ふるさと再生 日本の昔ばなし 2014.05.04

昔むかし北国の里に辰治という働き者の男がおりました。
ごめんよ!おお!あら誰かしら?それは実家で下働きに雇われている若者でした。
婆ちゃんの具合が悪いので見舞いがてら顔を見せに来いという両親の伝言を伝えに来たのでした。
夏に帰ったときは元気で盆踊りを踊ってたんじゃがのう。
アンタの顔を見ればすぐよくなるさ。
わざわざ使いをよこすくらいだ。
心配だな。
行って来るよ〜!気いつけていってらっしゃい!次の朝早く辰治は婆ちゃんを見舞いに山一つ向こうの実家へ向かいました。
辰治は幼い頃婆ちゃんと過ごした日々を思い出しました。
よいしょよいしょ!おお〜!おりゃ〜っ!!コイツ!泣くんじゃねえ!こりゃあ誰じゃ!辰治を泣かすのは!いけねぇ!婆ちゃが来た!逃げろ〜!待て〜!しかたねえヤツらだ!男の子はそう泣くもんじゃねえ!おらが行くまで元気でいてくれ婆ちゃん!婆ちゃん!おう!辰治か!よう来たな!な〜んも!ちょっと顔を見てぇと思ってな。
昨日まで青い顔して寝込んでたのにお前が来ると聞いたらシャンとして。
おらこんな元気だで!よいしょよいしょよいしょ!こらしょこらしょこらしょ!まったく人騒がせな婆ちゃんだ!辰治は泣き虫じゃけんなよう泣きおったわ!ホントに辰治は婆ちゃん子だでいつも婆ちゃんのあとをついて歩いとったなぁ。
辰治も道すがら思い出したことを話して楽しくすごしました。
おや怪しい雲行きになってきたな。
雨にならなきゃいいがな。
婆ちゃんの元気な顔も見たしおら今日のうちに帰るじゃ。
帰るか!蓑をかぶっていくとええ。
じゃあまたな!婆ちゃん。
気いつけて帰れよ。
今日はありがとうよ。
気いつけてな。
じゃあ元気でな!ああお前もじゃ。
こりゃひと雨くるな…。
なんかいやな風じゃな…。
うっなんだ?なんだ?
(物音)こっちにも。
辰治は怖くなり立ちすくんでしまいました。
(唸り声)どうしよう…ありゃ!
(唸り声)ありゃありゃありゃ!うわ〜!ひぃ〜!なんだこりゃ?あれ?
(唸り声)ひぇ〜!
(唸り声)ひっ…助けてくれ!そのとき…。
うわっ!
(妖怪たち)わ〜っ!わっ!わっわっわっわっ…。
わ〜!よたよたしながら辰治はやっと家に帰ってきました。
ただいま。
あらアンタ!泊まらずに帰ってきたんだね。
ああ。
それよりおらすっげぇもの見たんじゃ。
辰治は今森であったことを話しました。
それはアンタを守ってくれたおくり星だわ。
(辰治)おくり星?次の日畑を耕しているとまた使いの者がやってきて婆ちゃんがゆうべ息を引き取ったと伝えてきました。
あれ婆ちゃん戸を開けっ放しで体に悪いよ。
閉めますよ。
え?婆ちゃん!アンタ婆ちゃんが婆ちゃんが!婆ちゃんは眠るように安らかに亡くなっていました。
そうか。
おくり星は婆ちゃんだったんだ。
婆ちゃんの知らせを聞いてこれを最後に辰治はもう泣くまいと思いました。
泣き虫辰治!さあもう泣くな!山の麓から峠を登ったところに子安地蔵が祀られています。
安産の願いを叶えるというこの地蔵様にひとりの男が夜通し手を合わせていました。
男は難産で苦しむ妻に居ても立ってもいられずお参りに来たのでした。
どうか無事に赤ん坊を授けてくだされ。
夜が明けてきた頃です。
お前の家の近くに川が流れておろう。
ははい。
生まれてくる子はすぐに死んでしまうところだった。
しかしお前の妻と子を思う心に免じて18歳まで生かしておこう。
そそんな…お地蔵様!うわ〜お地蔵様が口をきいた!男は混乱した気持で家に戻ると…。
あれほど苦しんでおったにこのとおり。
男の子ですよお前さん。
やぁ無事に生まれただか。
よかったよかった。
そして7年が経ちました。
いくつかの冬が来てまたいくつかの春が来ました。
田畑を潤し人々の暮らしを支える川。
子供はふるさとの川に親しみやがてたくましい若者になりました。
