■1点を重ね1点を守る

「東京ドームでの巨人戦は1勝2敗でもいい。その代わり、ホームのマツダ(広島)では負けないつもりでいく。2勝1敗以上がノルマ」

 今年「打倒巨人」を掲げる首位・広島の野村謙二郎監督(47)にはこんな構想があるという。さる球団関係者が明かした。東京ドームでは負け越してもいいなんて、ずいぶん控えめな目標ではある。それで巨人が倒せるのか。前出の関係者が続ける。

「狭くてボールが飛ぶ東京ドームではどうしたって空中戦になる。本塁打競争の打ち合いでは巨人には勝てない。仮にドームでウチに一発が出ても、選手には勘違いして欲しくない。だけど、マツダでは話は別。投手を中心にしっかり守る。足などを絡めながら中軸が仕事をする。1点を積み重ねて1点を守るカープの野球を貫ける。ホームで負けないつもりでいけば、巨人にも勝ち越せるという算段です」

 巨人は本拠地の東京ドームで圧倒的な強さを見せるものの敵地に赴くともろさが出る傾向がある。4年前はナゴヤドームで中日に9連敗。今季も甲子園の阪神戦で3連敗した。ただでさえ内弁慶なのだ。

 25日の首位攻防戦は、首位の広島が2位巨人をそのマツダスタジアムで撃破。巨人先発の杉内を六回途中5失点でKOし、7−3で先勝。3位に転落した巨人とのゲーム差を3に広げた。

 ゲーム差うんぬんより巨人の原辰徳監督(55)にとって気になるのは「マツダ恐怖症」だ。

■天然芝がクセモノ

 昨年9月にここで3タテを食らった。それ以来のマツダでの試合に敗れ、去年から4連敗。広島とは今季通算2勝2敗だが野村監督の思惑通りの展開になっている。巨人の中堅選手はこう話している。

「夏の広島はめちゃくちゃ暑い! 甲子園も暑いけど、体感気温は40度を超える。涼しいドームに慣れているから行きたくない球場。それと、メジャー式の日本では数少ない内野の天然芝がクセモノ。打球が死ぬし、バウンドが変わることもあってゴロをさばくのが難しい。内野はみんな神経を使っている」

 まだ4月だから暑さは関係ないだろう。別の選手は「真っ赤なスタンドの熱気と熱狂的カープファンのヤジが結構凄い。甲子園の阪神ファンも凄いけど、関西弁より広島弁の方がきつくて戸惑うところはあります」と話す。

 広島はホームで今季9勝2敗と確かに強い。試合前に「広島はバランスがいい」なんて余裕をかましていた原巨人を、さらに突き放しそうな気配だ。