●行政、コミュニティ、企業などの協働に活かせるボトムアップ型計画
東日本大震災後、必ず起こる首都直下地震、南海トラフ
地震などの大規模広域災害に備えて自助・共助の役割
の重要性が高まっている。上図は、内閣府の世論調査で
「国民が重点を置くべきと考える防災政策」の結果。大震
災後は公助依存が大幅に減り、「公助・共助・自助のバラ
ンスをとるべき」が増えている(内閣府(防災担当)資料よ
り(写真はクリックで拡大)
東日本大震災では市町村の行政機能が麻痺したいっぽう、住民自身による自助や、地域コミュニティの共助が、避難所運営などで重要な役割を果たした。その教訓を踏まえ、2013年6月の災害対策基本法の改正で「地区防災計画制度」が創設され、この(2014年)4月1日施行された。
「地区防災計画制度」は、自治体レベルの地域防災計画に加えて、市町村内の商店街や小学校区、複合ビルなど、地域のコミュニティレベルでの住人や企業などによる自発的な防災活動について防災計画を策定することで、両方の計画が車の両輪のように呼応して行政、コミュニティ、企業などの協働に活かそうというものだ。
地域住民などが自ら個別地域の災害特性を理解し、同時に地域の強みを活かした防災計画をつくることで、「災害をわがこと」としてとらえ、手づくりの防災計画を定めることになる。
「地区防災計画制度」では、市町村の判断で、地区防災計画を市町村地域防災計画に規定でき、また、地区住人・企業などは市町村防災会議に対して、市町村地域防災計画に地区防災計画を規定するよう提案できる仕組み(計画提案)を定めている。
同制度の施行に先立ち去る3月28日、内閣府では、これから地区防災計画の作成を検討している地区居住者等が、地区防災計画を作成するための手順や方法、計画を提案する際の手続等について説明する「地区防災計画ガイドライン〜地域防災力の向上と地域コミュニティの活性化に向けて〜」をとりまとめ、公表した(文末に関連サイトへのリンク)。
●世界に誇れる「地域防災の協働モデル」づくりを
「地区防災計画ガイドライン」は、制度の背景や計画の基本的な考え方、計画の内容、計画提案の手続、計画の実践と検証などについて説明している。
ポイントとしては――
・住民などの意向が強く反映されるボトムアップ型の計画であること
・各地区の特性(自然特性・社会特性)や想定される災害等に応じて自由に決めることができる
・計画に基づく防災活動を実践し、活動が形骸化しないように評価や見直しを行い、継続することに主眼
・防災活動の例:平常時、発災直前、災害時、復旧・復興期の各段階を整理。行政、学識経験者など専門家のほか、消防団、各種地域団体、ボランティアなどとの連携を重視
・計画の内容:「災害時に、だれが、なにを、どれだけ、どのようにすべきか」を規定
・市町村地域防災計画に地区防災計画を規定する方法、計画提案の流れ
・防災訓練やクロスロードゲーム、防災運動会、DIG(災害図上訓練)、HUG(避難所運営ゲーム)などの普及啓発活動、小中学生に対する防災教育の実施・検証
ガイドラインは結びに、「地区防災計画制度」について次のように展望を述べている。
「世界的に見て、地区防災計画制度は、地域コミュニティにおける自発的な防災制度としては、かなり先進的な取組です。 かって、わが国の自主防災組織の仕組みを参考に、米国の CERT(Community Emergency Response Teams)の仕組みが考案され、その後大きく発展しましたが、今後、この地区防災計画制度が同様に世界のモデルとなる制度に成長することを願っています」――
〈2014. 04. 16. by Bosai Plus〉
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