美の壺・選「サキュレント 魅惑の多肉植物」 2014.05.04

(テーマ音楽)ただいま!草刈さん結婚式の帰りですか?そうなのよ結婚式でねこんな引き出物を頂いたんですよ。
かわいい!多肉植物。
多肉植物?今女の子たちの間ではやっているんですよ。
すてきですよね。
私これ初めて見たんだけど2人の幸せを象徴してるみたいでかわいいなぁ。
ふわふわしててやわらかい雰囲気で幸せそうで。
式も淡い夢を見てるみたいで。
私もこんな時代あったのかなぁ。
ちょっと草刈さん。
奥さんに聞こえますよ。
(せきばらい)多肉植物を暮らしの空間に取り入れることを「多肉ライフ」と呼び今女性たちの間で人気があります。
柚木智恵子さんもそんな一人。
多肉植物の特徴はぷっくりして肉厚な葉や茎。
かわいらしい姿が多くの女性たちの心を捉えています。
あまり目立たないんですけれどもなんかちょっとほっとするというか「こんな所にあったの」という感じでさりげなく置くところがすごく魅力です。
さらにいろんな器で育ててインテリアとして楽しむこともできます。
こちらは小さなおちょこ。
さびた空き缶にもかわいらしく寄り添います。
シックな色合いも魅力の一つ。
落ち着いた中間色が大人の女性の心もつかんできました。
多肉植物は10年ほど前から雑貨店やインテリアショップでも取り扱われるようになりました。
多肉植物。
英語でいうとサキュレント。
「水分が多い」という意味です。
だから水やりが少なくて済み手間いらず。
それが人気に拍車をかけています。
私たちの暮らしを華やかに彩ってくれる生きたオブジェ多肉植物。
生命の神秘が宿る美の小宇宙にご案内します。
13年前フラワーアレンジメントの世界で多肉植物を知った松山美紗さん。
それ以来多肉植物ひと筋。
魅力を伝える本を多数出版しています。
松山さんがとりこになった理由は不思議な形。
例えばこの通称「姫星美人」は一つの葉がわずか2ミリ。
よく見ると一つ一つが花のような形をしています。
こちらは「乙女心」。
細い茎にゼリービーンズのような葉をつけたかわいい造形。
アドロミスクス。
なんだかは虫類のように見えませんか?よく見るとかなりグロテスクなんですけど何でこんな模様がついたのかなって思うのとこれもなんか面白くいとおしくなりますよね。
多肉植物のこうした奇妙な形は環境に適応して進化したものだといいます。
これなんかは食害から身を守るために石のように変化して擬態植物って言うんですけども砂利の所に生えてるので石のまねをして動物から見つけられないように形が変化してたりですね。
見た目だけじゃなくてその環境に生きるために変化したっていうところが美しさを増してるんじゃないかなと思います。
コノフィツムが自生するのは南アフリカの乾燥地帯。
野うさぎなどに見つかりにくいように石ころのような形に進化したと考えられています。
多肉植物は原種だけで世界に1万種以上あります。
さまざまな環境がユニークな造形を生み出してきました。
今日最初の「壺」は…まるでSF映画に出てきそうな…ニョロニョロしているのは葉です。
茎は退化してほとんどありません。
葉のてっぺんをご覧下さい。
透明な部分があります。
窓やレンズといわれる部分です。
なぜ透明なのでしょうか。
これは葉っぱですが葉っぱの一部上の部分がレンズ状であるとそれを越して内部まで光が来ますので光合成の効率がいいということですね。
レンズから光を取り入れなければならない環境とはどのようなものでしょうか。
湯浅さんが原産地である南アフリカの乾燥地帯を訪れた時の映像です。
あった。
あったあった。
ありましたありました。
うわぁ…。
これがそうなんですね。
一面の砂地のため葉の大部分は風に吹かれた砂で埋もれてしまいます。
そのためてっぺんの窓から光を取り込んで土の中で光合成を行っているのです。
砂の中で生き延びるため進化を遂げた姿です。
こちらは…これも多肉植物。
幹に大量の水分を含んでいます。
葉に注目してください。
幹から直接生えています。
しかも葉の面が地面に垂直になっています。
原産地は最高気温45度にもなるマダガスカル島。
水平だと強烈な日ざしを直に受け水分が蒸発してしまうためそれを避ける形です。
