JAの選果場は今トマトの出荷作業で大忙し。
トマトといえば夏野菜のイメージがありますがここは秋から6月までの冬・春トマトの産地なのです。
熊本はトマトの生産量が全国一。
秋から春にかけて収穫されるトマトは甘くて濃厚。
栄養もたっぷり!農家で一個一個の糖度を測り丁寧に箱詰めされるトマトが塩トマトです。
歯応えのある食感。
小ぶりながら酸味と甘みのバランスが絶妙。
糖度は8度から12度。
温州みかん並みの甘さです。
(スタッフ)おいしいかな?おいしい?あっおいしい。
塩トマトは海の近くの干拓地で育つトマト。
土壌には多くの塩分が含まれています。
ミネラルなど海の恵みがいっぱい!この土が塩トマトを生み出すのです。
人為的に出来る土壌じゃないですねこの土は。
自然の恵みのトマトです。
発酵がもう始まってるんですよ。
50度近くなると手を入れるともう入れておられなくなる。
この味を最大限に引き出すため自然の力を生かした農業が行われています。
おいしいですもん。
おいしいですしねありがたいですもんねああいうトマトを届けてもらえるっていうのは。
塩トマトのおいしさは全国に広がり続けています。
今回の『日本!食紀行』は大人気の熊本産塩トマトをご紹介。
自然の力を生かしたトマト作りに学びます。
塩トマトは熊本県南部の干拓地でおよそ50戸の農家が栽培しています。
出荷量は年間およそ300トンあまりです。
この地域でトマトの栽培が始まったのは今から60年以上も前。
土壌の塩分が多いためにトマトは大きくなりませんでした。
塩害を受けた出来損ないのトマトとして農家は自家用として食べたり廃棄したりしていたのです。
しかし食べればとても甘くおいしかったのです。
古川直哉さんはおじいさんの代から3代にわたりこの干拓地で塩トマトの栽培をしています。
去年から後を継いだ直哉さん。
おいしいトマト作りに励んでいます。
やっぱり試行錯誤…。
やっぱり色んな仕方…。
そういうのも自分なりに勉強して。
自分もやっぱり失敗してここまできたっていう…。
父親の寿男さんが苦労を語ってくれました。
塩トマトっちゅうのはなんといいますか…。
みんなが笑いよったけんですね。
小さいし規格外だし金は取れんし…。
まあそういう感じの…。
袋で。
当時当時1円ですよ1円。
(スタッフ)1円?
(寿男さん)1円。
(スタッフ)500グラムで1円?産地の努力もあって20年ほど前から少しずつそのおいしさが全国に知られるようになっていきました。
今では普通のトマトの10倍もの値段がつきます。
全国に出荷される他地元でも贈答用として人気があります。
今その需要は高まる一方。
需要に生産が追いつきません。
澤村輝彦さんの農園でも収穫作業が忙しくなってきました。
澤村さんは4ヘクタールのハウスで300トンのトマトを作っています。
このうち塩トマトは10トン。
全体のわずか3パーセントです。
元々塩トマト独自の品種はありません。
澤村さんが植えつけるのは桃太郎。
しかしそれが育つ土壌によって塩トマトに変わるのです。
だから我々が人為的に出来るもんじゃないんですよこれ。
だから澤村さんは農薬や化学肥料に頼らない有機農業でトマトを栽培。
去年JAS規格の認証を受けました。
澤村さんの日課はハウスの見回り。
全ての苗を見て回ります。
ちょっと見ると安心するんですよねはっきり言って。
見てないと…たまに家を空けるとほら…ねえとにかく心配ですよ。
元々トマトは病気が発生しやすい作物ですが農薬を使わないので一時も気が抜けないのです。
(澤村さん)温度上がりすぎるばい。
ちょっと…うん広く開けたほうがいいばい。
これだけ気温が高いとハウスの中は逆に…。
今日20度ぐらい外気温上がると言いよるでしょ。
ハウスの中はもう35度近く上がるんですよ。
真夏ですよ。
こいつたちは…。
俺たちは常に暑ければ服を脱ぐでしょ。
でもこいつたちは裸の状態ですよ寒い時も暑い時も。
だからそこをねちゃんと理解してしないと…。
トマトの植えつけから収穫が終わるまでの8か月気の休まる日はありません。
塩トマトの目印はベースグリーンと呼ばれる濃い緑の模様。
そしてトマトの中心から伸びる放射状の線。
どうしてこのようになるのか?研究をしている大学を訪ねました。
(松添さん)そういった事で濃い緑がですねついてると。
塩トマトは自ら栄養分を作り出し生きていこうとしているのです。
では放射状の線は?
