はてなブックマークとEvernote、興味をもったページを記録する2つのサービス。ページをまるごと保存できるのがEvernote。ページのURLを記録するのがはてなブックマークだが、それ以上の使い方があるよ。
概要
はてなブックマークを使う意義や、その利用方法をミクロ・マクロ視点で論じる。使い慣れている方には今更な内容が多いと思う。
Evernoteではてなブックマークは不要?
ページの内容をまるごと保存しておけば、そのページが削除されてもいつでも見られる。ウェブクリップはEvernoteの強みの一つだ。
URLを記録するはてなブックマークはそういう点では劣っている。元のページが削除されれば閲覧不可能だからだ
これだけで両者の価値を比較すれば、Evernoteに軍配を挙げざるを得ない。
しかし、はてなブックマークにはこれだけに留まらない使い方がある。
ミクロ視点:使い方は千差万別
人によって使い方を工夫できるのはいいよね。まずは一人の人がはてなブックマークを利用する場合のミクロ視点で考察する。
ブクマ:ブラウザのブックマークのように使う
はてなブックマークでブックマークしておけば、PCやスマホを問わずどのブラウザでも自分のブックマークを見られる。これは便利。
自分のはてなブックマークを公開したり非公開にしたりできる。公開しておけば、ログインすら不要でブックマークを見られる。
はてなブックマークすることを「ブクマする」とか「はてブする」と言う。
記載内容がよく変わる下記に代表されるページでは、Evernoteよりもはてなブックマークが適している。
- ニュース、天気予報、為替など日々内容が変わるページ
- ウェブサービス(Evernoteで保存しても肝心のウェブサービスが使えないと意味が無いので)
- Wikipedia(記載内容がよくアップデートされるので)
ニュースに関しては、特定の記事を保存したい、という場合にはEvernoteで保存すべき。
ブコメ:ページに関するコメントを残せる
100文字まで自分のメモを追加しておけるので、ページの要旨を書いておけばページ内容を思い出しやすい。ページ内の気に入った部分をコピペしておくのもありだ。ただ、自分の言葉で書いた方が記憶に残りやすい。はてなブックマークのコメント機能を使うことを「ブコメする」と言う。
主張:自分の意見を表明できる
ニュースサイトや他人のブログページにブコメすることで、自分の考えを述べられる。そのページの記載内容が不適切であったり突っ込みどころがあれば、ブコメでその点を指摘可能。ただし相手が必ずしも確認するかどうかは別。
そのページで抜けている点や誤植などをブコメする人もおり、ブコメが増えれば集合知になり得る。これが記事の内容よりも価値をもつこともしばしば見受けられる。
はてな利用者は他人のブコメを読む人も多く、他人のブコメで気に入ったものがあれば賛同の意味を込めて「スター」を付与することがある。このスターをもらうことで承認欲求を満たす人も多い。
連絡:はてなブロガーにメッセージ
はてなブロガーのページをブクマすると、そのページの管理人にその旨通知される。これを利用して何らかのメッセージを送ることも可能。ただし、ブックマークが公開されている必要がある。
そのページの良かった点や賛同できる点などを伝えれば、管理人の励みになること間違いなし。
認識:自分の存在をアピール
特定のブログに複数回ブコメしていれば、そのブログの管理人に対して自分をアピールすることになる。自分に対して興味を持ってもらえれば、コミュニケーションができるようになるかもしれない。
ブコメを煩わしく思う人は、特に反応せずに放っておくといいんじゃないかな。後述するように、ブクマされればシステム上メリットがあるからだ。特定のIDを非表示にもできるしね。
大喜利:記載内容を言い換えたりさらにボケたり
ブコメで大喜利しているはてな利用者もわりといる。筆者はブコメ大喜利を見るのが好きだ。これは本来のはてなブックマークの使い方とは異なるのかもしれないが、サービス自体が賑わっているという意味ではいい現象じゃないかな。
下記ページに対するi2iさんによるブコメ残念ながら押入れデスクはバーというより座敷牢のようです。
には爆笑した。当事者なのに。
批判:ネガティブなコメント
字面をパッと見ただけではネガティブなブコメであっても、賛否両論ある方が面白いと筆者は思っている。さすがに、一言「○ね!」といったひどいものは別だが。
ネガコメされたページの管理人は自分に対するネガティブな意見と落ち込まず、枯れ木も山の賑わいというか、自分のページが賑わっている事自体を楽しむといいかもしれない。ブクマされるだけでメリットがあるし、この点は後述する。
マクロ視点:一票がアクセス数に大きく影響
人がブクマを欲する理由
アクセスアップにつながるから。これが一番大きな理由だろう。
ページが短期間に3ブクマされると、はてなブックマークの新着エントリーに掲載される。
この新着エントリーを見ている人が結構多い。はてなブロガーに限らず、情報に敏感な人はよく見ているようだ。
新着エントリーに掲載されることが、はてブによるアクセスアップの登竜門となるため、アクセス数を増やしたいブロガーはブックマークされたがる。
筆者はご覧のとおりブログを運営しており、短期間で3ブクマされたページはアクセス数が100単位で増えるのを実感している。
自分でブクマすればいいのでは?
