きょうの料理 私の忘れられない味 2014.05.04

(後藤)
あなたの心に残る料理は何ですか?
エッセー「私の忘れられない味」を「きょうの料理」で募集して2年。
全国から500通を超えるお便りが寄せられました
(岩槻)
幼い頃の思い出の味。
つらい時に元気づけられた一皿。
大切な人と幸せを育んだ食卓。
その一通一通に料理と共に積み重ねた人生のドラマがありました。
人と人をつなぐ「忘れられない味」の物語です
皆さんは「忘れられない味」というとどんな料理を思い浮かべるでしょうか?こちらは皆さんからお寄せ頂いたお便りなんですが10代から98歳の方までさまざまな味のエピソードを送って頂きました。
皆さん…。
(2人)どうもありがとうございました。
「きょうの料理」では皆さんのエッセーを2分の番組にしてお送りしてきましたが今日はその中から8つのお話をお送りします。
まず最初はそれぞれのご家庭で代々受け継がれてきた味についてのエッセーからです。
(室井)「高校生の頃家庭科で芋の天ぷらを作った。
さつまいもを家と同じように厚さ3cmに切ったら笑われた。
冗談かと思われたのだ。
友人たちが切った厚さは5mm程だった。
恥ずかしくて震える手で自分も5mmに切り揃えた。
自分の家の恥を見られたようで嫌な気分だった」。
「でも今なら声を大にして自慢して言いたい。
厚さ3cmの芋てんは外はカリッときつね色で中は焼き芋のように真っ黄色。
味は甘くて最高!芋は時間をかけて揚げると甘みが増すと後で知った。
母は正しかった。
正々堂々我が家の自慢の味だった。
恥なんて思ってごめんなさい。
仕事もしていたのに時間をかけて揚げてくれてありがとう。
息子たちも厚い芋てん大好きよ。
お母さんから受け継いだ大事な味だからね」。
(室井)「私は幼い頃北海道に家族で引っ越しましたがまず寒さに慣れるのが大変でした。
子供に体力をつけさせようと母が作ってくれたのが鉄火味噌でした。
十数種類の根菜類などを炒め味噌と合わせて3時間以上煎り続けます。
振りかけのようにパラパラになると完成です。
手間暇がかかりますが日もちがし常備食としてもおいしく頂けます。
熱湯を注ぐとコクのある味噌汁になりますし香ばしくてごはんが何杯でもお代わりできます。
戦後の食糧不足の時も母は作ってくれ家族そろって元気に過ごす事ができました。
私にとって忘れられない味であり生涯に於ける宝物と思っています。
孫が鉄火味噌を教えてほしいと言ってきた事があります。
うれしくて早速一緒に作りました。
将来孫が家庭を持った時鉄火味噌が食卓に並ぶ事を今から一人夢みている私です」。
(室井)「30年ほど前仕事をしていた私の代わりに主人の母がよく作ってくれたのが変わった鍋料理でした。
こんにゃく大根豚バラを煮た簡単な鍋ですが中に小さなおわんが置いてありました。
煮干しとお味噌が入っていてそれをつけて頂きます。
煮干しは母が頭とはらわたを丁寧に取り除き細かく刻んだものでした。
『カルシウムをしっかりとって大きくなるんだよ』私の子ども達がまだ小さい頃の母の口癖でした。
おかげで子ども達は元気に育っていきました。
当時はあまりごちそうと感じませんでしたが子ども達の成長にはあの母の鍋が欠かせなかったと思います。
今はその母に感謝の気持ちを伝えられないのがとても残念ですが子ども達の成長が感謝の意となると思っています」。
「これからは子ども達にこの鍋を伝えていかなければならないと思っています」。
それぞれの家庭の味はやっぱり家族の思い出と一緒に受け継がれているんですよね。
寄せられた「忘れられない味」の9割がお母さんやおばあさんなどの家庭の味でしたよね。
岩槻さんは受け継いだ味って?私は名古屋の出身なのでお味噌は赤味噌なんですね。
よく赤味噌でお味噌汁やお料理は作るんですけれどもうちの母はその赤味噌を使ってそれを甘辛く煮詰めたものをおでんとか豚カツにつけてくれたんですが私はまだそこまでいってなくて市販のものを使っているのでこれを子供にも覚えてもらうためにもまず私が母からきちんと習わなくてはと思っているところです。
笑顔と共にきっと伝わっていくんでしょうね。
続いては何年も何十年たっても色あせないあの時の一皿の味をめぐるエッセーです。
(谷原)「私が幼い頃父は陸軍に入っていた。
ある日父の部隊が公園で休憩すると聞き家族で向かった」。
「ちょうど昼食どきで運よく父に会う事ができた。
父は弁当を分けてくれ私は牛肉のつくだ煮を食べた。
生まれて初めてのおいしさに『もう少し』とせがんだ。
祖母は『無理を言うな』と私を叱ったが父は食べさせてくれた。
その時の父の笑顔は今でもはっきり思い出す事ができる」。
「定年後の私はなぜか料理を趣味とした。
仲間と始めた料理のグループは15年続いている。
毎年公園でピクニックを楽しむ。
弁当に必ず入れる牛肉のつくだ煮はいつも大好評である。
私は父を思い出しては懐かしむのである」。
(室井)「終戦直後小学生だった私は闇米を担ぐ母に連れられて高山に向かった。
雪の中2時間遅れて凍えながら小さな宿に飛び込んだ。