爺さまそこは深みがある。
そのまま動かんでくれ。
今日は渡し舟が出とらんでのやれ助かったわい。
なんのこの川は庭みたいなもんじゃ。
爺さま気ぃつけてな。
本当にありがとよ。
けれども若者が18歳に近くなると両親の嘆きは深くなりました。
川から遠くへ引き離すんじゃ。
生き延びる道はそれしかない。
うぅ…。
川から引き離す?何のことだおっとう。
問いただす若者に両親は生まれたときのお地蔵様の話を打ち明けたのでした。
だから18歳を迎える前に命を取られる前にお前はできるかぎり遠くへ身を隠すんじゃ。
できるかぎり遠くなんて…。
それが命を取られない唯一の道なんじゃ。
もう一緒に暮らせないとは…。
わかったそれではもう川のそばへは行かない。
絶対に近づかない。
若者はふるさとの川が大好きでした。
ただ両親に心配をかけたくなかったのです。
若者が18歳を迎えた年父親は川岸の普請を監督する役目を受けました。
するとそれを待っていたかのように雨が降り続いたのです。
橋を押す濁流は溢れそうな勢いでした。
(鐘の音)橋が壊れたぞ!橋が流された下の村が危ない心配だ。
おっとうは家にいてくれわしが行く。
何を言うお前はダメだ川はダメだ!そうですよ川へ行ってはダメ。
いや逃げ遅れた人がいないか見に行く。
おい行くな!どうか行かないでおくれ。
戸を中から開けられないようにすると若者は川へ走りました。
《村の者を危険な目に遭わせないでくれ。
洪水など起こさんでくれ》若者は心からそう願ったのです。
もう大丈夫だよ怖くないからね。
川の水はどんどん増えています。
皆さん早く逃げてください。
光?いや気のせいじゃ。
娘さん早く逃げないとここは危ない!私は大丈夫です。
いやこれをかぶって早よう。
でもこの笠はあなたの…。
わしはいいんじゃ早よう早よう逃げるんじゃ。
あれ娘さんケガはないか?そんなところにいては危ない!早く逃げなさい早く早く!私はこの川の主なのです。
えっ娘さんあなたが…。
優しい心根の若者。
約束どおりお前さまを川底へ連れていき命をもらいたい。
けれどもお前さまの親を思う村を思う心はそれ以上のもの。
もう命は取りませぬ。
おお〜っ!
(村人の声)本当によかったこと。
《川の主にわしの気持が通じたんじゃ》それからも若者は川を大切にして暮らしました。
昔ある山里に1人の鉄砲撃ちがいた。
狙った鴨は一発で撃ち落とすので村人たちに鴨とり権兵衛と呼ばれていた。
ところがこの権兵衛は怠け者でめったに山へ出かけない。
いくらおらの腕がよくたって一発撃って一羽しかとれねえ。
いっぺんに100羽もごっそりとれねえもんかのう。
なんてことばっかり考えてゴロゴロしている。
腹が減るとしぶしぶ山へ出かけるのだった。
そんなある日の寒い夜明け前山の沼へ来てみるとなんと凍てついた沼に何十羽もの鴨が凍りついたまま眠っている。
お〜いたいた!100羽とはいかねえども鴨がみんな氷に足をとられて固まっておるぞ!権兵衛は凍った鴨の足に次々と縄をかけて回った。
こりゃええじゃねえか!思ったとおりの大儲けじゃウヒヒ!ところが夜が明けておてんとうさまが上がってくると。
ん?あたりが暖かくなって沼の氷が溶け始めた。
すると凍っていた鴨たちの羽もゆるんできて一斉に空に舞い上がった。
うわぁこれはどうしたこった!?おっとっと!あ〜っ!あわわ待て待てどこへ行く!?権兵衛は鴨と一緒に大空を飛んでいった。
野を越え山を越えどこまでも飛び続けていくうちに鴨の足にくくられた縄がプチンプチンと切れて鴨がどんどん離れていく。
おいおいこれは大事じゃ!お〜いこんなところにおらを残してどこへ行くだ!助けてけろ!助けて!権兵衛が落っこちたのは奈良の大仏様の大屋根だった。
(鐘の音)権兵衛が恐る恐る下を見ると権兵衛の村の衆が寺の中から出てくるのが見えた。
上方見物の途中大仏様を拝んできたところだった。
