任天堂社長:新興市場向けに新型ゲーム機投入へ-来年にも
5月8日(ブルームバーグ):ゲーム機世界最大手、任天堂 の岩田聡社長はゲーム事業立て直しのため新興市場向けに新開発のゲーム機投入を準備する。8日に都内で行われたブルームバーグ・ニュースとのインタビューで語った。
新興市場へのアプローチについて岩田社長は「単純に廉価版の投入というのは正しくなく、新興国の市場ニーズに合わせた、まったく違うものを作らないとおそらく新興国で大きな結果は出せない」と指摘。その上で、価格と製品のバランスを根本的に考え直すと述べた。来年に取り組みを開始する。
2002年に同社社長に就任した岩田氏は、ゲーム人口の拡大を掲げて顧客を従来ゲームをしなかった層へ広げ、据え置き型ゲーム機Wii(ウィー)や携帯型ゲーム機DSのヒットにより、09年3月期には売上高を就任前の3倍超となる1兆8386億円まで伸ばした。しかしスマートフォン向けゲームの影響で業界構造が変化する中、円高や新ゲーム機の販売不振により前期で3年連続の営業赤字となっている。
キャラクターのIP活用については他社にライセンス利用させるだけでなく自社でも積極活用する方針で、今年の年末商戦に合わせて近距離無線通信(NFC)機能を埋め込んだキャラクターフィギュア(人形)を展開する。自分のゲーム機とフィギュアを連動させることが可能で、ゲームレベルなどを記録したフィギュアを別のゲーム機に読み込ませることでゲームの続きを楽しむこともできる。
不振のゲーム機「Wii(ウィー)U」の販売に関して岩田社長は「非常に悪かった」と述べた。その上で、この夏からUに電子マネー「スイカ」の決済機能を搭載することを明らかにした。
任天堂が7日発表した今期(15年3月期)の連結純利益見通しは200億円となり、市場予想を上回った。ブルームバーグ・データによるアナリスト15人の純利益予想は160億円だった。会社側は営業利益400億円(市場予想235億円)、売上高5900億円(同6013億円)と見込む。前期は純損益が232億円の赤字、営業損益は464億円の赤字と3期連続の赤字だった。
前期の赤字の主な要因はUの販売不振。今期は「マリオカート8」など新作ソフトに反転を期待している。市場にはスマホ向けゲーム投入により収益改善を求める声もあるが、任天堂はソフト供給は自社のゲーム機に限る姿勢を崩していない。
任天堂株は8日、前日比1.9%安の1万465円で午前取引を終えた。
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更新日時: 2014/05/08 12:02 JST