集団的自衛権:法整備、政府が原案 18件改正を明記

毎日新聞 2014年05月08日 06時00分

 集団的自衛権の行使容認など安全保障に関する憲法解釈変更や法整備を巡り、安倍晋三首相が月内にも表明する「政府方針」の原案が7日判明した。対処すべき事態を「武力行使に該当する対応」「武力行使に当たらない国際協力など」「武力攻撃に至らない侵害への対応」の三つに分類し、それぞれ2〜4の事例を提示。自衛隊法など少なくとも18の法律・協定の改正を目指す。集団的自衛権の行使を念頭に置いた事例は米艦防護や強制的な船舶検査(臨検)などを盛り込む。

 政府方針は、首相が今後の与党協議に向けた、たたき台として示す。冒頭で「領土問題などアジア太平洋地域での緊張の高まり」を指摘し、集団的自衛権を行使できないなど、「従来の憲法解釈では十分対応できない」と疑問視している。

 集団的自衛権に関連する具体的な事例は「武力行使に該当する対応」に分類。日本近隣で武力攻撃が発生した場合の米艦防護と臨検について、攻撃国へ向かう不審船が日本周辺を通過するなど「放置すれば我が国に戦禍が及びかねない状況」を条件とし、「国民の生命・財産を守り抜くには米国や被害国の活動を支援し、(攻撃国の)企てを早期に阻止すべきだ」とした。

 武力攻撃を受けた米国から、米艦防護▽臨検▽弾道ミサイル迎撃−−など武力行使に該当する支援を要請された場合については、「支援しなければ日米の信頼が失われ、我が国有事に国民を守り抜けない」と説明。

 石油などの海上交通路(シーレーン)の機雷掃海は、日本経済と国民生活を維持するために不可欠だとし、「掃海に参加しなければ国際社会の理解も得られず、日本有事で国際社会が我が国を十分支援するのか」と指摘した。ただ、集団的自衛権の行使容認については公明党が難色を示しており、与党協議は難航必至だ。

 一方、「武力行使に当たらない国際協力など」に関しては、離れた場所の外国部隊や文民らを救援するための武器使用▽暴徒らによる任務の妨害を排除するための武器使用−−など、憲法が禁じる武力行使に当たるおそれがあるとして現在は認められていない事例を提示。武力行使に当たらないように「『国または国に準ずる組織』と敵対しない仕組み」を設けるべきだと提案している。

最新写真特集