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真のリーダーはどのようにして生まれるか?(後編)

優れたリーダーになるために知っておきたい、ヒトと組織の4つの行動原理(後編)

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優れたリーダーになるために知っておきたい、ヒトと組織の4つの行動原理(後編)
ベストセラー『WHYから始めよ!』のサイモン・シネック氏が語るリーダー論。人間の脳では4つの化学物質が働いており、常に「生き残るため」に私たちは行動している。それを理解していなければ、人々の心を惹きつける良い組織は作れない――。化学物質と人間の行動の関係を紹介しながら「真のリーダーとは」について語られたスピーチです。(前編はこちら)

【このパートのヘッドライン】
・安心感を与える~オキシトシンの作用~
・メールは感情を揺さぶらない
・部下に「ここが私の居場所だ」と思わせるためにしなくてはならないこと
・不安を伝播させ、組織を壊す~コーティソルの作用~
・真のリーダーとは?

4.安心感を与える~オキシトシンの作用~

オキシトシンです。これが一番すごいんです。これは愛、信頼、友情。あたたかくて、ふわふわです。

(会場笑)

これが友達と一緒に過ごす時間が楽しい理由です。何をするでもなく、一緒にテレビを見たりするだけでも満たされますよね。今日皆さんは、知っている人の隣に座っていらっしゃると思います。知らない人の隣に座るより、安心ですよね? 知らない人の隣に座ると、少し緊張しますよね? これがオキシトシンです。オキシトシンとは周りの人のサポートを感じられる安心感です。

オキシトシンを分泌するには、いくつかの方法があります。ひとつめは、体の接触からです。たとえば抱き合うこと。女性が出産すると、ものすごく高いレベルのオキシトシンが分泌されます。このオキシトシンが女性を母親にし、母親としての自覚に繋がります。

そして、握手することもそうです。想像してみてください。あなたは今まさに契約を成立させようとしているところです。そして今後のビジネス発展にわくわくしながら「よろしくお願いします」と言って、相手に握手を求めたとします。

相手「握手する必要はありません。私も今後とても楽しみです。こちらこそよろしくお願い致します」。

あなたはそこで、それなら握手で話を締めようではないか、とまた手を差し出す。

相手「いやいや、それは不要です。契約には満足ですから。一緒に成長していきましょう!」。

契約内容にあなたはとても満足している。しかし、ビジネスやそれにおける人間関係は理屈だけでは成り立ちません。人間ですから、そこに安心を感じられるか、仲間意識を感じられるかが大事なのです。そして人間関係のなかに安心感や仲間意識を感じるには体の接触が不可欠です。

つまり、体の接触を拒否されると次のいずれかのことが起こります。「今回はちょっと……申し訳ないですが……」と慌ててその場から逃げる。または、「大丈夫かな……」と心配しながら契約を成立させる。

人と人とのつながりを甘く見てはいけません。オキシトシンを分泌するもうひとつの方法は、人にやさしくすること。人にやさしくすることとは、つまり自分の時間と労力を惜しみなく差し出すこと。お金を差し出すだけではダメです。

スクリーンショット(2014-01-27 14.23.51)

もし私が「今朝10万円をチャリティに送りました」と言ったら、皆さんはどう思うでしょうか? こんな風に思うんじゃないですか? 「はいはい。何? ヒーロー気取りですか?」。

(会場笑)

でも、もし私が「先週の土曜日、一日じゅう近所にある学校の塗装を手伝っていました」と言ったら、きっと皆さん「すごいじゃないですか! 私ももっと頑張らないと!」と思うんじゃないでしょうか?

(会場笑)

私の労働は10万円より少ないし、10万円あればもっとたくさんの人を雇って塗装をすることもできるでしょう。でも私たちは人間なので、「自分の時間を提供した」という事実を評価します。お金はまた稼ぐことができます。それに比べて時間を取り戻すことはできません。皆さんのなかには「ああ、このセミナーにいるこの時間はもう一生戻ってこないんだ……」なんて思っている方もいるかもしれません。皆さんすみませんね、私にはそれに対してどうすることもできません。

(会場笑)

話を戻します。私たちはお金を差し出す人よりも時間と労力を惜しまず提供する人を評価します。何についてもお金で解決しようとする人はリーダーではありません。リーダーとはあなたのところに足を運び、「何か困っていることはないかい?」と聞くことができる人です。

先日、ある石油会社の重役達とお話をする機会がありました。彼らは、どれだけ彼らが従業員のためを想っているか、どれだけ従業員が会社に満足しているかということを一生懸命、私に証明しようとしました。

私は言いました。「いやいや、あなたたちは従業員のことなどこれっぽっちも考えていないですよね?」彼らは、「それは間違っている!」と言い張りましたが、私は「いいや、それは違います」と言い続けました。「あなたは間違っている!」「いいえ、あなたたちが間違っているんです!」と言い合い続けました。こんなことよくありますよね?

(会場笑)

私は言いました。「そこまで言うということは、あなたたちは信用できるコンサルタントを雇って、従業員に対してこの会社で働くことに満足しているか、オンラインアンケートを取った結果ということですよね?」

彼ら「はい、でもコンサルタントは雇っていません」

私は言いました。「そうです」。

これはつまり、たとえるのであれば、息子にメールで『親愛なる我が息子よ、お前の母親と私は、お前のことをとても大切に思っている。お前がきちんと家族の一員であるという意識を持っているかが私たちには重要なんだ。お前のことを大切に思っているからこそ、知りたいんだ。教えてくれ、私たちはどうしたらお前に家族の一員であるという意識をもっと強く持ってもらえるのかを。お前の父より』。または、息子の部屋に行って顔を見て同じことを話す。

全く同じ目的で、全く同じ言葉で話をするのでも、一方は時間と労力を要するのに対し、一方は全く労力を要しません。

メールは感情を揺さぶらない

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メールの問題は簡単過ぎることです。メールには時間も労力もかからない、そこに感情は発生しないのです。もし、あなたが誰かを自宅に招きディナーを振る舞ったとする。翌日にメールで「素晴らしいディナーをありがとうございました」と丁寧なお礼をもらうのと、3日後にまったく同じ内容を手書きの手紙を受け取ったら、どちらの方がより嬉しいですか? 手書きの手紙ですよね?

ここでの違いはひとつだけ。手紙をもらう方が嬉しい理由は、そこに時間と労力がつぎ込まれているのを感じるからです。リーダーとは人のために時間と労力を使える人のことです。お金をくれる人ではありません。そんなことではリーダーとして生物学的にも通用しません。お金をもらってもオキシトシンは分泌されません。

人のために何かをすることとは自分の時間と労力を犠牲にするということです。時間と労力はお金と違い、取り戻すことができないものなのです。人のために、ということはつまり見返りを期待しないということです。仕事が欲しいから誰かに食事をご馳走するということは、本当の意味で「ご馳走」しているわけではないということです。それは恩を押し付けるようなもので、人間関係を築くことにはなりません。

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