朝夕の斜めからの穏やかな日ざしはたくさん取り入れることができるのです。
多肉植物の不思議な姿。
それは過酷な環境を生き延びるためたどり着いたものなのです。
原産地に近い環境をつくると多肉植物はより美しく育つといいます。
多肉植物のコレクター萩原文男さん。
ハオルシアのコレクションで知られています。
ハオルシアの特徴は葉の上の面全体が半透明の窓状になっていること。
ハオルシアが自生する南アフリカ。
強烈な日ざしを避けるため茂みの陰で育ちます。
わずかな光を効率的に取り入れるため葉全体が窓状になっているのです。
萩原さんの温室。
黒いネットがかけてあります。
これがポイント。
そうですねこの黒いのが遮光ネットです。
これが50%の遮光率です。
いろいろ経験しながら試行錯誤でやってました。
萩原さんが手塩にかけて育てたハオルシア。
こちらはオブツーサという種類。
まるで水晶のような窓を持っています。
葉が隙間なく整い見事な造形美を宿しています。
多肉植物を鑑賞するときは遠いふるさとの過酷な環境に思いをはせてみてください。
不思議な形がよりいとおしく見えてくるかもしれませんよ。
なんか植物っていうより動物みたいだなあ。
ふわふわ毛が生えてるし。
名前も動物にちなんだものなんですよ。
この長いのは月の兎の耳と書いて…これは熊の子どもの手のようなので…へえ熊の手か。
これは…へえ名前もかわいいねえ。
兎に熊に子猫。
わあ動物園みたいだ。
続いて華麗な色の世界にご案内します。
小雪舞う3月。
ハウスの中に驚きの色彩美が広がっています。
これ花ではありません。
多肉植物の葉が織り成す鮮やかな色の世界です。
緑赤黒白ピンク黄色。
言葉で表現できない複雑な色合いのものまで。
エケベリアの葉。
淡いグラデーションをなしています。
緑色から黄色桃色へ。
微妙に色の移ろう様が魅力です。
美しい色を生み出すには環境づくりが大切だといいます。
多肉植物の色を育む達人といわれる児玉賢一さんです。
私どもは冬でもハウスを開けて風通しを良くしてあげて中の湿気を取ってあげるってことをしてます。
その3つが兼ね備えられればこれだけ色が出せるという1つの条件だと思います。
温度と湿気に気を配りかといって甘やかしすぎず子どもを育てるように大切に栽培すると多肉植物は見事な色に育ってくれます。
今日二つ目の「壺」は…児玉さんの農園があるのは標高1,000メートル。
強い紫外線が美しい色をもたらします。
この地に農園を造ったのは22年前。
それまでより良い環境を求め引っ越しを繰り返してきました。
最初のハウスを建てた場所。
日当たりが悪く思うように発色しませんでした。
次の引っ越し先は盆地。
夏高温多湿で植物が腐るという大失敗。
今の農園は避暑地にあり多肉植物最大の敵である夏の高温多湿を避けられます。
冬の寒さは暖房で解決しました。
細やかな温度管理の下たっぷり紫外線を浴びせ育てると秋から春にかけてこんな楽しみが待っています。
紅葉を思わせる色の変化です。
例えばこの「虹の玉」。
夏は緑色をしています。
10月頃からこんなに真っ赤に色づくのです。
姫黄金花月。
通称金のなる木。
こちらも葉が見事に色づいています。
四季を通じた寒暖差と秋から春までの1日の寒暖差がこの鮮やかな色を生み出します。
全く新しい色を創る試みもあります。
原産地では見られない色を創り上げる島田典彦さん。
島田さんが専門とするのが…工夫次第で12か月の誕生石の色を揃えられるほど発色の可能性を秘めた植物です。
中でも珍重されているのが鮮やかな黄緑。
原産地では見られない色です。
原産地ではバッタなどの天敵から身を守るため周りの環境と似た色をしているリトープス。
しかしハウスには無数の色があります。
いったいどのように作られるのでしょうか。
5か月前に発芽した幼いリトープス。
一度に20万もの種をまいた中赤茶色の親から黄緑色の個体が偶然1つ生まれました。
やっと出てきたっていう非常に…。
とにかくまあ普通を装ってるけど跳びはねたいぐらいの気持ちですよね。
この1粒を4年かけて繁殖可能な成体に育てます。
こちらは黄緑の個体から生まれた2世代目。
