(テーマ音楽)これは昆虫図鑑?いえいえ北斎が描いたスケッチ…こちらはずらりいろんな踊りのポーズですね。
ほら動きだしましたよ。
人間の何気ない日常の姿から江戸の風俗や文化膨大な種類の動物や植物までまさに森羅万象を描いています。
飾北斎が55歳から90歳で亡くなるまで描き続けた「北斎漫画」。
ヨーロッパに大きな衝撃を与え「ジャポニスム」という日本ブームを巻き起こすきっかけになりました。
マネやドガやピサロやもちろんモネもそうですし新しいものの見方の象徴となったのが「北斎漫画」だった。
アール・ヌーボーの旗手エミール・ガレの花瓶。
このコイの絵柄は「北斎漫画」から写し取られています。
印象派の巨匠ドガの「裸婦」。
「北斎漫画」のお相撲さんにそっくりのポーズです。
世界を驚かせた「北斎漫画」。
北斎が筆の赴くまま描いたスケッチの総数は3,000数百点。
その絵の魅力を縦横無尽に紹介していきます。
「北斎漫画」は1814年に初編が出版され今年ちょうど200年を迎えます。
全部で15編。
北斎の死後明治に入ってからも出版され続けた驚異のロングセラーです。
世界中に散らばった「北斎漫画」を収集し研究している人がいます。
東京・日本橋で古美術商を営む浦上満さんです。
45年間にわたり1,500冊もの「北斎漫画」を集めました。
ほんとに「北斎漫画」っていうのは日本だけじゃなくて世界中に散らばってましたので外国で手に入れたものも1,500冊のうちのやっぱり600冊ぐらいはあるんじゃないかと思いますね。
浦上さんはホームページで「北斎漫画」を使って自己紹介をしています。
「北斎漫画」の魅力に取りつかれてきた浦上さん。
とりわけ好きな絵は?
(浦上)フフフ…これはカエルでしょ。
そして昆虫。
ヘビもいますね。
この芋虫なんて結構かわいくて好きなんですけどね僕。
なんかこう北斎が描くとね個性があるんじゃないかというそういう気すらしてくるんですね。
ただ上手に昆虫をカエルを描いたっていうんじゃなくてそこになんかこうこのカエルなんか「やあ!」なんて感じでね声をかけてきそうな気もするんですよね。
そしてこれはこれで僕すごく好きな図なんですけど太ったおじちゃんやおばちゃんや…ねぇ。
こう寝っ転がって…フフフ。
行水をしていたり今度タイでしょうかね。
太った魚をまさにさばこうとしてると。
そして痩せた人。
これなんか夫婦げんかしてますけどね。
痩せた人が痩せた魚をさばいてますね。
この痩せさんとこの太った人を一緒に並べるとねなかなか楽しいですよ。
魚も太ってる。
太った人がさばいてる魚も太ってて痩せた人がさばいてる魚は痩せているという。
北斎のむしろこの人物観察もさる事ながら愛情を持ってね描いているなと。
これ僕好きなんですよ結構。
(浦上)すごいまったり感が出ててねスケールの大きい感じがするんですよね。
北斎という人は実をいうと人物描いてもそうですけどすごく細かい所に手を抜かずに描いてるんですね。
それもすばらしいんだけど極小と極大って僕言うんですけどそういう細かい事もすごいんだけどものすごく大きな宇宙感というかスケール感でも描くんですね。
それがこの「北斎漫画」の中には縦横無尽に出てくるんですね。
まずは魚。
一見図鑑のようにいろんな魚が並んでいるけどただの図鑑なんかじゃないよ。
どうかその格好に注目してね。
最初はタイでフエフキダイが右向きゃシマダイは左向いてるよ。
そしてコチが2匹。
不思議だねぇ。
右のは真上から見ていて左のはなんと真下から見ているんだよ。
真下から魚見た事なんてある?お次のタカノハはまっとうに泳いでるけど次のムツ真上を向いて泳いでる。
ムツの立ち泳ぎかなぁ。
まあヒラメはよく見慣れた姿だけどなんといってもこのアンコウ。
見てみてよ!大きな口を開けてひっくり返って腹出してる。
これってアンコウの背泳ぎってわけ?お次は鳥。
ちょっとしたアニメーションのコマのように動きを捉えているんだ。
タカが獲物を見つけたか今まさに飛び立とうとしている。
