【iPS細胞】大規模培養に目処。数百万円で医療利用できるように?
医療機器メーカーのニプロが2014年4月25日、ヒト多能性幹細胞(ES/iPS細胞)を大量に培養するための培養バッグを試作したと発表した。
iPS細胞を従来の10分の1ほどの費用で培養できるようになるという。日経新聞では、iPS細胞を使った場合、現状で1000~2000万円ほどかかる医療費を、先進医療並みの数百万円ほどに引き下げられると伝えている。
従来の培養技術の限界
ES/iPS細胞は無限に増殖するが、量産は困難とされてきた。
培養皿で増やす「接着培養法」は大量生産に不向きだ。底の深い容器に培養液を入れる「浮遊培養法」では、細胞が底に沈み、かき混ぜると細胞が傷つく恐れがある。また、細胞が大きな塊になると内部まで栄養が届かなくなるという問題もあった。
新技術「三次元培養法」の開発
このような問題点を解決するために、京都大学と日産化学工業は共同で「三次元培養法」を開発した。
まず、細胞が培養液の中で沈まないように、食品添加物として使われる増粘剤を加えた。次に、細胞の塊が大きくなるのを抑えるために別の添加剤も加えた。さらに、大きくなってしまった細胞の塊をフィルターに通して安全に分離する技術も確立した。
培養皿の代わりに培養バッグで培養
この方法で、ニプロが試作した200mL容量のガス透過性培養バッグを用いたところ、10の8乗個のiPS細胞(直径10センチの培養皿約20枚分に相当)を得られたという。
本内容は、米科学誌Stem Cell Reportsオンライン版にも掲載された。
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