(松添さん)これはですね…維管束といって水分とか養分を運ぶ組織ですね。
過酷な条件で育てているという事でトマトも生きるために必死なんですね。
そのためにより多くのですね養分とか水分をなんとか吸おうという事でこうやって維管束はですね大きく見えるんだと思いますけどね。
金色に光る産毛。
トマトの実や茎にはびっしりと毛が生えています。
根からの水分が制限されるため空気中から水分をとろうとしているのです。
トマトの実に限らずですね花もそうですし葉っぱもそして茎もですね恐らく根もですねなんとか生きていこうと。
そういうふうに…。
普通のトマトと塩トマト。
普通のトマトは塩トマトのおよそ10倍の重さがありますが…。
(松添さん)はいこのようにですね普通のトマトは浮いてしまうと。
まあこれは普通なんですね。
じゃあこちらにですね塩トマトを入れてみますけれども…。
どうでしょう?どうでしょうかね…。
水より密度の高い塩トマトは沈みます。
塩トマトは小ぶりながらしっかりと実が詰まっているのです。
さらに栄養価も高い事がわかりました。
塩トマトはですね通常のトマトと比べまして糖度が高いという事はもちろんの事リコピンが約6倍βカロテンが約4倍高いという数値が出ています。
塩トマトには元気になる栄養がたっぷり!
(上田さん)うまみ成分のほうも通常のトマトと比べまして高いという事がわかっております。
中でですねアスパラギン酸またはグルタミン酸のほうが通常のトマトと比べ倍以上の数値が出ているという事がわかっています。
塩トマトのおいしさは数字の上でも裏付けられました。
塩トマトを作っている澤村輝彦さんはこの日早朝から近くの川に向かいました。
目的はクレソン。
旬のクレソンはトマトの肥料になるのです。
植物が一番エネルギーをため込んでいる早朝に刈り取ります。
良太お前も覚えとけよ。
力があるっていうとね。
作業の現場は農業を目指す若手のスタッフを指導する場でもあります。
(澤村さん)一番最初にこの冬を乗り越えて伸び出すのが…このクレソンが一番早いみたいですね。
(澤村さん)まだねほら真っ白く霜もまだついてる感じでしょ。
これなんか。
クレソンはすぐに黒砂糖とともに漬け込みます。
黒砂糖はクレソンに付いている微生物の発酵を促すのです。
2週間後肥料が出来上がりました。
若い新芽の時だから一番いい時でした。
多分いいのが出来ています。
トマトの肥料の原料はクレソンの他アケビやタケノコなど6種類。
これがアケビ。
(澤村さん)これアケビですね。
(澤村さん)これ100キロぐらいのアケビで作ったんですけどねこれくらいだけど。
このアケビはすごいパワーがあるやつです。
パワー全開のアケビとこれはタケノコ。
どれも生命力に溢れる旬の時期に作ったものばかり。
これらを混ぜ合わせてトマトに与えます。
その土地で育った旬のものをトマトに与える事が大事。
人間と同じだと澤村さんは考えています。
(澤村さん)魚粉魚は主に窒素分が多い。
植物の体を作るとこの大きな要素だけん我々の…人からするとこの筋肉とか骨格を作る五体を作る栄養素よね。
土に入れる堆肥も魚粉や米ぬかカキ殻など自然のもので作ります。
どれも植物の体を作るのに必要なものばかりです。
(澤村さん)手を入れてみて。
この中に。
中は微生物による発酵が進んでいます。
植物が堆肥を吸収しやすいような状態にするのです。
おいしいものはおいしいにおいがするだろ。
おいしくないものはいいにおいがせんだろ。
だからやっぱり単純に見分ける時にはそういう考え方でいいのかなって俺は思ってる。
五感を総動員してトマトの肥料は作られます。
(澤村さん)ただ肥料と我々は思うけどトマトにすればご飯なんですよ。
植物にするとみんなご飯。
だからいいご飯を食べるといい栄養になって成長出来るけど。
ちょっとねあるじゃないですかやっぱり傷んだものちょっと古いもの食ったりする…食べるとおなかをちょっとこうね下痢する事あるでしょ?一緒なんですよ。
植物も一緒。
植物が吸収しやすいような形まで手をかけてやるとやっぱりやったあとその植物の勢いも全然違いますし。
