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ウクライナ巡るロシアとEUのエネルギー問題
5月7日 7時05分

ウクライナ巡るロシアとEUのエネルギー問題

ウクライナ情勢を巡って欧米とロシアの対立が深まるなか、G7=先進7カ国は、2日間にわたってローマでエネルギー担当相の会合を開き、ロシアへの依存を減らすため、各国が協力してエネルギー調達の多角化を進めることなどを盛り込んだ共同声明を採択しました。
EUとロシアの間では、過去にも天然ガスの供給を巡る問題が起きています。

現在、EU全体では輸入する天然ガスのうち30%近くをロシアに依存していますが、このうち60%がウクライナを通るパイプラインによって輸入されています。
このためロシアとウクライナが対立すると、ヨーロッパ各国への天然ガスの供給に深刻な影響を及ぼします。
2006年には、ウクライナでロシアよりも欧米との関係を重視する政権が誕生したことを受けて、ロシアが、ウクライナに安く供給してきた天然ガスの価格を大幅に引き上げると通告。
ウクライナはこれを拒否したため、ロシアはウクライナへのガスの供給を一時停止する措置を取りました。
この際、ウクライナが国内を通るパイプラインから天然ガスの消費を続けたため、ヨーロッパ各国の供給に影響が出ました。
さらに、2009年にもガス価格を巡る交渉が決裂し、ロシアはウクライナ向けとウクライナを経由するヨーロッパ向けの供給を2週間にわたって完全に停止しました。
このときには、ヨーロッパの国々で工場の操業や暖房が停止し、特に天然ガスの備蓄が少ないブルガリアなどで深刻な影響が出ました。
ウクライナ経由の天然ガス供給を減らそうと、ドイツやフランスはロシアと協力して、ウクライナを経由しないパイプラインの建設を進めてきました。
これによって、ウクライナ経由の天然ガス供給の割合はそれまでの80%からおよそ60%に低下しましたが、ロシアとウクライナとの対立がヨーロッパのエネルギー供給に深刻な影響を与えるという構図は変わっていません。

G7内でロシアへのエネルギー依存度に差

ロシアへのエネルギーの依存度を巡っては、G7内で大きな差があります。
ヨーロッパ各国は旧ソビエトの時代からパイプラインで天然ガスの供給を受けてきました。
IEA=国際エネルギー機関の2012年の統計によりますと、EU全体で輸入する天然ガスの28%がロシアからです。
国別で最も依存度が高いのはドイツで、輸入する天然ガスのうち36%をロシアに依存しています。
次いでイタリアが28%、フランスは16%となっています。
日本はロシアのサハリンで生産されるガスをLNG=液化天然ガスで輸入しており、全輸入量の10%となっています。
一方、アメリカ、カナダはロシアから天然ガスを輸入していません。
こうしたエネルギー依存度の違いがロシアへの経済制裁に対する姿勢の違いに表れていて、アメリカはロシアに対して強硬な制裁を繰り返し主張しています。
これに対してEUは、ドイツなどロシアとの経済的な結びつきが強い加盟国が慎重な姿勢を示しているため、本格的な経済制裁について明確な態度を示していません。

ロシアへの制裁は今後どうなる

ウクライナ情勢を巡って、アメリカやEUはロシアに対する制裁を強めています。
アメリカ政府は、3月、ウクライナ情勢の緊迫を受けて、ロシア政府の高官に対するビザの発給を制限するなどの制裁を発動しました。
さらに先月、G7=先進7か国の首脳がロシアに追加制裁を科すことで合意したことを受けて、プーチン大統領の側近など7人に対し、アメリカ国内にある資産を凍結するなどの制裁の実施を発表しました。
EUもアメリカと共同歩調を取って、域内にある資産の凍結や域内への渡航禁止といった制裁の対象者を拡大しました。
アメリカとEUは、ロシアが事態の鎮静化に取り組まなければ、今後制裁をさらに強化する構えです。
ただEUは、天然ガスの30%近くをロシアから輸入していることに加えて、ドイツなどロシアと経済面でつながりが深い加盟国もあって、本格的な経済制裁については意見が分かれています。
また、日本もロシアの政府関係者ら23人を対象に、日本への入国ビザの発給を当分の間停止する制裁措置を取りましたが、対決姿勢を強めるアメリカに比べると緩やかな内容にとどめているという指摘も出ています。

ウクライナへの支援は

一方、ウクライナへの支援の動きも相次いでいます。
IMF=国際通貨基金は、先月30日、ウクライナの財政危機を回避するため、金融支援として日本円で1兆7000億円を超える融資を行うことを決めました。
また、EUも供与や融資などの形で、向こう数年間に日本円で1兆5000億円余りをウクライナの支援に充てるとしているほか、日本もウクライナの安定のため1500億円の支援などを決めています。

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