ウクライナ東部 戦闘で30人以上死亡5月6日 20時26分
ウクライナ東部では、軍と親ロシア派の武装集団の戦闘で、双方合わせて30人以上が死亡するなど混乱が拡大するなか、中心都市ドネツクの空港では、ほとんどの便が運航を停止したり、一部の銀行が営業を取りやめたりするなど、市民生活にも影響が出始めています。
ウクライナ東部では、自治権の拡大を求める親ロシア派が、今月11日に住民投票を強行する構えを示すなか、暫定政権は、地元政府の建物の占拠を続ける武装集団への軍事作戦を強化しています。
暫定政権は6日、スラビャンスクなどの戦闘で、ウクライナ軍の兵士4人が死亡したほか、武装集団側も30人以上が死亡したと発表しました。
中心都市ドネツクでは、国際空港でほとんどの便が運航を停止したほか、暫定政権寄りの銀行も、これまでに、親ロシア派に支店を襲われ安全が確保できないとして、営業を取りやめました。
これによって、現金の引き出しができなくなり、混乱が長引くにつれ、市民生活への影響も出始めています。
こうしたなか、ドネツク州で武装集団側と交渉を行ってきたタルタ知事が、6日、暫定政権側と地方への権限移譲について意見を交わすためキエフに向かうなど、事態打開を模索する動きも出ています。
しかし、親ロシア派の武装集団の幹部はロシア国営通信とのインタビューで、「われわれは、最後まで戦う。この町を守ることができなかったときには住民も全滅するだろう」と述べ、徹底抗戦の構えを強調しました。
ドネツク州知事「地方分権で合意の見通し」
ウクライナ東部ドネツク州のタルタ知事は、6日、首都キエフに向かう専用機の中でNHKのインタビューに応じ、「暫定政権と地方への権限移譲について話し合う。ドネツク州の提案にもとづいて合意する見通しだ」と述べ、地方分権について暫定政権と合意できるとの見方を示しました。
そのうえで、「地方への権限移譲が実現すれば、問題は解決に向かう」と述べ、自治権の拡大を求めて州庁舎などの占拠を続ける親ロシア派との対立が激化するなかで、暫定政権が地方分権に同意すれば緊張緩和につながるとの考えを示しました。
巻き添えの看護師の葬儀
ウクライナ東部では、軍が親ロシア派の武装集団への軍事作戦を続けるなか、戦闘に巻き込まれて死亡した21歳の女性看護師の葬儀が行われ、集まった人々は、暫定政権側への怒りをあらわにしていました。
ロイター通信が目撃者の話として伝えたところによりますと、看護師は今月3日、軍事作戦が行われているクラマトルスク近郊の道路で病院に向かう途中、ウクライナ軍の装甲車から銃撃されて死亡したということです。
クラマトルスクでは、5日、中心部の広場で亡くなった看護師の葬儀が行われ、親族や友人らが花をささげて、最後の別れを告げました。
葬儀に参加した住民の1人は「まだ子どもだったのに無差別に撃たれて殺されたなんて、この国に正義は存在していない」と話し、暫定政権に対する強い怒りを示していました。
ウクライナ軍と親ロシア派の衝突が激しさを増すなかで、一般市民の犠牲もでており、住民の間では不安が一層、広がっています。
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