お〜い村の衆じゃねえか。
俺だ!なんじゃいオメエ鴨とりの権兵衛でねえか。
そんなところで何してるんだよ。
おう。
沼から鴨につかまってここまで来ちまったんだ。
なんとか下ろしてくれや!下ろせいうてものう…。
そんげな高さじゃハシゴもかけられん。
頼むなんとかしてけろ。
おらおっかなくてチビりそうだ。
わかったわかった。
おらたち大風呂敷広げて待ってるからよ。
ほらここ目がけて思い切って落ちてこい!落ちてこいって殺生な…。
早く!よし落ちるぞ。
え〜い!権兵衛は思い切って飛び降りたが広げた風呂敷を突き破ってそのまま土の底深く潜っていった。
そこは真っ暗闇の地下の果てだった。
ここはどこだ?地獄の釜の底か?あれ?あの明かりは…。
そこには医者殿がいて亡き者の治療をしていた。
《ヒェーッここは亡き者たちの病院か!すると俺は死んでるのか!》これそこの御仁心配するなお前は生きておる。
こっちさ来い。
こんなところに何しに来た?大仏様の大屋根から落っこってな気がついたら土の底だ。
てっきりおらお陀仏になったかと…。
そりゃあお困りだな。
すぐに地上にのぼれる薬作ってやろう。
これをまず半分飲んでのぼりきれないときは残りの半分を飲めばよろしい。
へいありがとうごぜぇます。
ところで医者殿。
何だ?死んじまっても病気になるのかい?墓の中は日が当たらない。
死ぬことはないが健康には悪いのだ。
だからわしも忙しい。
さぁ早く行け。
権兵衛は落ちてきたあたりに戻ると早速薬を半分飲んだがもし出られなくなったら困ると思い切って全部飲んでしまった。
おぉ〜権兵衛今度はどこへ行く?わから〜ん!権兵衛は一気に雲の上にのぼっていった。
何者だ!風の袋が破れるではないか!雲の上にいたのは風の神さんだった。
権兵衛はここに来てしまった訳を話しそして村に帰りたいと頼んだ。
それは災難じゃったのう。
村はどっちだ?あっち。
よし風で送ってしんぜようぞ。
しっかり雲につかまっておれ。
よいか?プハーッ!村に着いたら思い切って飛び降りろ!権兵衛はまた野越え山越え飛んでいった。
おぉ〜おらの村でねえか。
権兵衛は慌てて飛び降りた。
そこは朝に権兵衛が鴨と飛び立った沼だった。
こうしてやっとこさ鴨とり権兵衛の奇妙な旅は終わった。
ん?頭の手ぬぐいを取ってみると小ブナが10匹はねていた。
鴨100羽が終わってみれば小ブナ10匹か。
欲をかくのもいいがせいぜいこのくらいにせいというこっちゃ。
2014/05/04(日) 09:00〜09:30
テレビ大阪1
ふるさと再生 日本の昔ばなし[字][デ]

「おくり星」
「川の主との約束」
「鴨とり権兵衛」
の3本です。みんな見てね!!

詳細情報
番組内容
私たちの現在ある生活・文化は、昔から代々人々が築き上げてきたものの進化の上にあります。日本・ふるさと再生へ私たちが一歩を踏みだそうというこの時にこそ、日本を築いた原点に一度立ち返ってみることは、日本再生への新たなヒントになるのではないでしょうか。
この番組は、日本各地に伝わる民話、祭事の由来や、神話・伝説など、庶民の文化を底辺で支えてきたお話を楽しく伝えます。
語り手
 柄本明
 松金よね子
テーマ曲
『一人のキミが生まれたとさ』
 作詞・作曲:大倉智之(INSPi)
 編曲:吉田圭介(INSPi)、貞国公洋
 歌:中川翔子
 コーラス:INSPi(Sony Music Records)
監督・演出
【企画】沼田かずみ
【監修】中田実紀雄
【監督】湯浅康生
制作
【アニメーション制作】トマソン
ホームページ

http://ani.tv/mukashibanashi

ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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