さあ飛んだ!…と思ったらいつの間にやらガン。
ガンが大きく羽を伸ばして飛んでいく。
その隣は小鳥。
サーッと急降下しながら羽ばたいていつの間にやら地上に降りて餌をついばんでいるよ。
動きだけじゃないんだ。
今度はほら昆虫たちが生きて動いているその生態が捉えられているよ。
タバコの一種で花が美しい観賞用のハナタバコ。
葉っぱでは今まさにシャクトリムシが移動中。
毛虫はもぞもぞはい上がっているね。
ああ!上からはコガネムシが下りてくる。
ぶつからないでね。
花にはトンボが止まっているね。
そして花を目がけてクマバチが飛んできたよ。
まさに野原の一角で繰り広げられる自然の姿そのままだ。
こうした「北斎漫画」の動植物の姿がフランスの芸術家たちに大きな衝撃を与えました。
フランスでいち早く「北斎漫画」を取り入れたのが印象派の画家…パリの図書館にブラックモンが制作した銅版画が残っています。
北斎が描いた花や鳥虫や魚の絵に心を奪われたブラックモン。
「北斎漫画」のすばらしさを友人のマネやドガなどに吹聴しジャポニスムの流行が始まったといいます。
ブラックモンの銅版画をもとにした食器のシリーズです。
これらは1867年のパリ万博で受賞し大人気を博しました。
この皿の図柄は鳴き声が張りがあって美しい「鶤鶏」というニワトリ。
これは「北斎漫画」から来ています。
こちらの魚はハゼ。
この愛嬌ある姿は…「北斎漫画」に描かれています。
ハスの花も。
そしてクマバチも。
こうした動植物の姿がなぜフランス人を魅了したのでしょうか。
西洋画の歴史の中でこのように1匹の虫や1つの花をモチーフとする発想はほとんどありませんでした。
人間が一番上にいてその下に人間に近い方に動物がいたりいろんなヒエラルキーが出来てきてやっぱり虫けらだとかちっちゃい昆虫だとかっていうようなものは体系の中の一番下にあるわけでしょう。
だけどそれを描いて何が悪いんだろうかって「北斎漫画」を見て思ったんだろうなと思うんですよ。
虫でも益虫ではないようなものとか例えば見てちょっと気味の悪いようなものとかそういうものが普通にある種やっぱり親しみを込めて表現されている。
やっぱり新しいものの見方の象徴となったのが「北斎漫画」だったんではないかなと思います。
「北斎漫画」の虫や魚など生き物の絵はアール・ヌーボーの旗手エミール・ガレにも大きな影響を与えました。
1878年ガレがパリ万博に出品したのと同じモデルの花瓶。
このコイの絵柄は「北斎漫画」から写し取られています。
ガレは北斎のコイを水の中で揺れる藻や花と共に優雅に泳がせています。
ハスの傍らで勢いよく跳びはねようとするカエル。
これも「北斎漫画」からそっくり写し取られています。
「北斎漫画」に描かれているような小さな生き物たちっていうのは本当に生きている姿で生き生きとした姿で写し出されてますのでガレが楽しんでいるような自然がリズミカルに元気に息づいているようなそんな楽しさが表れているような気がします。
ガレの生き物に対する興味はやがて日本の美意識の一つ「もののあわれ」に深まっていくといいます。
一番最後の最晩年にやはりトンボをモチーフにした脚付杯を作るんですけれどもよく見ると張り付いているトンボに少しずれているような形でトンボの姿をした影がシルエットのように見える。
ガレが恐らく自分がもう死期が近いっていう事が分かっている時に自分の魂が抜けていく姿っていうのをそのトンボになぞらえてというかそういった「もののあわれ」っていうような心日本美術的な美意識っていうのがエミール・ガレの中にも芽生えたというか深く理解されたからこそああいった作品を作ったんだと思います。
北斎といえば「冨嶽三十六景」を思い浮かべる人も多いと思うけどあれは北斎が70歳を越えてからの作品なんだよね。
「北斎漫画」はそれより15年以上前から始まっていて「冨嶽三十六景」のアイデアノートでもあったんだよ。
ど〜んと富士山がそびえているね。
どこかで見た感じしない?そうちょっとズームインしてこう反転すると…ほらあの「冨嶽三十六景」の富士山。