そのとおり。ただし、1ブクマまで。
当たり前の話だが、自分で複数アカウントを駆使して自作自演するとスパム認定される。まじめにやっている人が泣きを見ないよくできたシステムだ。
自分で3ブクマしなくてもスパム認定される場合もあるほどなので、スパム認定アルゴリズムはわりと厳し目のようだ。
自分で自分の記事にブクマすることを「セルクマ」と言う。「セルフブックマーク」の省略形。
短期間でブクマされるほど有利になる
新着エントリーに掲載されてからも、ブクマされ続けると「世の中」とか「学び」とかの各カテゴリ別のランキングにも食い込んでいく。これにより一層注目されアクセス数が1,000単位で増加する。
さらにブクマされ続ければ、カテゴリの枠を超えて総合ランキングにも掲載される。こうなれば10,000単位のアクセス増になる。
筆者はそういったホットエントリは1記事しか経験したことないが、その時のアクセス数などを次のページで公開している。
自分からブクマすれば、されることもある
元気玉:ブクマはそのページに対する応援
筆者は何か感じるものがあったページには、時間があればブコメするようにしている。
その際はネガティブなコメントはあまりしないようにしている。自分がしなくても別の誰かがしてくれるからだ。とはいえ、ネガコメしている場合もあるだろうな。
筆者の中でのベストは、そのページの記載内容に対して「こういう考えもありますよ」という具合に、ブコメを読んだ他の人にも参考になるコメントを書くこと。
それ自体は役に立たなくてもいろんな意見がある方が実りが多いと勝手に思っている。
とはいえ、結構いい加減な性格なのでネタに走ったりしたりして内容がないこともしばしばだが、ブクマすること自体で自分の一票を気に入ったページに投じられる。これがブクマのいいところ。
コメント自体はネガティブであったとしても、ブクマ自体がそのページに対する応援になるシステムがすばらしい。
多くの人が少しずつ自分の時間を特定のページに使うことで、そのページが注目されてアクセス数が増加する。
ドラゴンボールの悟空の必殺技・元気玉と似たようなもんだ。
この瞬間:アクティブな時に応援したい
記事が公開されてまだそんなに時間が経っていない時に応援したい。その記事の書き手に届く可能性が高いからだ。
今応援できるなら、今応援したい。次のような状況は寂しい。
おい、お前。そう、お前だよ。
「このスレおもろいから見てみ」「2ちゃんの歴史に残る名スレだぜ」
とか言われてホイホイとこのhtml化されたスレを見にきた、お前のことだ。
どうだ?このスレおもしれーだろ。
でもな、お前はこのスレを読むだけで、参加することはできねーんだよ。
可愛そうにな、プププ。
俺は今、ライブでこのスレに参加してる。
すっげー貴重な経験したよ。この先いつまでも自慢できる。
まあ、お前みたいな出遅れ君は、html化されたこのスレを指くわえて眺めてろってこった。
書き手が頑張っている時にリアルタイムで応援できるって結構レアだと思う。
一度限り:ブコメならエンドレスにならない
はてなブックマークのシステム上、同じページに対してできるブコメは1つのみ。これが気楽でいい。
ブコメでないコメント欄でコメントされると、それに対するレスをしたり、場合によっては再度コメントが付き、それに対してもまた返答せざるを得ない。
それはそれで楽しいかもしれないが、コメント欄が主になって肝心の記事作成に影響が出れば本末転倒だ。過去、これによってブログ更新が面倒になって放置したのもある。
一度限りのブコメはそういう意味でこの懸念がない。
現在下記ページにて、ブコメの返信機能の要否について検討されている。実装のされ方や企画倒れになるのかなど、今後どのような展開になるのか楽しみ。
返報性:やっぱり人間だからね
同じ人に自分のサイトの複数のページでブコメしてもらえば、その人のことが気になるよね。
「人で判断してブクマするのではなく、ページ内容で判断してブクマしろよ」と考えるのは正論だと思う。
しかし、筆者が気に入った人が公開したページなら、ブクマするかどうかの判断は甘くなるな。理由は上述のとおり、ブクマすることで応援になるから。
ブログに以下のことが書かれていても、判断は甘くなる。そういう人間くさい人が好きだから。甘くなるだけで必ずしもブクマする訳ではないよ。
- ブクマ歓迎
- コメントください
- ブコメで教えてほしいです
自分のページがブクマされるのを期待してブクマするのはストレスになる気がするのでしないようにしている。ブクマしてるのになんで返してくれないんだ、とフラストレーションになるよね多分。
自分のサイトの複数のページ(特にぜんぜんブクマがついていないページ)をブクマしてくれた人や、リンクしてくれた人がいれば、自分の記憶に残るのでその人のブログにブコメしたりはするね。ブコメは短文で言いっぱなしなので気軽にできるのがいい。それでいて相手のページのアクセスアップに貢献できるかもしれないしね。
まとめ
Evernoteはページの保存用、はてなブックマークはページの保存以外の多目的に使うのがいい。
はてなブックマークは単にURLの記録用として考えるのではなく、自分のコメントを一覧にして保存できる、自分のコメントをブックマークとして記録する、というように逆転の発想で使えばはてなブックマークをどんどん有効活用できるんじゃないかな。
参考ページ