(機内アナウンス)「皆様成田空港に着陸いたしました」
(機内アナウンス)「ベルト着用サインが消えるまでお座りのままお待ちください」
(宮部たまき)あっ右京さん。
右京さん!おかえりなさい。
(杉下右京)ただいま。
お疲れになったでしょう?12時間近いフライトですからね多少は。
(神戸尊)おかえりなさい。
ただいま。
どうして君が?お迎えにあがったつもりでしたがどうやらお邪魔でしたね。
ああ初めてでしたね。
神戸君です。
あぁお噂は。
宮部と申します。
どうも神戸です。
よろしくどうぞ。
よろしく。
(車を開錠する音)では僕のは向こうなんで。
失礼します。
気をつけて。
右京さん向こうへ。
はい?私は一人で帰れますから右京さんは向こうへ。
それでは筋が通りません。
あなたにはわざわざ迎えに来てもらったのですから。
とてもいい方じゃないですか。
頼まれもしないのにわざわざ迎えに来てくだすって。
仲良くしないと。
これからずっと一緒なんでしょ?仲良くするとかしないとかそういう問題ではないと思いますがね。
はいとにかく右京さんはあちらへ。
それじゃ。
何か?諸々の事情でこちらに乗せていただく事になりました。
諸々の事情って?よろしいですか?
(サイレン)
(脇田輝之)「白の車止まりなさい」「速やかに止まりなさい」「左寄って」
(クラクション)「左寄って!」
(サイレン)
(ノック)眼鏡。
(本多篤人)何かね?
(脇田)免許証。
(脇田)よく出来てんなぁ。
偽造だろ?これ。
ここはまだ千葉県ですね?ええ。
しかし今の白バイは警視庁のようでした。
えっ?警視庁の警察官が他県で取り締まりをするはずはありませんね。
まあよく出来てんのは当たり前。
だって俺が作ったんだから。
君も仲間か…。
脇田です。
ワッキーって呼んで。
ハハハハッ!なんちって。
これさぁ今後の連絡用ね。
あ…これ見る?
(脇田)気になってると思ってさ。
(早瀬茉莉)こちらとこちらにご記入いただきまして…。
(脇田)俺たちはさ誘拐したり監禁したりなんて不細工な真似しないからね。
ご覧のとおり娘さん無事だよ。
それじゃ安全運転よろしく。
(白バイのエンジン音)本気で待つんですか?気になるじゃありませんか。
まあ結果的によかったか。
はい?こっちに乗って。
こんな事に別れた奥さん巻き込めないでしょ?別れた奥さんと友達付き合いするってどんな気分ですか?来ました。
確かに警視庁の白バイですね。
ナンバー控えてください。
あとで照会しましょう。
ナンバーはもう覚えました。
覚えた?はい。
両手が空いてるのにメモは取らないんだ。
はい?いえうらやましい脳みそだなあって思って。
大した事ありません。
あれ?いませんねぇ。
確かにここに入ったのにいませんね。
白バイもろとも消えてしまいました。
消えるなんて事はありえないんですがね。
どうします?どうもこうもありません。
徹底的に調べますよ。
徹底的に?本物にせよ偽者にせよ白バイの警察官が忽然と姿を消してしまうなんて不可解極まりないじゃありませんか。
…徹底的に?ええ徹底的に。
ハァ…ハァ…。
(高倉俊司)お疲れ様です。
ようこそいらっしゃいました。
君が山本君か?
(笑い声)高倉です。
わかってるよ。
あなたのビッグファンです。
さあどうぞ中へ。
お目にかかれて光栄です!アトリエは隣にご用意しました。
短い間ですので必要最低限のものしかありませんがもし足りなければおっしゃってください。
すぐに揃えます。
何しろ…爆弾なんて作った事がないもんで。
それからお食事なんですが…。
爆弾も作れないくせしてテロリストの真似事か。
人それぞれ得意分野があるじゃありませんか。
(高倉)とりあえず食材は揃えました。
(高倉)自炊はお得意ですよね?近くに食べもの屋もありますけどなるべく外出は控えた方がよろしいかと思います。
こう見えても僕コンピューター関係は得意なんですよ。
うん?
