選挙:滋賀県知事選 嘉田知事、3選不出馬 「未来」騒動、痛手に 続投、道断たれる

毎日新聞 2014年05月08日 大阪朝刊

 「もったいない」を合言葉に2006年に初当選してから8年。滋賀県の嘉田由紀子知事(63)=2期目=が7日、今夏の知事選に立候補しない考えを表明した。議会や業界の反発に遭いながらもダムや新幹線新駅の中止・凍結などに突き進んだ姿勢は、無党派層などから共感を集めた。しかし、2012年の日本未来の党の結成、分裂騒動で批判を浴びたことが引き金となり、3選出馬の道を断たれた。

 嘉田氏はこの日、民主党県連代表の三日月大造氏(42)らと政策集団「チームしが」の設立集会に出席し、あいさつの最後に知事選への不出馬を切り出した。「8年間の皆さんの支援に感謝します」。言い終わると目に涙を浮かべた。集会後の記者会見では「2期8年が区切りだと思っていた。しかし、『3期目も頑張って』という声が多く寄せられ、ぎりぎりまで迷った」と明かした。

 嘉田氏は06年、与野党相乗りの現職を破り、初当選。10年には民主などの支持も受け、過去最多の約42万票で再選を果たした。

 12年11月には、「卒原発」を旗印に小沢一郎衆院議員らと日本未来の党を結成した。しかし12月の衆院選で党は惨敗し、結党からわずか1カ月で分裂。嘉田氏に対し、党首と知事の「二足のわらじ」への批判が高まった。

 衆院選では、県内4小選挙区で民主現職が自民に全敗した。未来は4小選挙区での候補擁立を見送ったが、比例票を約8万票集め、民主や支持母体の連合から「未来がなければもっと比例復活できた」と恨み節が漏れた。こうした経緯から連合は嘉田氏の3選出馬に否定的な声が上がっていた。

 「気力や体力面で、24時間365日気が抜けない知事をあと4年するのは極めて厳しい」。この日、会見で弱気な一面も見せた嘉田氏。だがその足で東京に移動し、細川護熙、小泉純一郎両元首相が発起人となった「自然エネルギー推進会議」の設立総会に駆け付け、脱原発運動への高い関心をうかがわせた。嘉田氏は「勉強に来た」とだけ述べた。【加藤明子、石川勝義】

 ◇まだ活躍できる/疲れたのでは

 嘉田知事が、次期知事選への不出馬を表明し、市民団体や周辺自治体の首長らから、さまざまな声が上がった。

 隣接する福井県で自然再生エネルギーの普及に取り組むNPO法人、森のエネルギーフォーラムの増田頼保副理事長は「『卒原発』を掲げたのはインパクトがあった。実現まで続けてほしかった」と残念がった。

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