2014年5月8日01時04分
東京電力福島第一原子力発電所で2011年3月の原発事故の直後に被曝(ひばく)したのは、東電などの指示が不適切だったためだとして、復旧作業をしていた男性(48)が7日、東電や工事の元請け会社などに計1100万円の損害賠償を求める訴えを福島地裁いわき支部に起こした。弁護団によると、被曝した作業員が東電を訴えるのは初めてだという。
事故は11年3月24日に起きた。東電の元請けと下請けの作業員計6人が、津波で浸水した3号機のタービン建屋地下でケーブルを設置する作業にあたった。その際、汚染水にくるぶしまでつかった3人が最大で180ミリシーベルトの被曝をし、病院で治療を受けた。
訴状などによると、訴えた男性は汚染水には入らなかったが、汚染水につかった3人の近くで約1時間半にわたって作業をしたため、「少なくとも20ミリシーベルト以上の被曝をした」と主張。東電は3月18日に1号機で高濃度の汚染水を発見するなど危険を認識できたのに、男性らに「作業できる環境」と伝えていたと指摘したうえで、「安全配慮義務に違反し、無用に大量の被曝をさせた」と訴えている。男性にはこれまでのところ健康被害は出ていないという。
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