日本一の高層ビル「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)の足もとで、1千台ともいわれる放置自転車があふれている。周辺には4千台分近い駐輪場が点在するが、ハルカスからは微妙に遠い。「面倒」「短時間だけ」と歩道にとめる人が後を絶たない。

 JR天王寺駅前に立つハルカスは、昨年6月に低層階の近鉄百貨店などが部分開業し、今年3月に全面開業した。3月だけで356万人が訪れたという。

 ただ、ビルの敷地内に駐輪場はない。近鉄百貨店などは、近くの駐輪場を利用するよう案内しているが、ハルカスの西側を通る「あべの筋」を歩くと、幅約3メートルの歩道に数十メートルにわたって放置自転車が連なる。

 阿倍野・天王寺地区は関西有数のターミナルで、以前から放置自転車が多かった。大阪市は約30年前から一帯を「自転車等放置禁止区域」に指定。条例に基づき、放置自転車は即時撤去できることになっており、阿倍野区域内の17カ所の駐輪場(計3866台分)の利用を呼びかけてきた。最初の数時間は無料で利用できるところが多い。

 しかし、大阪市が昨年10月の週末に調査したところ、区域内の放置自転車は1千台を超えた。一方で、駐輪場には1700~2千台分の空きがあった。多くがハルカスの周りに放置されていたという。

 大阪市は翌11月から、平日だけだった放置自転車の撤去作業を休日もするようにした。今年3月には、阿倍野区の広報誌で駐輪場の場所や料金を紹介した。

 それでも放置自転車はなかなか減らない。

 自転車をとめてハルカスに向かう人に理由を聞くと、「駐輪場がわからない」(40代主婦)、「離れた場所にとめるのが面倒」(20代女性)と答えた。