そういうの実感するとやっぱりすごいなあっていうふうには思います。
発酵が均一になるよう5回ほど切り返します。
今楽しいですよ。
面白い。
こんなにもの作りが楽しいのかなって思うんだけど。
そしてみんな口に入れるものでしょ。
そんな仕事って誰でも出来ないですよね。
そういう事考えると農業ってね考え方じゃ…。
いろんな大変な面もあるけど考え方じゃすっごい面白いしすごい仕事だなってなんか思うんですけどね。
土作りも自然の力をもらったもの。
一面に積み上げてあるのは海岸に生えていた野生のヨシ。
ヨシの持つ自然のエネルギーを利用するのです。
(澤村さん)うっすらと見えますかね?この白いね…。
これは3か月前に切ったヨシ。
ヨシには作物を育てるために役に立つ微生物がたくさんいます。
微生物によって分解が始まっていました。
これがもう丸1年するとこうなって…。
少しまだ原型があるじゃないですか。
原型が少しねこうやって。
これが丸2年するともう完全に土になっちゃうんですよ。
2年も経つとヨシは微生物によって完全に分解されフカフカの土になるのです。
っていう感じかな。
生き物がたくさんすむこの土を加える事で元気なトマトが出来ると考えています。
数字とか目に見えるものだけで判断しがちだけどなんかねやっぱりそういう…私たちの農業はそういう事よりももっと目に見えない中で動いてる部分が多いじゃないですか。
農業とか自然のすごさというか面白さというか…ねっ。
楽しいですよだから。
早春平年より異常に気温が上がった日がありました。
その翌日…。
あの先を見ると茶色っぽくなってるでしょ?あれは全部この病気で葉っぱがやられてるんですよ。
ハウス内で気温が急激に上昇したのに換気をしなかったためひと晩で病気が発生したのです。
(澤村さん)果実もダメ。
葉っぱもやられるし。
こういうふうに黒っぽくなって中までやられちゃうんですよね。
もうひと晩ですよ。
初めてですけれどもB型のウイルスの風邪をひきまして…。
ちょっとね来たかったんですけれどもちょっとまあ…ちょっとそこをサボってしまったというか。
病気だろうがなんだろうが寝てる暇じゃないんですよねホントは。
澤村さんは有機栽培のため薬を使う事が出来ません。
残念というよりもトマトに対して申し訳ないというかね…。
もう止められないんですよ。
止めてやりたいけど。
我々が諦めたらすぐ植物はわかりますからね。
気持ち的に諦めたらすぐ出る。
元に戻るようにはします。
こういう粉ですよ。
ホント小麦粉みたいな。
病気を抑えるために澤村さんが使っているのは自然の白土。
粘り気がありトマトにかける事で菌を包み込み広がらないようにするのです。
即効性はありませんが少しずつ病気は収まっていきます。
ひと月後再生した芽が出ていました。
関東地区で澤村さんの塩トマトを一手に引き受けるのは世田谷にある青果物の卸問屋。
ここには宮澤さんが選んだ野菜が全国から送られ飲食店などに運ばれます。
澤村さんの塩トマトも1週間に40キロ卸しています。
神楽坂の和食屋さん。
和食居酒屋みたいな…。
(スタッフ)あちこちに行くんですね。
そうですね。
色んなところで使われて…。
洋食でも和食でも使えるので。
(スタッフ)どういう印象をお持ちなんですか?元々小さいですからねなんかこう食感がはっきりしてて硬いトマトだなと思いましたね。
(スタッフ)味はいかがですか?やっぱり甘いと思いましたよ。
味に惚れ込んだ宮澤さん。
以来精力的に販路を開拓してきました。
横浜市内のショッピングモールではこの日塩トマトを使ったお総菜のキャンペーンが行われました。
うんおいしい!甘みもあるしやっぱりなんか塩も感じますよね塩トマトというだけあってね。
もうねそのものにお塩が付いててホントに何も付けなくて生のまま食べられてすごいおいしかったなと思って。
いやあいい素材です。
ホントにいい素材です。
それをちょっとみんなに普及して少しでもみんなにわかってもらえるような事が出来ればいいなと思って。
このレストランも宮澤さんの店から塩トマトを仕入れています。
