中国のインターネット産業は矛盾を抱えている。中国経済のどの分野よりも外国資本を多く集めているにもかかわらず、外国人は株式を1株も所有していないのだ。
外国人によるインターネット企業への出資を禁じる中国政府の規制の抜け道となっているのが「変動持ち分事業体(VIE)」だ。海外の投資家は中国ネット大手の騰訊控股(テンセント)や百度(バイドゥ)、アリババ集団などに巨額の持ち分がある。アリババは6日に米国で新規株式公開(IPO)を申請したばかり。これによって200億ドルの調達額と2000億ドルの時価総額を達成するかもしれない。
これに応じる投資家は、将来アリババの中国人投資家と論争になった場合、中国の裁判所で自らの持ち分が無効とされ、価値を失う可能性があると知ることになるだろう。
今回の大型上場は、不正会計の発覚などの不祥事が相次いで米国での上場から2年も遠ざかっていた中国企業が、上場を再開する象徴的なできごとになる。皮肉なことに不祥事の一つを引き起こしたのがアリババだった。
ところが記憶はすぐに薄れる。オグルヴィ・ファイナンシャル北京のニコラス・マンガナロ氏によると、アリババは今年「疑念に包まれた2年間を経て、業績が好転する上げ潮に乗っている」。
投資家はずぶとくないといけない。「(IPOの)目論見書を読んで『ちょっと待って。私は一体何を所有しているのか』と声を上げる投資家は少なくないだろう」とマンガナロ氏は話す。「中国当局は今まで見て見ぬふりをしてきた。だが、もし黙認をやめたらどうなるのか。もし訴訟を起こされたらどうなるか。それが心配だ」と指摘する。
■最大のリスクは中国政府による「VIE破綻」
00年に中国ネット企業がIPOを始めて以来、海外上場をめざす新興企業は外資規制を避けるためにVIEと呼ばれるオフショア会社を設立した。主にケイマン諸島を登記地とし、一連の契約を通じて「疑似的に」中国企業を所有している。だが、裁判になれば、契約上の権限に法的強制力があるのか疑わしいとアナリストはみている。
「VIE構造は必要とされる間は機能するが、その後は機能しなくなる。その点を多くの投資家が懸念している」と北京大学で会計学の教授を務めるポール・ジリス氏は指摘する。
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