江戸時代中期に広がったとされる「富山の薬売り」。薬箱を顧客の家に預け、薬売りが定期的に家を訪問し、薬の補充や交換を行う「置き薬」と言われる商法が特徴だ。
そんな「置き売り」のビジネスモデルが今、「オフィス」を舞台に再び脚光を浴びている。
江崎グリコが2002年から本格展開を始めた「オフィスグリコ」は、契約企業のオフィスに専用ケースを設置して菓子を販売する「置き菓子」サービス。ビジネスパーソンの小腹を満たすニーズを捉え、徐々に広がりを見せている。東日本大震災の際に非常食として活用した職場もあり、今では東京や大阪などを中心に約12万台の専用ケースを置く。
最近では、菓子以外の商材をメーンとする新サービスも続々と登場している。「置き菓子」ならぬ「置き野菜」
ベンチャー企業のKOMPEITO(コンペイトウ)が目を付けたのが、「野菜」だ。
「OFFICE DE YASAI(オフィスでヤサイ)」は、オフィスに小型の冷蔵庫を設置し、パック詰めされたハンディサイズの野菜をその場で買って食べられるサービス。今年1月に試作版をスタートし、4月22日には、東京都内の一部エリアで正式にサービスを開始した。
冷蔵庫はコンペイトウが契約企業に無料で貸し出す。同社の担当者が週1回、野菜や果物を補充する仕組みだ。
野菜や果物は、北海道や宮崎県、鹿児島県などの生産者から直接買い付けている。小型のミニトマトや金柑、キュウリ、ニンジンなど、洗わずにそのまま食べられるミニサイズの商品が中心で、レンジ調理に対応した「ミニじゃがバター」などの商品も開発した。
現在までにサイバーエージェントやクラウドワークスといったITベンチャーを中心に約50社が導入済み。新規の問い合わせも相次いでおり、2014年内に1000拠点の導入を目標に掲げる。