もう一つの富士山。
これってとっても奇妙でありえない風景だって分かる?水面に映る富士山がだいぶ横にずれてるでしょ。
これもそのまま「冨嶽三十六景」になっているんだよ。
北斎が富士山とともに最もこだわったのは形のないものだったんだ。
この絵の主役はなんといっても波だよね。
千変万化する波を捉えようと北斎は「北斎漫画」の中でもいろいろトライしている。
浅瀬を人が歩いているね。
波の線にご注目あれ。
小刻みに震えるような線だね。
それが大きな渦巻きになると太く滑らかな線で引きずり込まれそうだ。
同じ渦巻きでも今度は荒れ狂う波。
アップにするとあの「冨嶽三十六景」と同じようなワシの爪のような波頭だよ。
そして波の傑作と言われるのがこれ。
次々波が寄せてくるね。
よく海岸で見かける光景だ。
そして波が引いていくとまさにこんなふうに見えるよね。
形のない波が捉えられたんだ。
形のないものだけじゃないよ。
北斎は目に見えないものまで捉えようとしたんだ。
それは風。
どうこの虎。
木の葉舞い散る強風の中をまさに風を切って駆けているじゃないか。
このページ全体に春一番のような突風が吹き荒れてるね。
風に翻弄される人々の姿を描いて見えない風を捉えているんだ。
巻物が飛ばされそうになるのを足をふんばり体を傾けて必死に押さえているよ。
風は猛烈な勢いで…ほらこの人着物どころか菅笠まで翻っている。
こんな大風のいたずらをお調子者が面白がってはしゃいでいる。
布が頭に巻きついたのが面白いのかそれとも女性の着物の裾がまくれ上がり懐の紙が舞い上がっていくのがうれしいのか。
そんな人間たちの姿を風景として描き込むとこんな「冨嶽三十六景」の絵になるんだね。
まさに北斎はものすごい観察力で自然の秘密を捉えたんだよ。
火事とけんかは江戸の華っていうけど町の一角で大勢の男たちがけんかしているよ。
はやしたてる者仲裁に入る者助っとする者そして髪をつかみ合って殴り合う者。
にぎやかな声が聞こえてくるようだね。
うちの中もにぎやかだよ。
男も女も酒盛り。
三味線を弾き歌を歌いああ浮かれているね。
…と思ったら隣では奥さんが亭主をとっちめている。
勢いに押されて「いやぁ〜」とか言い訳する亭主の横では産婆さんが妊娠した女性を診ているよ。
ひょっとしてひょっとすると…。
酔い潰れた男がいれば…。
子供を驚かすおやじさんもいる。
くしゃみをするおかみさん。
みんなふだんよく見る姿だね。
こっちじゃ派手な夫婦げんかが始まったよ。
鉢が割れ痩せた女房の髪を亭主がひっつかんでいきりたっているね。
それにしても止めに入った者までガリガリに痩せているのはどうしてなんだろう…。
さてここはお風呂屋さん。
女湯だね。
美しい女性が体を洗っておりますがよく見ると岩田帯を巻いているから妊婦なんだね。
その視線の先には坊主頭の人がほっぺを膨らませて顔をそっているけどどうやら尼さんのようだね。
そしてもう出るのかな…。
お母さんが赤ちゃんを抱いているけどその親子の視線の先にもう一人。
お兄ちゃんかな?手拭いの下に何かあるのか興味津々のぞき込んでいるね。
あのね庶民の暮らしを本当に北斎いろいろ描いてるんですが例えばこれなんかはいわゆるお風呂屋さんのシーンですね。
それで女の人がここで服を脱いでここはもうお風呂の中へ入ってますよね。
ここになんと番台のおじさんがいて本を読んでるようなんですけど何となくちらちらっと見ているのかなという気もするんですが何となく役得というか本を見てますよって顔をして時々目があらぬ方へいくんじゃないでしょうかね。
ほんと庶民がねお風呂いわゆる銭湯に行っているという雰囲気が伝わってますしあと庶民がどのように行楽を楽しんでたかというとこれなんかはピクニックというんでしょうかね出かけていると。
そして女性が今の花嫁さんみたいなものをしてますけどこれは揚帽子といいましてね外出する時に髪にほこりが付かなかったりするためにしたもののようですね。
上の方ではやはりこれ田楽ですかね。
焼いて…。