(高倉)そこら辺のシステムに侵入する事なんかわけありませんから。
なぜ俺に目をつけた?言ったじゃありませんか!あなたのファンなんですよ。
どうやって俺のアドレスを知った?関西にあなたの昔からの支援者がいらっしゃるでしょう?町の印刷屋さん。
メールでやり取りしていらっしゃる。
その方のコンピューターから情報を盗み取りました。
仲間は何人?少数精鋭適材適所でやってます。
美人ですよねぇ。
何!?お嬢様ですよ。
茉莉に手ぇ出したら…ただじゃおかないぞ。
ですからそれはあなた次第ですよ本多さん。
「該当者なし」やっぱり偽警官か。
偽造ナンバーって事ですね。
車の方も照会してみましょう。
うん?車の方って止められてた車ですか?ええ。
そっちも覚えてたんだ…。
管轄外の場所で警視庁の警察官が車を止めているというおかしな状況でしたからね。
もし何かお話でも聞ければ偽白バイ警官の手掛かりが掴めるかもしれません。
「今宮幸夫」ここですね。
はい。
(チャイム)見たとこ留守のようですね。
まだ戻ってないし。
今宮さんならお留守よ?そうですか。
お戻りはいつ頃でしょう?2週間ぐらい留守にするって言ってたから来週ね。
2週間って…どちらへ?今度はヨーロッパだって。
出張ですか?旅行よぉ!もう休暇取っちゃしょっちゅう旅行に出かけてんの。
独り身で気楽だから出来るのよね。
だから来週来なさい。
ね。
旅行中か。
…とすると昨日高速で偽白バイに止められていた人物は誰なんですかね?車の名義は今宮幸夫。
どうもすっきりしませんね…あれ?杉下さん?留守宅で何しようっていうんですか?雨戸が閉まっていません。
空き巣よけじゃないですかね?変に閉め切って出かけると空き巣に狙われたりしますから。
なるほど。
あっ…。
開きました。
っていうか…。
空き巣よけにしては間が抜けていますね。
はぁ?ちょっと…。
ちょっと!上がろうっていうんですか?住居侵入ですよ!?お言葉ですが庭に入った時点で我々はすでに住居侵入です。
何か嫌な予感がします。
しませんか?嫌な予感だけで勝手に人んち入れたら世話ないでしょ。
お話のとおり随分海外旅行をなさっているようですね。
なんだかここだけフワフワしています。
フワフワ?抜けそうです。
剥がしましょう。
畳を!?ええ。
あっちょっと!住民に断りなくですか!?ホントだ。
ちゃんともとに戻しますから。
失礼。
信じられない…。
(2人)うっ…!
(咳)なるほど下が空洞になっていたので畳がトランポリンのようにフワフワしていたわけですね。
ここ掘るんですか?もちろん。
(咳)ここだけ土が見えているのは掘れと言われているようなものじゃありませんか。
(咳)スコップもあります。
あぁ…。
君は外へ出ていた方がいいかもしれません。
…死体ですよね?間違いないと思います。
ふぅ…大丈夫です。
そうですか。
待って!やっぱり出ます。
動くな!そのまま!ああこの男よ!えっ?もう1人…もう1人いるはずよ!それは僕の事ですか?そうそうそうこの人!この人!見るからに怪しい2人組でしょ?あんたたちここで何やってんだ!
(カメラのシャッター音)
(伊丹憲一)出来れば死体は新鮮なうちに見つけたいねぇ。
(芹沢慶二)そうっすね…。
(三浦信輔)警部殿はいつロンドンから?昨日の午後に戻りました。
帰国早々こいつを掘り当てたってわけですか?そういう事になりますね。
警部補殿!はい。
よろしければズズズイッとそばへ。
第一発見者なんですから。
いや結構。
ここで十分見えます。
それと厳密に言えば僕は第二ですから。
杉下さんが第一ですから。
奴は死体に弱い。
連れてこい。
はあ?嫌っすよ。
(伊丹)いいから行けよ!ほら!
(芹沢)いや…嫌ですよ!
