脱原発:細川・小泉元首相が再び気勢

毎日新聞 2014年05月07日 21時39分(最終更新 05月08日 01時23分)

「自然エネルギー推進会議」の設立総会で、会場の拍手に応える細川護煕元首相(左)と小泉純一郎元首相(右)=東京都千代田区で2014年5月7日午後8時32分、丸山博撮影
「自然エネルギー推進会議」の設立総会で、会場の拍手に応える細川護煕元首相(左)と小泉純一郎元首相(右)=東京都千代田区で2014年5月7日午後8時32分、丸山博撮影

 脱原発を目指す細川護熙、小泉純一郎両元首相が再び動き出した。両氏は7日夜、東京都内の全国町村会館で原発ゼロと再生可能エネルギー普及を目指す一般社団法人「自然エネルギー推進会議」の設立総会を開催。細川氏は今年2月の東京都知事選で得票数3位とふるわなかったものの、「選挙に勝っても負けても、原発ゼロの国造りを目指す」(小泉氏)と気勢を上げた。

 午後6時半ごろ、細川、小泉両氏が会場に姿を見せると、大きな拍手がわいた。細川氏はあいさつで「体調不良」と言いながら、政府のエネルギー政策について「東京電力福島第1原発事故の反省も教訓もなしに、再稼働するのはとんでもない」と批判。細川氏が推進会議の代表理事に就き、哲学者の梅原猛氏、福島県南相馬市の桜井勝延市長らが発起人に名前を連ねた。

 出席者は立ち見を含めて約350人で、首長では2012年衆院選で「卒原発」を掲げ、日本未来の党を結党した滋賀県の嘉田由紀子知事も出席した。一方、国会議員の姿は少なく、目についたのは細川氏の秘書を務めた日本維新の会の松野頼久国会議員団幹事長、民主党の篠原孝元副農相、近藤昭一元副環境相ぐらい。都知事選で脱原発は主要な争点になっておらず、与野党とも小泉、細川両氏への警戒感や関心が薄れつつあるからだ。

 菅義偉官房長官は7日の記者会見で、細川、小泉両氏の動きについて「引退された方がいろんなことをやるのはいいのではないか」と突き放した。4月に閣議決定したエネルギー基本計画を踏まえ、「粛々と着実にやっていく」と表明。都知事選で細川氏を支援した民主党も、海江田万里代表が記者会見で「特に感想はない」と述べるにとどめた。

 安倍政権はエネルギー基本計画で、原子力規制委員会の審査で安全性が確認されれば、原発を再稼働させる方針を明記した。加速する原発推進の動きに対し、小泉氏は設立総会で身ぶり手ぶりを交えながら、「過去の人と言われようが、未来の世代のためにも、何と言われようと原発のない国造りのために頑張る」と力説した。

 脱原発の取り組みはどこまで広がるのか。会合後、細川氏は記者団の取材に対し「直接的に選挙にかかわることは考えていない」と表明。小泉氏も「細川氏を応援したのは例外中の例外だ。地方選挙、国政選挙で候補者を応援することはない」と述べた。選挙とは一線を画し、当面、国民運動に専念する−−2人の元首相による新たな挑戦が始まった。

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