ありがたいことに
「腐女子が逮捕というショッキングな出来事は中国ヲタクの間ではどんな反応だったんでしょう?」
という質問をいただいておりますので、今回はそれについてを。
この先日日本のネットでも話題になった
「中国でBL小説を書いた人が大量に逮捕された」
件に関しては以下のサイト様の記事などをご参照ください。
痛いニュース(ノ∀`) 中国当局、「BL小説を書いた罪」で腐女子20名を一斉逮捕 - ライブドアブログ
「二次創作のBL小説を書いた罪」で腐女子が一斉逮捕される BUZZAP!(バザップ!)
それでコレ、今年4月の初め頃に中国の安徽衛視で放映された番組から話題になっているようなのですが、この事件自体は何時かというと、結構前の話のようです。私も最初は最近の中国のネット規制の動きの中での事件かと思ったのですが……
探してみた所、こちらに逮捕されたサイト管理人の判決(中国語)も掲載されていました。
当ブログでも過去にこの
「中国でBL小説サイトがわいせつ物伝播罪により摘発された事件」
については紹介していますね。
当時の反応や現地のBL趣味の方からの話についても書いてあるので、よろしければご参照ください。
中国の鄭州でBL小説サイトが摘発され関係者が大量に逮捕される
とりあえず以下に、中国のネットで見かけたこのテレビ番組に関するやり取りを例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。
ウチの国だとしょうがないよなー
注目すべきは、警察のおっさんが耽美小説サイトの有料VIP会員になった事じゃないか?
サイト管理者との交渉の末にとあったが……この警察のおっさん、もしや……!!
反腐敗キャンペーンの流れ弾がこんな所にまで!
正直この番組見ていてやるせない気分になったよ。ああいう捕まえ方をして宣伝したら、あの一家はもうあの村には住めないだろう。警察や番組の態度もなんか滑稽でイヤなものだった。
ウチの国だとしょうがないと言っても、さすがにこのやり方はヒド過ぎると思うわ。
エロ小説サイトのVIP会員になるくらいなら、もっと他にやることあるだろ。
男の私でさえこのニュース見てイヤな気分になるくらいだから、実際の腐女子の人はキツイだろうな……
しかしこの取締りのやり方はともかくとして、最近は耽美小説はやり過ぎになっている感もあるんだよね。差別がどうのこうのとか言う話以前に、描写の露骨さが普通の小説のレベルを超えてしまっている。
でも、BL以外の、例えば恋愛小説もそんな感じになってないか?
ヒドイのはなぜ他の小説サイトに溢れている種馬小説の方を捕まえないのかってことだ!あれだって露骨さはヒドイのに!!
(訳注:「種馬小説」というのは中国のネット小説の主流ジャンルの一つで、男性主人公が出てくる女性キャラと片っ端から恋仲になったりやりまくったりする小説だそうです。面白いのは似たようなジャンルに「後宮小説」というのがあることで、「種馬」も「後宮」のどちらもいわゆる男性の主人公がハーレム的な状況になるのは変わらないのですが、出てくるヒロインが数人程度だと「後宮」、無制限(のように見える場合)だと「種馬」になるそうです。)
今処罰対象になっているのは耽美小説だけじゃないよ。エロ小説と見做されたらアウト。男同士なのか男女なのかは重要な問題ではない。
最近またその手の動きが活発になってきているよね。
このニュース自体は結構前の話だし、当時は掛け声が大きいだけみたいな所もあったけど、今回は大手のサイトが止まっちゃったりしているから不安。
まぁでも、今になってこんなニュースにしてBL小説を大げさに取り上げさらし者にするのはどうかと思ってしまうね。普通のエロ小説も取り締まられているのは確かだけど。
わりと多くの小説がてそれなりにHな所があるのに、なぜネット小説、耽美小説を叩くんだ。金瓶梅とかはテレビドラマになっているのに何で放映禁止にならないんだ。
まぁ、金瓶梅の小説に関しては歴史を振り返ってみるとちょくちょく規制受けたりカット版になったりしているからねぇ……あれも言っちゃなんだが昔の種馬小説みたいなもんだよな。
しかし小説書くだけで犯罪という扱いになる日が来るとは。
BL小説もウチの国だと普通にポルノ系の犯罪になっちゃうからね。既に消されたサイトのBL小説のデータを固めてアップして、それがダウンロードされまくったからアップした人が捕まっちゃったなんて話もあったっけ?
