Financial Times

ナイジェリアでまた女子生徒拉致イスラム過激派「ボコ・ハラム」が犯行声明、強まる当局への圧力

2014.05.08(木)  Financial Times

(2014年5月7日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

ナイジェリアでさらに少女8人拉致、米は専門家チーム派遣

ナイジェリアの首都アブジャで、拉致されたチボク地区の学校の女子生徒らの解放を求めるデモ集会に参加する人々〔AFPBB News

イスラム過激派「ボコ・ハラム」が3週間前にナイジェリアで200人以上の女子生徒を拉致したとされる問題で、救出に向けた取り組みを強化せよとの圧力をナイジェリア政府が受けている。また、6日にはこれとは別に8人の女子生徒が誘拐されていたことが明らかになり、その圧力はさらに高まりを見せている。

 ボコ・ハラムの本部基地に近い、グウォザ地方のワラベという村のある住民は通信社ロイターの取材に対し、ボコ・ハラムのメンバーとおぼしき武装した男たちが夜間に襲撃を仕掛け、12~15歳の少女たちを連れ去ったと述べた。

女子生徒は「奴隷」とする犯行声明、ナイジェリアに大きな衝撃

 このセクトを率いるアブバカル・シェカウ氏は今週公開された動画の中で、拉致した女子生徒たちを「奴隷」と形容して笑みを浮かべた。生徒たちの解放に向けた努力の強化を求める女性たちの抗議行動が小規模ながらも少しずつ広がっている中で、この映像はナイジェリア中に新たな衝撃をもたらした。

 拉致された女子生徒の窮状に光が当てられる中、ナイジェリアの首都アブジャでは7日から世界経済フォーラム(WEF)アフリカサミットが開催される。主催者側によれば、「インクルーシブグロース(人々をあまねく巻き込む経済成長)」をテーマに掲げた今回の会議には13もの国々の首脳が出席する上に、70カ国から1000人が参加するという。既に6000人ほどの兵士がアブジャの警備に当たっている。

 ナイジェリアは先月、国内総生産(GDP)を再計算して5100億ドルに改定し、それに対するお墨付きも国際通貨基金(IMF)から得たことから、南アフリカ共和国を大きく抜き去ってアフリカ最大の経済大国に躍り出た。これを受けてナイジェリア政府は、権威あるWEFの会議を、アフリカ大陸発展の原動力としての同国の潜在能力を示す舞台にしたいと思っていた。

 ところが、拉致された女子生徒の捜索活動を要求する抗議の声がソーシャルメディアで広がり、会議の準備を進める政府当局は困惑している。

 政府は大規模な軍事作戦を展開したり北東部の3州に非常事態宣言を発したりしてきたものの、シェカウ氏が最新の動画で不敵な態度を見せたことにより、ボコ・ハラムが弱者に残忍な暴力を振るっても全く手を出せないという状況が浮き彫りになってしまっている。

 米国も英国も、ナイジェリア軍による救出作戦を支援するとの申し出を繰り返し行っている。ナイジェリア政府の当局者は、まずは人工衛星を使った追跡や兵站(へいたん)面および技術面の支援などが行われる可能性があるだろうと述べている。

 しかしナイジェリアの政治家の中には、この過激派を封じ込める一助として外国の軍事支援を得ることも必要だと非公式的に語る向きもある。この過激派の活動範囲は長い間、都市部から遠く離れた貧しい北東部にほぼ限られていたが、ここ5年間は反政府活動の規模を拡大している。前述の女子生徒たちの拉致に加えて、首都アブジャではここ1カ月間で2件の爆弾攻撃を実行し、90人を超える人々の命を奪っている。

 4日にテレビで放送されたジャーナリストとの会見の中…
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