小貫さんは自分の納得する素材を選びお客さんに料理を提供しています。
塩トマトと一緒にサラダに使われていたのはクレソン。
野菜がクレソンを食べて育っているのでそのクレソンを食べた野菜…トマトを今度は僕たちが食べてもいい循環なので絶対これはおいしくないはずがない。
(小貫さん)これも焼くとトマトのジュースが出るのでそれを全部パンに吸わせちゃう。
(小貫さん)パンもトマトの味がするので全部で塩トマトを食べてるっていう発想ですね。
普通のトマトよりか深い。
味が濃ゆいっていうんですかね。
子供にも食べさせてあげたいっていうぐらい甘みを感じる。
やっぱり生産者の作ってくれたトマトを僕は何か別の形にして調理をしてお客様に届けるというそのホントにちっちゃな間の仲介役みたいなものなので…。
なのでなるべくしっかりと味を伝えてどういうものなのかってその価値を伝えるというのが僕の仕事なのかなって思いますね。
(スタッフ)愛情を持って作ってらっしゃるんですね。
(小貫さん)おいしいですもん。
おいしいですしねありがたいですもんねああいうトマトを届けてもらえるっていうのは。
思い浮かべる事があるんですよね畑の風景とか…。
自然のままこの場所に毎年同じように塩トマトが採れるっていう。
要するに澤村さんの思いはちゃんと伝わっていました。
小貫さんは塩トマトの新しい料理に頭を巡らせています。
これから気温が上がるとますます塩トマトがおいしくなっていくのです。
4月気温が上がるとハウスのトマトはますます水が吸いにくくなり厳しい環境となっていきます。
そんな中で生育するトマトのため一層の手入れが必要となります。
この日は完成した堆肥を入れました。
しかし反面糖度はぐんぐん上がっていくのです。
うまくなってきたなホントに。
うまくなってきた。
澤村さんの会社には農業高校や大学を出てまた新しいスタッフが仲間入りしました。
全く違う職場から農業に飛び込んだ人たちも澤村さんの農園で学び始めました。
時間をかけて収穫した商品…商品っていうか野菜作物っていうのはそれこそ自分が魂を込めて作った野菜なのでもう自信を持って消費者さんに提供出来ると思うんですよね。
学びたい事を学ばせて頂けるのでホント充実しまくってますね。
夢は自分の農園を持ちたいというのはありますね。
体も心も鍛えていこうかなと思っています。
自然を敬い自然の力を生かした農業。
それは海からの贈りものトマトが教えてくれた事です。
次回の『日本!食紀行』は石川県の郷土料理治部煮。
加賀百万石のおもてなしに学びます。
2014/05/04(日) 06:00〜06:30
ABCテレビ1
日本!食紀行[字]
日本全国各地の「食」を通して、地域の歴史や文化、人々の英知や営みを学び、温かいコミュニティーなどを四季折々の美しい風景とともに描き出す教育ドキュメンタリー番組。
詳細情報
◇番組内容
今、大人気の塩トマト。甘くて濃厚で栄養もたっぷり!熊本県八代地域で栽培されています。以前は塩害を受けた、できそこないとして、農家が自家用として食べたり、廃棄したり…しかし産地の努力もあり、次第にその美味しさが全国に広まり、今ではなんと普通のトマトの10倍もの値が!
◇番組内容2
今回ご紹介するのは、堆肥も土作りも自然の持つ力を最大限に活かした有機農法で作られる塩トマト。まさに自然からの贈りものです。そのまま食べてももちろんジューシー!絶品サラダや創作料理もご紹介します!
◇ナレーション
宮川理佳(フリーアナウンサー)
◇音楽
エンディングテーマ曲
Bom Dia ! / 柏木広樹
◇制作
企画:民間放送教育協会
制作著作:熊本放送
◇おしらせ
☆番組HP
http://www.minkyo.or.jp/
◇おしらせ2
この番組は、朝日放送の『青少年に見てもらいたい番組』に指定されています。
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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