ウチの国では非営利であってもアクセス数が2万超えると犯罪になっちゃうからね。内容よりも広まり具合で判断されるから人気になったり注目されたりするとそれだけで危険になる。
ネット小説だけでなく、ポルノと判断されるようなエロスレとかエロコメでさえ危険。何もしないのが一番良いということか。
本当にヒドイ話だよ。
そしてこれがウチの国の現状だ。
とまぁ、こんな感じで。
「ここまでやるのはヒドイ」という印象を受ける人が少なくないようでした。
またこの件に関して私も以前は気付かなかったのですが、
「サイトのサーバーをアメリカに移していたのに捕まった」
という話が出ていたのが個人的に興味深かったです。
中国のこの手のサイトに関しては捜査から逃れるため、過激な投稿をしても規制を受けないようにするためなどの理由で中国国外にサーバーを移しているケースも少なくないらしいのですが、この件ではそれが逆に警察側の興味を引いてしまったという話が出ていました。
サーバーが中国国外に有って作品が消され難くなっても、国内のランキングサイトを使っていたり、管理者やコンテンツをアップする人間が中国国内にいたりした場合はきっちり捜査の手が伸びてしまうようです。
とりあえずこの事件については以上のようなものかと思われます。
しかし事件自体は昔の話ではありますが、ここしばらくの間中国のネットにおいてネット小説や動画サイトに対する規制のキャンペーンが行われてわりと大変なことになっているのは確かです。
現在中国では「掃黄打非」(ポルノ・違法出版物取り締まり)に加えて、ネット小説、ネットゲーム、動画サイトを中心としてネット上のポルノ情報を取り締まる
「浄網」
というキャンペーンが行われているそうです。ここでネット小説が真っ先に来るのが、中国のネットにおけるネット小説の存在感の大きさの表れでもありますが……
そして実際に大手のネット小説サイトやSNSが運営停止になったり工事中になったりして、見ることができなくなっているそうです。(現在は徐々に復旧する所も出ているそうですが)
更にこの規制の流れの中で、より多くのサイトが自主規制を行うようになり、中国のネットの様々なコンテンツが消えているという話です。
ただこれがまたヤヤコシイことに、様々なサイトからコンテンツが消えたりしはいるものの、そのどれが実際に上からの規制や注意が入ったりしたものなのか、どれが自主規制なのか、どれが規制以外のサイト側の事情によるものなのかがハッキリしないのですよね。
もちろん取り調べや処罰に関して公式に発表が行われているケースもありますし、実際に大手のSNSやフォーラムが取締りや処分を受けているのは間違いないのですが……
例えば中国の動画サイトでは、最近正規に配信をしていたアメリカのドラマが突然配信中止になったりしていますし、アニメ関係でも肌色分の多いアニメを中心に消えたりロックがかかったりしているそうです。
しかし現時点ではどのサイトでも公式のアナウンスはほぼありませんし、これがどういった背景によるものなのかはハッキリしません。
「面倒なことになりそうなのでとりあえず自主規制」
というケースはこれまでにもよくありましたからその可能性も考えられるそうですが、
場合によっては
「他サイトとの交渉、或いはコンテンツホルダーとの交渉に失敗したけれど、何も言わなければ政府の圧力の結果だと考える人が出て、サイト側は同情してもらえたりするから何も説明せずに放置」
とやってきている可能性もあるらしいので、何ともヤヤコシイ話になってしまうそうです。
これは中国では様々な分野において
「説明しない=説明できない」
ケースが珍しくないことから成立してしまうやり方だとかなんとか。
現在の中国ではネットに対する規制キャンペーンが行われていて規制の流れが出ているのは確かですが、実際の状況に関して正確に判断するのはなかなかに難しいようです。
とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。
中国の鄭州でBL小説サイトが摘発され関係者が大量に逮捕される
「腐女子が逮捕というショッキングな出来事は中国ヲタクの間ではどんな反応だったんでしょう?」
という質問をいただいておりますので、今回はそれについてを。
この先日日本のネットでも話題になった
「中国でBL小説を書いた人が大量に逮捕された」
件に関しては以下のサイト様の記事などをご参照ください。
痛いニュース(ノ∀`) 中国当局、「BL小説を書いた罪」で腐女子20名を一斉逮捕 - ライブドアブログ
「二次創作のBL小説を書いた罪」で腐女子が一斉逮捕される BUZZAP!(バザップ!)