言ってみればこれ飲めや歌えで宴会をしている図ですね。
庶民もこうやって随分生活を楽しんだんじゃないですか?そういう事が描かれていますね。
ですから庶民の生活を真正面から捉えたというのはやっぱり「北斎漫画」の一つの大きな特徴じゃないですか?人の動作や姿勢がいかにバラエティーに富んでいるか北斎はあらゆる姿を捉えている。
まずはふだんの座っている格好だが体をひねる男が後ろから前から。
肘をついて何か読んでいるね。
その横で女が後ろ向きで読めば向かいの男は前のめりで読む。
その上で女が突っ伏して眠り込んでいると思えば横になって眠ってしまって…あらあら暑いんだろうね。
とうとうもろ肌脱いでしまったよ。
お次は水の中の体の動きだよ。
最初は浮き輪につかまって立ち泳ぎだけどいざ潜るとこんなふうに水の中ならではの姿。
ひっくり返ったり逆さになったりしてまさに自由自在だね。
さあここからは体操選手のようなアクロバチックな姿が次々登場するよ。
これらの姿勢をヨガとして実践している人がいます。
ヨガのインストラクターでありダンサーとしてさまざまなパフォーマンスを行っている…よろしくお願いします。
「北斎ヨガ」をご紹介したいと思います。
まずこちらの形。
肩まわりをすごくすっきりさせてくれる効果があります。
一緒にやってみましょう。
吸う息で背骨を起こし吐きながらゆっくり耳を横へ。
両肘を背骨の延長真ん中に寄せるようにして呼吸を繰り返していきましょう。
吸ってスッと背骨伸び吐いてゆっくりと耳を引っ張ります。
片足を頭の後ろに上げる形やってみたいと思います。
片手を足の間に入れて…よいしょ。
肩の上に足を乗せるようにします。
股関節がグーッと開いていって終わったあと流れがよくなっていきます。
女性は特にホルモンの分泌を促してくれる効果も期待できますのでアンチエイジングにも役立ちます。
膝を持ち上げ吐いてもう一つ胸の方へ。
吸って吐きながら足を大きく蹴り上げていきます。
(オカザキ)体幹をしっかりとつくってくれますしバランス感覚を養う効果があります。
私はこの「北斎漫画」を手本に江戸の体もしくは今の現代に通じるより生き生きとした体っていうのを学ばせてもらってるなと思います。
さてとずらりと踊りのポーズが並んでいるよ。
アニメのように動かしてみるね。
こちらには相撲の取り組みがいろいろあるよ。
じゃあ一番やってみようか。
さあはっけよい…残った!残った残った!残った!残った残った!いやぁ〜残った!ああっ!あっ足を取った!投げた〜!こうした「北斎漫画」の人物スケッチもまた西欧の画家たちに大きな影響を及ぼしました。
後期印象派の画家ゴーギャンもその一人です。
ゴーギャンの有名な絵の一つ。
女たちの向こうでヤコブと天使が戦っています。
その姿はどこか相撲の取り組みのように見えませんか?実は「北斎漫画」の絵から取られていると言われます。
「北斎漫画」との関係が最も取り沙汰されてきたのが印象派の画家ドガです。
帽子をかぶり黒い服を着た女性。
後ろ姿で立つこの変わったポーズをドガは繰り返し描きました。
こちらは「北斎漫画」。
同じように女性が後ろを向いて立っています。
ポーズだけでなく結った髪と黒い帽子の雰囲気までそっくりです。
ドガが数多く描いた裸婦のシリーズの一つ。
たらいの中でかがむ女性。
体を2つに折っています。
こちらは「北斎漫画」。
男がたらいで洗濯している様子ですが同じく体を折り曲げた姿勢です。
ふくよかな女性のヌード。
これも後ろ姿で両手を腰に当てています。
こちらは「北斎漫画」の相撲取り。
その肉づきといいポーズといいよく似ています。
ドガなんかはほんとに「北斎漫画」を見て「これだ!」と思ったに違いないと思うんですね。
人間の例えばヌードを描くにしてもいわゆるそれまで描かれていたエロチックなヌードっていうものではなくて人間の体の面白い動き自由な動きっていうのを描くためにヌードを描いたんだろうと思うんですけどその描き方がやっぱり北斎の体の動きの捉え方とか少ない線で表現するっていうようなそういうところがドガにぴったりはまったんじゃないかなと思います。
