法整備、政府が原案 18件改正を明記

毎日新聞 2014年05月08日 06時00分

 邦人救出については相手国の同意を条件にするほか、憲法解釈上の「武力行使との一体化」の基準を明確化し、国連安保理決議に基づいて構成される多国籍軍に対して自衛隊が食糧・燃料の補給や医療支援ができるようにすべきだとした。

 自衛権発動には至らないものの、日本の主権が侵害されるおそれのある事態(グレーゾーン)としては、「武力攻撃に至らない侵害への対応」として例示。離島に外国人の武装集団が不法上陸したり、日本の民間船が公海上で襲撃されたりするなどの不法行為に対処するため、自衛隊の武器使用権限の見直しや、海上警備行動などの発令要件を緩和すべきだとした。

 そのうえで、こうした事例に対応するには、自衛隊法、国連平和維持活動(PKO)協力法、周辺事態法、武力攻撃事態対処法、日米物品役務相互提供協定(ACSA)など、少なくとも18の法律・協定の見直しが必要だと指摘している。

 ◇安全保障の法整備を巡る「政府方針」原案のポイント

<武力行使に該当する対応>

・朝鮮半島など近隣での有事の際、米軍を武力攻撃している外国に武器を運ぶ疑いのある不審船への強制的な乗船検査(臨検)や米艦の防護

・米国が他国から武力攻撃を受けた場合、米国の要請を受け、他国から米国へ向かう弾道ミサイル迎撃や米艦の防護、臨検

・日本への原油輸送ルートにあたる海峡など(シーレーン)を封鎖する機雷に対して、国際的な掃海活動に参加

<武力行使に当たらない国際協力など>

・他国への侵略行為に対抗し、国連安保理決議に基づく多国籍軍に食糧・燃料の補給や医療支援(「武力行使との一体化」の例外を明確化)

・外国でテロ集団が在外邦人の生命を脅かした場合、その国の同意があれば自衛隊に武器使用を認め、邦人を救出

・国連PKOに参加した自衛隊が、離れた場所の外国部隊や文民の救援要請に応じ、現場に駆け付けて武器を使用することを可能とする(駆け付け警護)

・国連PKOに参加した自衛隊に、文民らの輸送任務を妨害する暴徒に警告射撃するなどの武器使用を認める(任務遂行のための武器使用)

<武力攻撃に至らない侵害への対応>

・日本の離島に不法上陸した外国の武装集団に対処する自衛隊の武器使用権限の見直しなど

・公海上で日本の民間船を襲う外国の武装集団に対処する自衛隊の武器使用権限の見直しなど

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