しばらくしておかみが運んできてくれたのはごはんと白菜の漬物。
白菜はカチカチに凍っていた。
『網で焙ってなあ』とおかみは言った」。
「白菜はいろり火に焙られこうじの匂いが漂い始めた。
やがておかみの言うとおりふんわり広がった。
ご飯をくるみ口の中にぼっこり入れた白菜漬けは格別においしかった」。
「あれから60年以上白菜を使った料理を作ってはみるが戦後の貧しい哀しい記憶とないまぜになって味わったあの白菜漬けに勝るものはない」。
「店に出回る白菜を見る度母と一緒に食べた白菜漬けを思い出すのである」。
(谷原)「小学校の運動会の思い出です。
お昼休み来ているはずの両親が見つからず妹が泣き出してしまいました。
おなかがグーッと鳴っていたところに母が駆けつけてくれました。
重箱にはおむすびがいっぱい。
のり巻きではなく塩むすびでした。
両親は町工場を経営し一番忙しい時でした。
おむすびだけでも…と急いでこしらえてくれたのでしょう。
私と妹は『いただきます!』と手をあわせて夢中で食べました。
あの時の味は今でも忘れられません。
父が亡くなったあと母の介護をさせて頂きました。
今度は私が母におむすびを作らせてもらう番です。
しかし何度作ってもあの時の味にはなりません。
あの母の味は私には作れないのです。
でも母は『おいしいわあ』と言って残さず食べてくれました。
私は涙が止まりませんでした」。
何気ない素朴なお料理でもそこに込められた人の思いと共に心に刻まれていくんですね。
後藤さんは何かそうした心に残る味ありますか?あります!私の母は晩年リューマチで包丁がうまく使えなかったんですけど帰省するとねその度に私の大好物のきんぴらごぼうを作ってくれたんですよね。
きっとねごぼうを削る時指が痛かったんじゃないかと思うんですけどもあの味はもう私にとって至高の味ですね。
しみますね。
最後はお料理に元気づけられた支えられたというエッセーです。
(室井)「去年体調を崩して食欲がなくなり体重が15kg落ちた時期がありました。
夜は眠れず何を食べても砂のような味しかしない…。
何の楽しみも感じられずどんどん気力がなくなりました」。
「そんな中ふと思いついてクッキーを焼いたんですよね。
小さな頃母と一緒に作った素朴なクッキー。
味見してみたらふわ〜っとバターとお砂糖の甘い香りが鼻に抜けて幸せな気分が少しよみがえったんです。
白黒だった世界に色がついたような気がしました。
味がわかる!って。
母と一緒に作っていた思い出がよかったのでしょうか。
そこから少しずつ食べられるようになりました。
食べ物の大切さが身にしみて分かった今ではフードコーディネーターの学校に通っています。
このクッキーはわたしの恩人。
一生もののレシピです」。
「お母さんありがとうね」。
(森)「我が家には『宝物』と書いた箱がある。
中身は亡くなった祖母が残してくれた梅干し。
10年ものから20年ものがぎっしり詰まっている。
『暗い所に置けば何年だっておいしいからね』祖母との最後の会話は梅干しの事だった」。
「祖母が漬けた梅干しは何とも言えない優しい味がする」。
「干した梅をチョイチョイと裏返していた祖母。
塩梅がいいとホクホクと笑顔になっていた。
夏休み海で頬張る梅のお握りは格別だった」。
「つわりの時も祖母の梅干しで乗り越える事ができた。
3歳になる娘は『お握りに何入れる?』と聞くと決まって『梅干し!』と言う。
祖母の梅干しは今も私の家族を幸せにしてくれている。
私も祖母のような梅干しを漬けられるようになろうと決めている」。
人を元気にし幸せにする。
そうした料理の力を改めて感じさせて頂きましたね。
はい。
「忘れられない味」は料理を作る人と食べる人それぞれの相手を思う気持ちが響き合って生まれています。
人と人をつなぐ「忘れられない味」。
「きょうの料理」では人生を味わい深くしてくれる料理の力をこれからも伝えていきたいと思います。
2014/05/04(日) 16:40〜17:00
NHKEテレ1大阪
きょうの料理 私の忘れられない味[字][再]

心に残る料理のエッセイ「私の忘れられない味」の特集。辛い時に元気づけられた一皿、大切な人と幸せを育んだ食卓など、料理とともに積み重ねる人生のエピソードを紹介。

詳細情報
番組内容
全国の視聴者から寄せられたエッセーから、それぞれの家庭で受け継がれてきた味、何十年たっても色あせないあの時の味、力づけられたり支えられたりした味について紹介。人と人との心が響き合って生まれる「私の忘れられない味」の8つの物語。厚い芋てん、鉄火味噌、カルシウムたっぷりの鍋、牛肉の佃煮、いろり火で焙った白菜漬け、母のおむすび、思い出クッキー、おばあちゃんの梅干し。【朗読】室井滋、谷原章介、森公美子
出演者
【アナウンサー】後藤繁榮,岩槻里子

ジャンル :
情報/ワイドショー – グルメ・料理

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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