ただやっぱりさすがにそれはドガなのでそれをそのまま使わないわけでやはり自分が本物のモデルを前に動きの中で捉える一瞬っていうのが北斎が捉えたような一瞬になってしまうと言ってもいいんじゃないでしょうか。
ああ愛嬌ある顔だね。
お口がなぜ丸いのかなと思ったら実はこれ布袋さんのおなかで丸いのはおへそだったんだ。
うん?これは大きな魚が釣れたようだが…実は魚取りをしている子供を引っ掛けただけ。
ないしょで障子の陰に隠れて盗み食いをしているのかな?でも全部影絵になって映っちゃってるんだよね。
けがをしたのかお尻に手を当てて痛そうにしているのは雷様。
あれあれ雲の上から落っこっちゃったんだね。
眼鏡屋さんがレンズ3つの変な眼鏡を手に持っているけど…その訳はそう3つ目の妖怪用だったんだ。
これは分かる?「早飛脚」といって今でいえば速達を運ぶ人の周りにクモの巣が張っている。
それをほうきで払っているね。
そば屋の出前じゃないけど「すぐ着くよ!」と言いながらクモの巣が張るほど遅いって皮肉ってるんだよ。
さてとちょっと色っぽいユーモアもあるんだよ。
女の人が着物をはだけて眠っていますが実はお尻の所がほころびているんだ。
子供たちがそれを指さして大喜び。
こちらでは大黒様が満面笑みをたたえているけど何を見ているかというと…あららら…実は二股大根でした。
次は高貴な人々を風刺するユーモア。
おでこに眉を描くのに夢中になっているのはお公家さん。
鏡には口のクローズアップが映っているけどそうお歯黒を塗るのに熱中する公家。
北斎はその堕落ぶりをさらけ出そうとしているように思えるね。
こちらは武士。
しゃがんで何をしているかというと用を足しているんだ。
家来たちはかわいそうに臭いのを我慢して傍らに控えているよ。
いくら偉い武士だってするものはすると言っているのかな。
新しい風刺画を作りたいという事で一生懸命北斎は考えたと思います。
そうすると何を風刺するかというと堕落した世の中の最高の指導者たちである公家とか武士とかそういう人たちはやっぱり批判しなきゃいけない。
世の中が乱れた原因をつくっているのはそういう人たちだという事で風刺として取り上げたんだろうと思いますね。
もう画期的な試みですね。
誰でも一目で分かる。
初めて権力権威そういうものを風刺するっていう新しい風刺画を北斎は生み出したという事だと思いますね。
清水さんは「北斎漫画」には現代漫画のルーツとしての側面もあるといいます。
(清水)この絵はですねコマ漫画の最も基本的な形。
2コマでね「縦横」というタイトルが付いてて縦横で顔の面白さを表現したという。
これは3コマになってますね。
タイトルが「大豊作万民戯楽」と書いてますけど。
原因と結果っていうストーリーがあるという。
食が満たされるという事は江戸時代の人たちはかなりの幸せの部類だったんじゃないですか?飢饉が慢性的に起こってたような時代ですからね。
コマの表現というのはこれほど真剣に考えて結果として現代につながるようなコマの表現まで到達した人は北斎以外にはないんじゃないですかね。
続いてことわざ。
まずは易しいところからいくよ。
これはウナギが男たちをすり抜けて登っていく。
そう絵のとおり…女の人が男の顔を真っ黒に塗っている。
フグを釣って喜んでいるのはえびすさん。
フグは「ふく」とも言うね。
難しい顔をしているのは餅屋。
「素人はこれだからいけねえ」という顔をしているけどう〜ん餅が伸びて杵から離れない。
そう…さあ少しずつ難しくなるよ。
このページは4人の男が何をやっているのかというと…。
タバコの煙で字を書いているね。
こちらはつるした柿を手を使わずに食べている。
こちらは放り投げて食べている。
みんな難しい芸をしているのにこの男だけは普通に手を使ってそばを食べている。
しかもたくさん。
分かりますか?ここからは今はもう使わなくなった難しいことわざだよ。
タバコ盆の所から現れたのは竜。