それでコレ、今年4月の初め頃に中国の安徽衛視で放映された番組から話題になっているようなのですが、この事件自体は何時かというと、結構前の話のようです。私も最初は最近の中国のネット規制の動きの中での事件かと思ったのですが……
探してみた所、こちらに逮捕されたサイト管理人の判決(中国語)も掲載されていました。
当ブログでも過去にこの
「中国でBL小説サイトがわいせつ物伝播罪により摘発された事件」
については紹介していますね。
当時の反応や現地のBL趣味の方からの話についても書いてあるので、よろしければご参照ください。
中国の鄭州でBL小説サイトが摘発され関係者が大量に逮捕される
とりあえず以下に、中国のネットで見かけたこのテレビ番組に関するやり取りを例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。
ウチの国だとしょうがないよなー
注目すべきは、警察のおっさんが耽美小説サイトの有料VIP会員になった事じゃないか?
サイト管理者との交渉の末にとあったが……この警察のおっさん、もしや……!!
反腐敗キャンペーンの流れ弾がこんな所にまで!
正直この番組見ていてやるせない気分になったよ。ああいう捕まえ方をして宣伝したら、あの一家はもうあの村には住めないだろう。警察や番組の態度もなんか滑稽でイヤなものだった。
ウチの国だとしょうがないと言っても、さすがにこのやり方はヒド過ぎると思うわ。
エロ小説サイトのVIP会員になるくらいなら、もっと他にやることあるだろ。
男の私でさえこのニュース見てイヤな気分になるくらいだから、実際の腐女子の人はキツイだろうな……
しかしこの取締りのやり方はともかくとして、最近は耽美小説はやり過ぎになっている感もあるんだよね。差別がどうのこうのとか言う話以前に、描写の露骨さが普通の小説のレベルを超えてしまっている。
でも、BL以外の、例えば恋愛小説もそんな感じになってないか?
ヒドイのはなぜ他の小説サイトに溢れている種馬小説の方を捕まえないのかってことだ!あれだって露骨さはヒドイのに!!
(訳注:「種馬小説」というのは中国のネット小説の主流ジャンルの一つで、男性主人公が出てくる女性キャラと片っ端から恋仲になったりやりまくったりする小説だそうです。面白いのは似たようなジャンルに「後宮小説」というのがあることで、「種馬」も「後宮」のどちらもいわゆる男性の主人公がハーレム的な状況になるのは変わらないのですが、出てくるヒロインが数人程度だと「後宮」、無制限(のように見える場合)だと「種馬」になるそうです。)
今処罰対象になっているのは耽美小説だけじゃないよ。エロ小説と見做されたらアウト。男同士なのか男女なのかは重要な問題ではない。
最近またその手の動きが活発になってきているよね。
このニュース自体は結構前の話だし、当時は掛け声が大きいだけみたいな所もあったけど、今回は大手のサイトが止まっちゃったりしているから不安。
まぁでも、今になってこんなニュースにしてBL小説を大げさに取り上げさらし者にするのはどうかと思ってしまうね。普通のエロ小説も取り締まられているのは確かだけど。
わりと多くの小説がてそれなりにHな所があるのに、なぜネット小説、耽美小説を叩くんだ。金瓶梅とかはテレビドラマになっているのに何で放映禁止にならないんだ。
まぁ、金瓶梅の小説に関しては歴史を振り返ってみるとちょくちょく規制受けたりカット版になったりしているからねぇ……あれも言っちゃなんだが昔の種馬小説みたいなもんだよな。
しかし小説書くだけで犯罪という扱いになる日が来るとは。
BL小説もウチの国だと普通にポルノ系の犯罪になっちゃうからね。既に消されたサイトのBL小説のデータを固めてアップして、それがダウンロードされまくったからアップした人が捕まっちゃったなんて話もあったっけ?
