<49> Kombucha コンブチャ
今月もせっせと自著を書き上げるためにリサーチと著述、時々ベリーダンスの日々です。もうすぐ書き上がるはずなのに、最終章でリサーチにはまり込み、時間がやけにかかっています。でも実際は知識を深めるための大研究になっており、今まで見落としていたような発見がたくさんあります。毎日が目からうろこで楽しいです。ところでリサーチ続きで余分なものもリサーチしてしまいました。ちょっとショッキングとも言える発見です。
5年程前からホールフーズ・マーケットなどのチルドコーナーに売っている奇妙な名前の瓶詰めドリンクが目につきました。“KOMBUCHA” と書いてあります。「誰がアメリカに来てアメリカの昆布茶なんて飲むものか」ともちろん無視。マシューは「ぼく昆布茶好きだけど、あれは何だか変な味だよ。本当の昆布茶を今度来るとき持って来てね」なんて言っていたので、コロッと態度を変えて例のオレンジの缶をいそいそと送ってあげたりしました。ちなみにマシューは忙しすぎてストレスが高まって来ると、オーバーヒートする前に昆布茶を入れて、じっくり味わうのだそうです。そのうちにストレスがスーッと緩んで来るそうです。・・・・でもこの昆布茶とは違うアレは何なのかしら?きっと”カラオケ“が”ケイレイオキ“になったり ”アサヒビール“が”アサハイ“になっている世界なので、深く考えるのはよそうと忘れることにしました。それで突然思い出せば、私たちの結婚式(サンフランシスコのノブヒルという場所にある教会)に進行の補佐役の優しいアメリカ人の女性が黒無地の紋付の喪服用羽織を洋服の上に着ておられました。着物を着ていた母がえらく驚いていましたが「日本人が来るのでわざわざ気をまわしてアンティックマーケットで買ったものを着てくれたのでは」と言っていました。しょうがない、この地では私たちは主役ではないのだから・・・・とは言っても昆布茶はどうするの!?何だかその後、世界中で見るんですけど。 3年前、プロヴァンスにいるとネリー(グロジャン博士)が「はいアヤコ、コンブチャでも飲んでリフレッシュしてね」と飲みかけの大瓶を持って来ます。もちろん得体の知れない飲み物は飲みたくないので無視。「おいしいの?」と聞くと「身体にすご〜くいいのよ」とウットリして飲んでいます。変なの・・・・フレーバーを見ると“Original”,”Gingerade”,“Citrus”, “Chocolate”,"Cherry"など、ますます謎が深まるばかり。でも人生は忙しく、あっという間にこの話は忘却の彼方へ。 そして数日前、Yahoo! Healthのコラムを読んでいたら健康に良い飲料として紹介されているので、ついにじっくりとこれが何者かを調べて読むことにしました。最初はもしかしたらスペイン語から来たのかもしれないと一瞬思ったのですが、わかったことは、やはりKOMBUCHAは日本語の昆布茶からの誤訳からネーミングされたそうです。そして本当は何者かと言うと“ブラック・マッシュルーム”だというのです。紅茶に培養したキノコの胞子を育てて、マッシュルームを育て、その酵素がいろいろな健康へのメリットがあるということです。元々はロシアから来た飲み物“チャイヌイ・グリブ”・・・・・こ、これは自分が小学校のときに母親たちが凝りに凝って飲んでいた「紅茶キノコ」!!そうです。間違いなくそうです。梅酒をつくる大きな瓶に紅茶をいれて、上にクラゲのような物体が浮かんでいる、あれは何だったのかとたまに思い出すこともありましたが、健康ブームのひとつに過ぎないものと片付けていました。いいえ、違うようです。これはモンゴル原産で,19世紀からロシアで伝統的に飲まれて来たそうです。ヨーグルト類もそうですが、ロシアはやはり発酵食品の宝庫なんですね。そしてやはり日本はロシアに近いので、いろいろな文化が自然と入って来ているのが理解できました。ピロシキ、ボルシチ、ストロガノフ、ロールキャベツ、ヨーグルト、ケフィア・・・コンブチャ・・・すでに20世紀初頭にはこの誤訳”KOMBUCHA”のネーミングはすでにあったそうです。英語の文献で“日本の紅茶もBlack Teaのことを赤いお茶と誤記している”と書かれていましたけど。 これの正体は産膜酵母(トルラスボラ・デルブリュッキイ)、天然生菌酵母(サッカロミセス・ブラウディ)、酢酸菌(アセトバクター・キシリーヌム)などで、含まれる成分は複数の有用菌と酢酸がメインで、乳酸、酪酸、蓚酸、ビタミンB類、0.5〜1.5%以下のアルコールを含むそうです。pHは2.5〜4.6でそれ以下になると酸度が強く通常の摂取に耐えられなく、以上になるとカビやその他微生物の汚染につながります。容器もガラス容器か瀬戸物、ステンレスで清潔な状態で培養しないと毒素をつくり出すことになります。発酵するのと微炭酸性なので、通気性のよいフタにしておかないと小爆発が起きそうです。冷蔵庫にしまっておく方と、暗く温かい昔ぬかどこを置いておいたような戸棚にしまっておく方がいるようです。 効果としてはデトックス、血液浄化作用、でんぷん質の分解を助けるので胃腸のためにもよく、便秘には効果的だそうです。他に高血圧、肝臓や腎臓の障害、皮膚のトラブル、またはそれらの防止です。美容的な効果は皮膚を美しくして弾力性を与える、アザやシミを薄くする・・・などです。 学術論文ではスイスの“紅茶キノコ発酵によるコンブチャ飲料の微生物学と発酵バランス”(Microbiology and Fermentation Balance in a Kombucha Beverage Obtained from Tea Fungus Fermentation)がありました。生理活性物質があることを認めています。 ナタデココもフィリピン産の紅茶キノコ自身だそうです。熱処理をしてあるので、これにはあまり薬効は期待できなさそうです。案外至近距離で、あの紅茶キノコは存在していたんですね。何だか培養したくなってきました。日本にはもうほとんど売っていないようなので、アメリカから取り寄せてみようかな?興味ある人います? ■
[PR] by lsajapan | 2012-02-28 10:53 | ホリスティック・ヘルス
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LSA (ロンドン・スクール・オブ・アロマテラピー・ジャパン) の校長バーグ文子が学校の紹介、アロマテラピーや自然療法、役に立つ情報などについて気ままに語ります。ウェブサイトはwww.lsajapan.com by lsajapan カテゴリ
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