【コラム】スカイマークの「炎上マーケティング」
日本の格安航空会社・スカイマークが、大型旅客機エアバスA330の就航を記念し、来月末から東京・羽田?福岡線などの女性客室乗務員に超ミニスカートの制服を着用させる、と発表した。膝上約15センチの超ミニスカートの制服の写真が公開されるや、日本の航空会社12社の客室乗務員で構成する労働組合「客室乗務連絡会」は「下着が露出するほどで、あまりにも短すぎる。一部の乗客が携帯電話のカメラでスカートの中を撮影する恐れがあるなど、セクハラを誘発する可能性が高い」として反発するなど、論議を呼んでいる。
さらに注目すべきことは、スカイマークがこの超ミニスカートの制服を6カ月間の期間限定で着用させるということだ。言い換えれば、米国のレストラン「フーターズ」をまねたセクシー路線と、日本で一般化した期間限定のマーケティングを掛け合わせたものといえる。フーターズは女性従業員たちに対し、太ももが丸見えになる短パンと、胸が何とか隠れる程度のタンクトップを着用してサービスを行っている。
スカイマークの西久保慎一社長は「最近低迷している業績を挽回するため、このようなサービスを行うことにした」と発表した。スカイマークは1996年に誕生した日本初の格安航空会社だ。既存の航空会社の4割程度の安い運賃を掲げ、日本の航空会社で1、2位を争う日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)も達成できなかった営業利益を達成したこともあるが、最近は他社との競争で後れを取り、5年ぶりに赤字を計上することが予想されている状況だ。
スカイマークの超ミニスカートの制服は、代表的な「炎上マーケティング」の一つといえる。商品やサービスの品質とは関係なく、論議を呼ぶような内容で消費者の好奇心をあおり、売り上げを増やすマーケティング手法だ。
なぜこのような炎上マーケティングが行われるのだろうか。オーストリアの心理学者フロイトによると、人間の最も本質的な欲求は「性的欲求」と「攻撃性」だが、人間の理性はこのような欲求が現れないよう抑え込んでいるという。漢陽大学経営学部のホン・ソンテ教授は「扇情的かつ暴力的なコンテンツは、人間の欲求を代わりに満たしてくれるため、関心を集める」と指摘した。
乗務員にセクシーな制服を着せる試みは、スカイマークが初めてではない。セクシー路線の元祖といえる前述の「フーターズ」は、2003年に「フーターズ・エア」という航空会社を設立し、06年まで17路線を運航していた。客室乗務員のうち2人は、フーターズのユニフォームをそのまま着用して乗務した。当時、ほかの格安航空会社はコストを抑えるためサービスの提供を減らしたが、フーターズ・エアは所要時間が1時間以上の全ての路線で食事や付加サービスを提供し、話題を呼んだ。
期間限定マーケティングは、消費者が製品やサービスに好意を向けるよう刺激するマーケティング手法だ。例えば、ソウル市内の漢江で運航されている遊覧船は、ソウル市民でわざわざ時間を割いて乗ろうとする人は多くない。だが、漢江が汚染され、1カ月後に遊覧船の運航が停止されると知ったら、何としてでも乗ろうとする人が多く出てくるだろう。ホン・ソンテ教授は「ある行動に対し自由が制限された場合、心理的な反発が生まれ、さらにその行動をしたいと望むようになる。ブランド品に価値がある理由も、『珍しい』という理由で、所持できる自由が制限されているためだ」と指摘した。
日本メディアによると、スカイマークは4月1日、米子?羽田など3路線の運航開始を記念し、「1日限定」で超ミニスカートの制服を試験的に着用させたという。本格的に超ミニスカートの制服を着用することになる5月末以降の、スカイマークの羽田?福岡便の予約はすでに好調だとのことだ。このようなマーケティング手法が成功するか、失敗するかは、サービスが終了する今年末ごろに判明するが、論議を呼んだという点では「炎上マーケティング」に成功したといえる。