全国高校サッカー選手権決勝。
国立競技場は大きな富山コールに包まれていました。
2点を追う富山第一高校。
後半42分。
1点を返します。
終了間際同点に追いつき延長戦へ。
延長後半残り1分。
富山第一が大逆転で初の日本一に輝きました。
グラウンドに立てた選手立てなかった選手。
それぞれが自分にできる事を突き詰めてつかんだ優勝でした。
決勝ゴールを決めた選手。
試合に出られなかった仲間を思いプレーしました。
あと一歩のところでメンバーから漏れた背番号10の3年生。
スタンドから声援を送り続けました。
「夢かなえても夢破れても誇りを持って」。
その教えを胸に成長していく若者たちの姿を見つめました。
歓喜の日本一から3日後。
全校生徒を前に優勝報告会が開かれました。
優勝の原動力として意外な存在を挙げました。
(拍手)大会に出られなかった3年生たちです。
サッカー部のクラブハウスです。
練習前大塚監督が選手全員に課している事があります。
自分の机の脇に置いた体重計で一人一人に計測させるのです。
それぞれが自分を見つめるきっかけにしてほしいと考えています。
全国選手権25回出場の富山第一サッカー部。
中学時代に活躍した選手が集まります。
部員100人もの大所帯。
レギュラーになれない人がほとんどです。
しかし大塚監督は厳しい競争の中で選手が自分と向き合う事に意味があると言います。
大塚さんは高校時代全国大会に出場し大学サッカーの名門に進学。
そして日本代表が名を連ねる実業団に入団しました。
しかしレギュラー争いは熾烈で初めて試合に出られない日々を経験します。
僅か24歳で引退しました。
その後指導者となった大塚さん。
競争の結果がどうあれやるべき事を果たして自分に誇りを持つ事こそが大切だと考えています。
大切な事に気付いたという選手がいます。
決勝ゴールを決めた村井和樹君です。
実はかつて慢心から仲間の信頼を失った事がありました。
抜群の運動能力で1年生の時からレギュラー候補でしたが練習をサボりがちだった村井君。
2年生の時準備を全くせずに練習試合に途中出場して大塚監督に厳しく叱られました。
この試合のあと大塚監督は村井君を練習から外しました。
2週間グラウンドに入る事を許されなかった村井君。
試合に出たいと必死に練習する仲間たちの姿を見つめました。
その後村井君は誰よりも早く来て自主練習に打ち込むようになりました。
(歓声)2点リードされた試合終盤19番の村井君が起用されます。
後半42分。
村井君がつないだパスから…。
(歓声)試合の流れを引き寄せるゴールが生まれます。
延長戦に入ったあとも…ボールに食らいつきます。
(ホイッスル)両チーム死力を尽くした試合終了間際。
迷わず振り抜きました。
村井君が真っ先に向かったのは仲間が待つスタンドでした。
ホントいろんな人に…。
スタンドで応援を続け日本一の瞬間を迎えた3年生がいました。
ユニホームにはエースを示す10番。
ただしそれは二軍のものでした。
中学まではサッカー部のエースでキャプテン。
国立でプレーする事が夢でした。
10番着て…。
富山第一へはレギュラー争いが厳しいものになると覚悟の上で進学しました。
練習量では誰にも負けまいと努力を重ねた川上君。
一軍に度々入ったものの定着はできませんでした。
去年の秋大塚監督が発表した全国大会のメンバーの中に川上君の名前はありませんでした。
夢を断たれた川上君。
それでもチームのために自分は何ができるのか考え続けました。
大会直前川上君はメンバーに漏れた3年生と共に試合に出る仲間にメッセージを送りました。
(声援)スタンドで声を出し続けた川上君。
(ホイッスル)
(歓声)日本一の瞬間抑えていたものが込み上げました。
・「あおげば尊し」3月上旬。
サッカー部の3年生37人は卒業の日を迎えました。
あの日グラウンドに立てた選手立てなかった選手。
学んだ事を胸に刻みそれぞれ旅立っていきます。
(一同)・「レインボーレインボーレインボーレインボー」はい!はいはいはいはい!仲間の多くが大学でサッカーを続ける中川上君は就職する事になりました。
建物のシャッターを取り付ける仕事です。
母の朋子さんが勤めてきた建設会社で一緒に働きます。
(朋子)そうそう。
ちょっと後ろ見てみ。
そうだね。
こんな感じです。
ちょっと変でしょ?朋子さんは川上君が6歳の時に離婚。
息子3人を育てるために昼も夜も働いてきました。
そんな母の姿を見て川上君は就職を決めたのです。
息子は本当は大学でサッカーを続けたかったのではないか。
その思いが朋子さんの心から離れませんでした。
(朋子)「自分の境遇を残念だなって思うんかな。
オカンが3人にゎ思い通りの進路へ導いてあげらんなくて甲斐性なくて本当にゴメンネ。
いまになってもしかしたらオカンゎ無理矢理シャッターの道に連れて行くんじゃないかって心配になってます」。
このメールに川上君からの返信はありませんでした。
働き始めて1週間川上君は母と一緒に現場を回っていました。
切ってある?これって。
切ってない。
そう。
仕事の先輩である母に質問を重ね早く一人前になろうとしていました。
今自分にできる事。
母のメールへの返事は前向きに働く姿を見せる事だと考えていました。
この日はお年寄りが暮らす民家のシャッターの交換を頼まれました。
川上君はシャッターの部品を組み合わせる作業を初めて一人でやりきりました。
ありがとうございました。
川上君が新たに歩み始めた自分の道です。
富山第一高校サッカー部。
今年も新しいチームが動き始めました。
同じ頃。
決勝のゴールをあげた村井和樹君は愛知県の大学でサッカー部の練習に参加していました。
2部リーグにいるチームを1部に昇格させる新戦力として迎えられたのです。
自分に求められている事をかみしめながら練習を続けています。
川上潤平君。
働きながら週末は社会人チームでサッカーを続ける事にしました。
よろしくお願いします。
厳しい競争の中で3年間くじけずにレギュラーを目指し続けた川上君。
その事を知る社会人の先輩たちがくれた背番号は10番でした。
エースナンバーを背負って新たな人生を走りだします。
年間の売り上げ4億円。
2014/05/04(日) 08:00〜08:25
NHK総合1・神戸
目撃!日本列島「夢かなえても 破れても〜富山第一サッカー部 旅立ちの春〜」[字]
全国高校サッカー選手権で日本一となった富山第一高校サッカー部。優勝を支えたのは“自ら考える”という恩師の教えだった。それを胸に学びやを巣立っていく高校生の日々。
詳細情報
番組内容
大切なのは“自ら考え、自ら目標を立て、自ら努力すること。“恩師の教えを受け、この春、高校を卒業し新たな世界へ旅立った若者たちがいる。今年の高校サッカー選手権大会で日本一となった富山第一高校サッカー部の卒業生たちだ。練習から外された選手、レギュラーになれなかった選手…3年間を過ごしたグラウンドで彼らは何を学び、進学や就職など、それぞれの道へと歩み出すのか。卒業生たちの旅立ちの春を記録する。
出演者
【語り】松田洋治
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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