FreeBSD Daily Topics
2014年5月7日 /dev/full疑似デバイスファイル登場
src
- /dev/full is always full
FreeBSD 11.0-CURRENTに疑似デバイスファイル/dev/fullが追加されました(リビジョン265132)。/dev/fullはディスク容量がフル状態を模擬的に作り出しているデバイスファイルで,ディスク容量がフル状態になっている場合のソフトウェアの動作をチェックするといった目的で使われます。
図 新しく追加された/dev/full疑似デバイスファイル
$ ls -l /dev/full crw-rw-rw- 1 root wheel 0x9 May 3 14:39 /dev/full $
/dev/fullからデータを読み込むとNUL文字データ(0x00)が取り出されます。この動きは/dev/zeroと同じです。
図 読み込みに関しては/dev/fullは/dev/zeroと同じ
$ dd if=/dev/full bs=1 count=1 | hexdump 1+0 records in 1+0 records out 1 bytes transferred in 0.000026 secs (38480 bytes/sec) 0000000 0000 0000001 $
/dev/fullへデータを書き込もうとするとディスクに空きがないため書き込めないといったエラーメッセージが表示されます。
図 /dev/fullへ書き込もうとするとディスク容量にあまりがないので書き込めないと言われる
$ dd if=/dev/zero of=/dev/full bs=1 count=1 dd: /dev/full: No space left on device 1+0 records in 0+0 records out 0 bytes transferred in 0.000214 secs (0 bytes/sec) $
/dev/fullへ書き込みが実行されると,具体的には/usr/src/sys/dev/null/null.cの90行目近辺に記載されているfull_write関数が実行されます。この関数は次のようにENOSPCという値を返しているだけです。
リスト /dev/fullへの書き込みはENOSPCの値が返ってくるという処理だけ
86 /* ARGSUSED */ 87 static int 88 full_write(struct cdev *dev __unused, struct uio *uio __unused, int flags __unused) 89 { 90 91 return (ENOSPC); 92 }
ENOSPCは/usr/src/sys/sys/errno.hで次のように定義されているエラー番号で,コメントに説明があるように容量がフル状態でこれ以上書き込めないといったことを意味しています。
リスト ENOSPCはフル状態でこれ以上書き込めないことを示すエラー番号
#define ENOSPC 28 /* No space left on device */
/dev/fullの実装は/usr/src/sys/dev/null/null.cに追加されました。/usr/src/sys/dev/null/null.cには/dev/null,/dev/zero,/dev/fullの3つの疑似デバイスファイルのコードが混ざっています。この3つの疑似デバイスファイルが共通の処理をするところが多いため個別に分けるよりもマージしておくことができます。
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