ウチの国では非営利であってもアクセス数が2万超えると犯罪になっちゃうからね。内容よりも広まり具合で判断されるから人気になったり注目されたりするとそれだけで危険になる。
ネット小説だけでなく、ポルノと判断されるようなエロスレとかエロコメでさえ危険。何もしないのが一番良いということか。
本当にヒドイ話だよ。
そしてこれがウチの国の現状だ。
とまぁ、こんな感じで。
「ここまでやるのはヒドイ」という印象を受ける人が少なくないようでした。
またこの件に関して私も以前は気付かなかったのですが、
「サイトのサーバーをアメリカに移していたのに捕まった」
という話が出ていたのが個人的に興味深かったです。
中国のこの手のサイトに関しては捜査から逃れるため、過激な投稿をしても規制を受けないようにするためなどの理由で中国国外にサーバーを移しているケースも少なくないらしいのですが、この件ではそれが逆に警察側の興味を引いてしまったという話が出ていました。
サーバーが中国国外に有って作品が消され難くなっても、国内のランキングサイトを使っていたり、管理者やコンテンツをアップする人間が中国国内にいたりした場合はきっちり捜査の手が伸びてしまうようです。
とりあえずこの事件については以上のようなものかと思われます。
しかし事件自体は昔の話ではありますが、ここしばらくの間中国のネットにおいてネット小説や動画サイトに対する規制のキャンペーンが行われてわりと大変なことになっているのは確かです。
現在中国では「掃黄打非」(ポルノ・違法出版物取り締まり)に加えて、ネット小説、ネットゲーム、動画サイトを中心としてネット上のポルノ情報を取り締まる
「浄網」
というキャンペーンが行われているそうです。ここでネット小説が真っ先に来るのが、中国のネットにおけるネット小説の存在感の大きさの表れでもありますが……
そして実際に大手のネット小説サイトやSNSが運営停止になったり工事中になったりして、見ることができなくなっているそうです。(現在は徐々に復旧する所も出ているそうですが)
更にこの規制の流れの中で、より多くのサイトが自主規制を行うようになり、中国のネットの様々なコンテンツが消えているという話です。
ただこれがまたヤヤコシイことに、様々なサイトからコンテンツが消えたりしはいるものの、そのどれが実際に上からの規制や注意が入ったりしたものなのか、どれが自主規制なのか、どれが規制以外のサイト側の事情によるものなのかがハッキリしないのですよね。
もちろん取り調べや処罰に関して公式に発表が行われているケースもありますし、実際に大手のSNSやフォーラムが取締りや処分を受けているのは間違いないのですが……
例えば中国の動画サイトでは、最近正規に配信をしていたアメリカのドラマが突然配信中止になったりしていますし、アニメ関係でも肌色分の多いアニメを中心に消えたりロックがかかったりしているそうです。
しかし現時点ではどのサイトでも公式のアナウンスはほぼありませんし、これがどういった背景によるものなのかはハッキリしません。
「面倒なことになりそうなのでとりあえず自主規制」
というケースはこれまでにもよくありましたからその可能性も考えられるそうですが、
場合によっては
「他サイトとの交渉、或いはコンテンツホルダーとの交渉に失敗したけれど、何も言わなければ政府の圧力の結果だと考える人が出て、サイト側は同情してもらえたりするから何も説明せずに放置」
とやってきている可能性もあるらしいので、何ともヤヤコシイ話になってしまうそうです。
これは中国では様々な分野において
「説明しない=説明できない」
ケースが珍しくないことから成立してしまうやり方だとかなんとか。
現在の中国ではネットに対する規制キャンペーンが行われていて規制の流れが出ているのは確かですが、実際の状況に関して正確に判断するのはなかなかに難しいようです。
とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。
中国の鄭州でBL小説サイトが摘発され関係者が大量に逮捕される
厄介な話だけど、現在進行形で大騒ぎするのもどうかという話って所なのかね。