「灰吹きから大蛇」ということわざがあるんだけどそれは突拍子もない事が起きるという意味。
北斎は大蛇どころか巨大な竜を出しちゃった。
「瓢箪から駒」と同じ意味だよ。
今度は巨大なタコが芋畑に出現。
男たちがたまげているよ。
これは…タコが里芋畑を荒らすという伝説をもとにしているらしいんだけどともかく「びっくりする」という意味。
今風に言うと「肝をつぶす」だね。
さて最後これはページ全体を見ていくと面白いよ。
最初に痩せた相撲取りが1人でポーズをとっているね。
「独り相撲」ということわざ。
その姿を丁稚が見ている。
その籠の魚を犬が盗みどり。
そんな光景を部屋で2人の女性が眺めているけど1人はだらしなく乳を出し帯もほどけているね。
その傍らに臼が置かれていて菰に巻かれている。
これは…どういう意味かというと太った女性が腰に幅の広い帯を巻いた姿を揶揄した言葉でそのためにこっちに帯のほどけた太った女性を描いてあるんだねきっと。
ことわざというものに対する江戸人江戸の人たちの関心というのはかなり濃厚にあったんではないか。
日本のことわざの黄金時代が江戸時代ではないかという見方ができると思うんですよね。
女性がおならをする奇妙な絵。
あることわざにひねりを加えて面白さを出しているといいます。
女の人が着物の裾をまくってお尻を出してそこからおならをしているわけですね。
ノックダウンされておならの力によってノックダウンされてるようなこれ坊さんですよね。
おなら坊さんという事で考えると……ということわざがあります。
つまりありがたい話を100日間しても最後にお坊さんがおならをプッとしてしまったという事でそれまでの立派なありがたいお話も全部帳消しになってしまうと。
そういう最後に粗相をやらかすという事の例えなんですけどね。
ところがこれは逆です。
つまりお坊さんは女の人のおならによってノックダウンされてるわけだから恐らくこれは北斎の洒落といいますかね。
「百日の説法屁一つ」を逆用した逆手に取った一種の逆さ絵的なものなんではないかなという推測です。
現代人にとっては難しいけども当時の人間にとっては決して謎を解くようなそんな難しいものではなかったんじゃないかな。
多少ひねる事によってすぐにはパッと答えが出ないかもしれないけども「はは〜ん」なんていうふうに思い当たる節とかねそういったふうに連想が働くような仕掛けみたいなのにはなってたんじゃないですかね。
北斎がライフワークとして35年間にわたって描いた「北斎漫画」。
江戸時代大人気を博したベストセラーは200年たった今も現代風の装丁で出版され続けています。
理屈じゃないですよね。
ぱんと見て「うわぁ面白い」と。
なんていいんだろうと。
自分もちょっとまねして描いてみようかなあるいはそれは無理だけど買って一生懸命見ようかなと。
何も「北斎漫画」が歴史的に有名なものだから尊んでるんじゃないんですね。
やっぱり今見ても面白いんですよ。
2014/05/04(日) 09:00〜09:45
NHKEテレ1大阪
日曜美術館「世界を驚かせた 北斎漫画」[字]
葛飾北斎のライフワーク、『北斎漫画』。人物の生態から、膨大な動植物、江戸の風俗まで、森羅万象を網羅。世界を驚かせた『北斎漫画』の魅力を縦横無尽に紹介する。
詳細情報
番組内容
葛飾北斎が55歳の時から90歳で亡くなるまで描き続けたライフワーク、『北斎漫画』。人物のあらゆる生態、膨大な種類の動植物、江戸の風俗文化まで、森羅万象を網羅、絵の総数は3千6百点におよぶ。『北斎漫画』は世界を驚かせ、印象派の画家たちやアール・ヌーボーの作家たちに大きな衝撃を与えた。今年は、初編が出版されてちょうど200年の記念の年。『北斎漫画』の魅力を縦横無尽に紹介する。
出演者
【司会】井浦新,伊東敏恵
ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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