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30歳の高1王者・高山判定3-0でV2

判定で2度目の防衛に成功し、マイクを手にワッショイ三唱する高山(撮影・加藤哉)
判定で2度目の防衛に成功し、マイクを手にワッショイ三唱する高山(撮影・加藤哉)

<プロボクシング:IBF世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦>◇7日◇大阪・ボディメーカーコロシアム

 王者高山勝成(30=仲里)が、血染めのV2を達成した。同級10位小野心(31=ワタナベ)と対戦。相手の左ストレートに苦戦も後半に猛攻。10、12回にダウンを奪って、3-0の判定で2度目の防衛に成功した。日本人初の4団体制覇へ、残るWBO王座との団体王座統一戦を大みそかに計画。ミニマム級では世界初の4団体ベルト総なめを狙う。戦績は27勝(10KO)6敗1無効試合。

 紳士的に殴りつけた。高山は10回、ロープに絡んだ小野の姿にレフェリーを見た。「反則負けは嫌だったから。止めるそぶりはなかった。勝負の世界なので」。確認してから右を5連発。ダウンを奪って、流れを引き寄せた。

 09年から4年半、海外で戦った。フィリピンでは空港から車で30分の宿泊ホテルに2時間半も遠回りされたこともある。10回の場面に「日本でずっとやっていたら止まるかもしれないが、僕には海外のキャリアがある」。12回にも右ボディーフックで2度目のダウンを奪った。8回まで採点は三者三様だったが、後半に一気に突き放した。リング上で「菊華高校のみんな、かっちゃん(勝成)勝ったで。また授業のノートみせてな~」と呼びかけた。

 15歳の春。「僕にとっての学校はジム」と高校に進学しなかった。「目標は世界王者」と紙に書いて中出トレーナーに渡した時、腕立て伏せを3回できなかった。同トレーナーは「一瞬の天才を感じさせるものはない。でも課題を修正することがずばぬけていた」。15年かけて3団体のベルトを集めて、ふと気がついた。「講演があっても思っていることをうまく話せない自分がいた。言葉の使い方、国語、英語…。勉学では中学で止まっていた」。

 今年4月、愛知・菊華高に入学した。半分の年である15歳の同級生と知り合った。練習の合間には参考書で1時間近く勉強する。30歳で新しい夢ができた。「勉強して引退したら教員も考えている。ボクシング部コーチとか」。

 V2を達成して、陣営は大みそかにWBO王者フランシス・ロドリゲス・ジュニア(20=メキシコ)との団体統一戦を見据える。高山は「WBO王者の都合もあるが、できれば年内に」とやる気十分。リミット47・6キロの同級で4団体王座を制覇すれば世界初。最軽量級で14年も戦い続ける高山に最高の勲章が加わる。【益田一弘】

 ◆高山勝成(たかやま・かつなり)1983年(昭58)5月12日、大阪市生まれ。大阪・鶴橋中2年でボクシングを始める。05年4月にWBC世界ミニマム級王者、06年11月にWBA同級暫定王者に。09年7月の世界戦に敗れ、当時日本未公認のWBO、IBFに挑戦するためJBC(日本ボクシングコミッション)に引退届を提出。昨年3月にIBF同級王座を獲得し3団体制覇を達成。同7月にJBCからライセンス再交付を受けて、同12月に初防衛。身長158センチの右ボクサーファイター。

 ◆ミニマム級の4団体制覇 世界でも例はない。WBCでV22のリカルド・ロペス(メキシコ)はWBA、WBOの3団体でストップ。他の階級ではバーナード・ホプキンス(米国)が09年9月にミドル級で4団体統一。複数階級の場合は、ノニト・ドネア(フィリピン)が11年2月にアジア勢初の4団体制覇を達成。

 [2014年5月8日9時43分 紙面から]

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