偶然見つかる黄緑とその兄弟に当たる赤茶色を交配すると10%の割合で黄緑が出現するといいます。
今度はその黄緑同士を交配させていくことでより鮮やかな色となっていくのです。
こちらは2年前赤茶色の親から偶然生まれた紫の子ども。
長い時間をかけて交配を重ね美しい紫に育てていきます。
島田さんが育て上げた色とりどりの生きた宝石たち。
偶然とたゆまぬ努力が結びつき生み出された神秘の色です。
この色本当に複雑な色をしてるな。
何色だろうねこれ。
あっ!熊が!あれ?これ根っこがついてない。
大丈夫。
…多肉植物はどんな所にも根を下ろすので無限の楽しみ方ができるんですよ。
色とりどりのリース。
使われているのはすべて多肉植物。
ドーナツ状の型に挿して作っています。
そのため大胆な飾り方が可能です。
このリースを作ったのは園芸家の柳生真吾さん。
いろんな植物の中で多肉植物が最も好きだといいます。
それは自由なアレンジができるから。
こちらは柳生さんがハンバーグと呼ぶもの。
ネットの上に水ごけと土を入れて作る多肉植物を挿す台です。
こういうピンセットでハンバーグに穴を開けます。
そして…。
その穴に多肉植物を挿し込みます。
「ハンバーグ」を側面につけた巣箱。
さまざまな場所に多肉植物を寄せ植えできます。
多肉植物の最大の魅力は…多肉植物っていうのはまず…その2つが重なるとねこんなリースが可能だったりこんな場所に何年も何年も生き続けたりとかそれがむしろ機嫌よかったりするからすごいよね多肉って。
こんな楽しい遊びも。
丸太をくり抜いた中に土を入れて挿しています。
少しの土と水があれば生きられる多肉植物。
楽しみ方に無限の可能性を秘めています。
今日最後の「壺」は…園芸研究家の奥峰子さん。
ガーデニングの本場イギリスで学び多肉植物を使った園芸を得意とします。
「タペストリーガーデン」とか「カーペットベディング」という言い方をするんですがペルシャじゅうたんとか複雑な模様のじゅうたんのように多肉植物を使って地面に模様を描いているんですね。
イギリスでは19世紀からキャンバスに絵を描くような多肉植物の寄せ植えが発展しました。
多肉植物は一つ一つが小さいため数字やアルファベットなど細かなものも表現することができます。
ささやかなスペースも活用できます。
予め作った設計図に従って13種類の多肉植物を挿していきます。
ポイントは色の使い方。
例えば目立たせたい緑のふちの隣りに反対色の赤を配置します。
一番外のふちには最もくっきりした赤。
完成した作品。
反対色を隣り合わせ線を際立たせる一方でそれ以外のところは優しいグラデーションに配色。
60センチ四方春の木漏れ日のような作品となりました。
誕生日や特別な記念日などに部屋の中を華やかに飾ることもできます。
ベールとドレスで装った花嫁をイメージした寄せ植え。
多肉植物にはいつもの空間をおとぎの国に変えてくれる不思議な力があるのです。
今宵は多肉ちゃんを相手に一杯やりますか。
乾杯。
君はかわいいのに厳しい環境で生き抜いてきたんですね。
私も君みたいに強くありたい。
Comenowwithme.2014/05/04(日) 23:00〜23:30
NHKEテレ1大阪
美の壺・選「サキュレント 魅惑の多肉植物」[字]

身近なテーマを中心に、美術鑑賞を3つのツボでわかりやすく指南する新感覚美術番組。今回は「サキュレント 魅惑の多肉植物」。案内役:草刈正雄

詳細情報
番組内容
最近、女性たちに人気の「多肉植物(たにくしょくぶつ)」。丸くぷっくりとした愛らしい姿、また水やりが少なくて済み、手軽に育てられる点が女性たちを惹(ひ)きつけている。時に「宝石」にたとえられるほど、華麗で多彩な姿は、主に南アフリカの乾燥地帯など厳しい環境に適応するため独自の進化を遂げたもの。「不思議な形」「彩」「無限∞」の視点から、神秘的な「生きたアート」多肉植物の魅力に迫る。
出演者
【出演】草刈正雄,【語り】礒野佑子

ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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