(携帯電話)あっ!あっ電話っす。
もしもし…。
(米沢守)先ほどから何をお探しですか?パスポートなんですがね。
それと免許証も。
見当たらないんですよ。
パスポートと免許証が?ええ。
こんなものがありました。
(米沢)ああ独身のようですしこういうものが発見されてもさして不思議はないかもしれませんね。
ちなみに押し入れの奥には段ボールいっぱいのエッチなビデオがありましたよ。
DVDではなくビデオテープであるところに独身の中年男性の悲哀を感じました。
ご覧になりますか?いえ結構。
(芹沢)杉下警部。
僕にですか?ちっす。
もしもし。
(中園照生)杉下か?中園だ。
これはどうも。
誰の許可を得て捜査に参加してる。
(内村完爾)第一発見者だからといってでかい面をするな!そう言え。
第一発見者だからといってでかい面するな!
(中園)「即刻戻れ。
部長室へ来い。
神戸もだ」「今日午前11時頃東京都練馬区豊玉にあるこちらの住居の床下から男性の遺体が発見されました。
発見されたのはこの家の持ち主の今宮幸夫さん55歳で一人暮らしをしていました。
死因はまだ判明していませんが死後およそ1週間という状態でした」「警察は現在殺人死体遺棄事件…」
(電話)
(小野田公顕)はい。
(オペレーター)「小野田官房長外線が入っておりますがおつなぎいたしますか?」どうぞ。
もしもし。
もしもし。
本多だ。
久しぶりだな。
わかるか?いや申し訳ないんだがわからない。
本多篤人だ!本当に本多?どこから?国際電話?日本だ。
そりゃあまた驚いたね。
いつ帰国した?まあ積もる話もあるがいずれまた機会をみて。
実は君に…頼みがある。
頼み?昔のよしみで引き受けてくれ。
おぉシュンちゃん。
調子はどう?その様子じゃあニュース見てないね。
ニュースなんて見ねえよ。
テレビはお笑いだけ…。
何…どうしたの?
(中園)空き巣に間違われて通報されるとは何事だ!?あのババア…。
なんだ?いえ…。
本来なら監察に報告して懲戒処分を検討するところだがまあ今回は遺体発見の功績に免じて穏便に済ませてやろう。
ありがたく思え。
(内村)これ以上一課に迷惑をかけるな。
特命は特命らしくしていろ。
わかったらおとなしく離れ小島へ帰れ。
ああ…神戸だったかな?はい神戸です。
特命係に配属されたからといって杉下のあとをついて回る必要はないんだ。
お前はお前の用事をしろ。
私の用事とは?
(中園)言ったろう?就職活動だ。
(内村と中園の笑い声)
(笑い声)部長の言うとおりですよ。
はい?君には僕に付き合う義務はありません。
なら就職活動しろとでも?僕は特に指図はしません。
何をしようと君の自由です。
自由なら警部につきまとうのも自由でしょう。
おっしゃるとおり自由にさせていただきます。
意外と理屈ぽいですねぇ君は。
ハッハッハ…警部ほどでは。
おまけに口うるさい。
(角田六郎)おぉ…おかえり!昨日だろう?ロンドンから。
ええ昨日戻りました。
早速とんでもないもの掘り起こしたそうじゃない。
聞いたよ…あんたらしいよな。
まあいい…とにかく帰ってきてくれてよかった。
とっとと部屋戻れ。
はい?大御所がお待ちかねだ。
(角田)突然部屋に来て居座ってる。
なんとか目を合わさずにいたんだがもう限界だ…。
とっとと部屋に戻ってくれ。
あぁ…。
痛てて…。
会えたか?会えました。
…だろう?絶対迎えに来ると思ったんだよ。
美人だったろう。
ええ。
しかしお前さんも物好きだよなぁ…。
わざわざ元嫁さんの顔を拝みに空港に行くなんてさぁ…。
シー…。
君が神戸君?あっ…神戸です。
初めまして。
どうも。
小野田です。
ご用件をお聞きしましょうか。
頼み事。
頼み事?頼み事するのに呼びつけるのはどうかと思って。
わざわざ僕の方から出向きました。
恩着せがましくおっしゃるほどの距離ではありませんがね。
お隣のビルですから。
