Updated: Tokyo  2014/05/08 08:40  |  New York  2014/05/07 19:40  |  London  2014/05/08 00:40
 

ロ大統領:ウクライナ国境から部隊撤収させた、住民投票延期を

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  5月7日(ブルームバーグ):ロシアのプーチン大統領はウクライナ東部の分離派らが計画している自治権をめぐる住民投票を延期するよう呼び掛けた。またウクライナとの国境沿いからロシア軍の部隊を撤収させたと言明したが、米国は撤収の兆候は見られないと指摘している。

プーチン大統領は7日モスクワで、キエフの中央政府との「対話に必要な状況を作り出すために」ドネツクとルガンスクは11日に予定している住民投票を延期するべきだと述べた。ロシア軍部隊は「ウクライナとの国境ではなく、通常の演習を行う場所にいる」と説明した。

ただ、ウクライナの国境警備隊はロシア軍の撤退を確認できないとし、国境付近での演習は続いているとしている。米国防総省のウォーレン報道官はこの日、「ウクライナ国境でのロシア軍の態勢に変化は見られない」と記者団に語った。

ウクライナ政府と米欧は、ロシアがウクライナ東部での分離主義者の活動をあおっているとし、プーチン大統領がクリミアと同様にウクライナ領土の併合を図るリスクを警告していた。この日のプーチン大統領の発言はこうした緊張の緩和につながる公算がある。  

カーネギー国際平和財団の上級研究員、マーサ・ブリル・オルコット氏は「プーチン大統領は瀬戸際から退きつつあるようだ」としながらも、「ロシアが分離派に対しその行動を支持しないとシグナルを送らない限り、ウクライナの状況打開には至らない」と指摘した。

特恵関税の適用除外

バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチのウクライナ担当主任エコノミスト、バディム・クラモフ氏(ロンドン在勤)は電話インタビューで、「プーチン大統領のこの日の発言はロシアがウクライナに侵攻する可能性は低いとのわれわれの基本的見方を裏付けるもので、明らかにプラス材料だ」と発言。「ロシアはこの軍事的騒乱への関与を望まないという理解の方向へと、同国の基本的な姿勢が若干変化してきているようだ」と分析した。

ホワイトハウスはこの日の声明で、米国は特恵関税制度をロシアには今後適用しないと表明した。

プーチン大統領はまた、対話が始まるにはまず、ウクライナでの武力衝突が鎮まる必要があると発言。これまで批判的だった25日のウクライナ大統領選挙実施への支持も表明した。

原題:Putin Says Troops Withdrew, East Ukraine Should Delay Vote(1)(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:モスクワ Olga Tanas otanas@bloomberg.net;モスクワ Ilya Arkhipov iarkhipov@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Balazs Penz bpenz@bloomberg.netPaul Abelsky, Michael Winfrey

更新日時: 2014/05/08 07:33 JST

 
 
 
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