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» 2014年05月08日 08時57分 UPDATE

「ザク」のモチーフは「背広」だった メカデザイナー大河原氏の先見性 傑作“ガンプラ”誕生秘話 (1/3)

「機動戦士ガンダム」は、ザクなど敵役も含む傑作メカを生み出した。「大人も夢中になれるメカをデザインしてほしい」。富野監督の高い要求に応えたのがメカデザイナーの大河原邦男さんだ。

[産経新聞]
産経新聞

 ガンダムにザク、グフ、ドム…。昭和54年にテレビで放送され、今年35周年を迎えた「機動戦士ガンダム」は、主人公の搭乗メカを始め、数々の敵役メカなどの傑作を生み出した。これらメカのプラモデルは“ガンプラ”と呼ばれ、国内外で累計4億個以上を販売、今も次々と新製品が作られている。「子供向けの玩具ではない、大人も夢中になれるメカをデザインしてほしい」。この富野由悠季総監督(72)の高い要求に応えたのが、人気アニメ「科学忍者隊ガッチャマン」で敵メカのデザインを担当した新進気鋭のメカニック・デザイナー、大河原邦男さん(66)だった。シリーズ第3回に登場するのは大河原さん。

私の脳の中にCADが入っている

画像 シャア専用の赤いザクが玄関に飾られた大河原邦男さんのアトリエ

 富野監督、キャラクター・デザイナーの安彦良和さん(66)、そしてメカニック・デザイナーの大河原さんの3人の自伝的漫画『「ガンダム」を創った男たち。』に登場する大河原さんは、工員のような帽子、つなぎ姿で描かれ、まるで町工場の頑固な工場長のようなキャラクターだ。

 これはもちろんデフォルメされ、ユーモラスに描かれた想像上の姿。実際の大河原さんは、おしゃれで物静かな紳士だ。だが、ペンを片手に机の前から離れないデザイナー−というイメージの枠にはおさまりきらない、たくましい創造性と好奇心に富んだ大河原さんの内面の姿を、大和田さんは“町の工場長”というキャラクターで的確に表現していることが分かる。

 昨年、大河原さんの東京都内のアトリエを取材で訪れた。アトリエの隣には通称「大河原ファクトリー」と呼ばれる工房があった。旋盤など数十種類の本格工作機械がずらりと並び、ここで大河原さんは自分でデザインしたメカを立体の造形物に仕上げていた。

 大河原さんは「私の頭の中には元々、CAD(コンピューター設計ソフト)が入っているようで、図面を描きながら同時に立体図がイメージできるんです。他のアニメーターも皆そうだと思っていたら、違うようで…」と苦笑した。

 「平面だけでデザインすると、立体になったときに、イメージとは違うフォルムになることが多い。ガンプラなど商品化されるメカデザインは最初から立体をイメージすることがとても重要なんです」

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