2013年6月27日(木)14時から「『本当のこと言って何か不都合でも?』― 山本太郎が学んじゃうよ― vol.3」が行われた。ゲストとして招かれた福島第一原発の元作業員、林哲哉氏は、作業現場の様子や生活、雇用条件、健康管理など、原発作業員がどのような環境で働いているのか、実情を詳しく語った。「実名で告発するリスクを負ってまで、世の中に伝えたいことは?」と尋ねる山本太郎氏に対して、林氏は「原発周辺で暮らす人たちには、とにかく逃げてほしい」と述べた。
■ゲスト 林哲哉氏(福島第一原発・元作業員)
はじめに林氏は、原発事故の収束作業員として働くことになった経緯を話し、さらに、実態のない会社の存在、採用された作業員が素人の寄せ集め集団であったこと、現場作業員の汚染をチェックする担当として採用されたにも関わらず、実際には現場の線量を下げるためにゴムマットを敷く仕事をさせられたことなどを明かした。林氏は、「現場で働く作業員は皆、『契約の内容が違う』と首を傾げていた。僕は、放射能の危険性について勉強していたから、これはおかしいと思った。雇用者に訴えると1日で辞めさせられた。雇用した会社は『少しくらいの仕事の変更はある』と説明し続けており、作業員の間では『大丈夫かな』という空気が漂っていた」と、当時の現場の状況を語った。
その後、別の業者からの採用により、取り出した燃料棒を仮保管するタンクの基礎工事に関わった林氏は、暗証番号を指定された口座の開設を強要され、日給として支払われる18000円の内、5000円が業者に中抜きされていた実態を語った。
さらに林氏は、4月1日から3月31日の期間で、年間の積算被曝線量の基準を20ミリシーベルト(以下mSv)とする東電が、都合上、「40mSvまで問題ない」とする対応を問題視した。「たとえば、3月に作業し、20mSv被曝したとしても、4月から再び0からのカウントとなる。3月31日で被曝の影響はリセットされるのだろうか」と指摘した。
山本氏は「林さんが話してくれたようなことは、テレビで大々的に報道されることはない。現場の状況を、多くの人々に知ってもらって、状況を打破していくしかないと思う」と述べた。林氏は「現場に入るとわかるが、肝心の部分は何も進展していない。本来であれば、収束作業も国策でやるべきである。原子力が手に負えないものであることを、あの事故で痛感したにもかかわらず、国は原発を再び推進しようしている。今後の収束の道筋は、誰にもわからないのだが」と懸念を表明した。【IWJテキストスタッフ・富山/奥松】
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