選挙:札幌市長選まで1年 上田市長の去就焦点 続投?知事選転身?引退? /北海道
毎日新聞 2014年05月06日 地方版
来年春の統一地方選で行われる予定の札幌市長選まで1年を切った。3期目の任期満了を迎える上田文雄市長(65)=前回は民主など推薦=が進退を明らかにしていないため、決戦の構図はあいまいなままだ。自民、民主両党の思惑が交錯する中、上田市長の去就に注目が集まっている。【山下智恵】
−−反自民の象徴だが
民主党道連は、札幌市長選と同時に来年春に行われる予定の知事選で、4選出馬への意欲を周囲に示しているとされる高橋はるみ知事(60)=前回は自民など推薦=への対抗馬として、上田市長の擁立を模索している。
その背景には高橋知事が高い支持率を誇る中、党勢回復の兆しが見えない焦りがある。これまで震災がれきの受け入れやエネルギー政策などを巡り高橋知事と対立してきた上田市長は「反自民」の象徴的な存在だ。民主党道議は「上田市長を知事選に担ぎ出せたとしても、高橋知事とはよくて互角。上田氏が駄目なら、5年後(次の次の市長選)を見据えて選挙をしないといけない」と話す。
ただ、上田市長は4月10日の定例記者会見で知事選への転身意向を問われ「それはない」と答えるなど、消極的な姿勢を示している。民主党道連は4月までに知事選候補者を決める予定だったが、延期を余儀なくされている。
上田氏の市長続投を望む声も根強い。民主党市議は「上田市長にはまだやり残したことがたくさんある。4選出馬を要請していく」と話す。ある市幹部は「市長選と市議選が同時に行われる中、党勢が衰えたままで民主党色を前面に出せない現状では『上田党』で選挙をするしかないはずだ」と民主党の内情を推測する。
−−自民、推薦巡り混乱
一方、自民党道連は今年1月、市長選の推薦候補に総務省自治大学校の元研究部長、本間奈々氏(45)を決めた。本間氏の推薦を決めるまでには混乱があった。
推薦決定の数日前、地元経済界の有志27人は札幌市の秋元克広副市長(56)を推薦するよう求める要望書を自民党札幌市支部連合会(札連)に提出。札連はその要望を検討することなく本間氏の推薦を決めた。しかしその後、札連会長の橋本聖子参院議員が混乱の責任を取って会長を辞任する一幕があった。
自民党市議は「宿敵である上田市長直系の副市長を担ぐのはおかしいとの声が根強く、『反上田』を掲げる町村信孝元官房長官が首を縦に振らなかった」と内幕を明かす。