そういう物理的な問題じゃないでしょう。
ねえ?あっ…はい!ええごもっとも。
早速だけど本多篤人って知ってる?本多…?篤人。
「赤いカナリア」の幹部じゃないですか?そう。
さすがその辺りには明るいね。
うちの警備局にいただけの事はある。
左翼過激派の赤いカナリアはご存じですよね?本多篤人というのはその大幹部の1人です。
ええ思い出しました。
70年代様々な破壊活動を指導した疑いで指名手配になっています。
ええ。
確か国外に逃亡したまま行方が…。
うん。
同じように国外逃亡した連中が次々と捕まる中本多篤人はうまく逃げ延びたようだね。
まあ本多篤人というのはいわゆる革命戦士ですよ。
でその本多篤人がどうかしましたか?今どうやら日本にいるらしい…。
里帰りで帰国したわけじゃありませんよ。
新たな破壊活動を計画中だそうです。
え?まさか…。
それは確かな情報ですか?確かですよ。
なにしろさっき本人から聞いた話だから。
本人から!?突然電話があって。
何十年ぶりかしら…。
あ…あの…どういうご関係なんですか?本多とは…。
友人であり同志だった。
えぇ?ともに革命を夢見てた頃のね。
あっ…官房長は左翼運動なさってたんですか…。
僕らの年代は多少なりともそういうものをかじってますよ。
まっ一種の流行りでしたから。
ただ僕は彼ほど真剣じゃなく彼ほど度胸もなくすぐに転向しちゃいましたけどね。
だから彼が革命戦士として名を馳せた頃には僕はせっせと公務員試験の勉強をしてました。
そもそも本多篤人はなぜ官房長に計画を暴露するような電話をかけてきたのですか?本人曰くもう破壊活動はしたくない。
彼だってねもはやそんな事で世の中が変わるなんて幻想は抱いてないんですよ。
しかしのっぴきならない事情がそれを許さないと。
のっぴきならない事情とは?一人娘の命が狙われてるんだって。
要するに娘を人質にとられて破壊活動の実行を強要されてるらしい。
だからねその娘の安全を確保してほしいと。
官房長に直接頼んできたんですか!?まっ本人は頼みって言ってるけど実際のとこは交換条件みたいなものかな。
交換条件?娘の無事を確保出来れば破壊活動は中止する。
けれど出来なければ計画どおり実行するって事だから。
やってくれる?はい?だから娘の安全を確保してほしいの。
それが出来ないと東京のどこかでテロが起こる。
それを阻止するためにね。
もちろんテロは阻止しなければなりませんがだったら公安部を正式に動かした方が…。
相手は赤いカナリアの本多篤人なんですから。
それだと警察がテロリストと交渉した事になっちゃうでしょ。
それは避けたいの。
それは避けたいけどテロも避けたい。
わかる?わかるよねぇ?Nシステムの画像データ入手しました。
(伊丹)何か所でキャッチ出来た?
(芹沢)3か所です。
(芹沢)ルートをたどるとおおよそ港区方面へ向かってる感じがしますけどまあ最終目的地を特定するのはちょっと…無理っすね。
まあいずれにしても杉下警部の言うとおり今宮幸夫さんの車が昨日使われてたって事はこれで証明されました。
この車が偽白バイ警官に止められていたわけか…。
…みたいっすね。
(三浦)おいやっぱりパスポートが使われてる。
今宮幸夫のパスポートで何者かが入国してる。
いつ!?昨日の午後3時41分に入国してるそうだ。
確か警部殿は成田から東京へ向かう途中にこの車を目撃したんだったよな?ええそう言ってました。
こいつだな…今宮幸夫のパスポートを不正使用して入国しやがった野郎は…!
(機械の作動音)不測の事態ってやつでさ車ちょっとやべえから回収すっけど。
わかった…気が散るからとっとと消えてくれ。
オーケー。
あんたさぁ昔啓和銀行の本店吹っ飛ばしたんだろう?スカッとした?…ごめんごめん。
もう邪魔しねえ。
戻るよ。
(本多)おい!閉めてけ。
人質って言っても特に娘が拉致監禁されてるってわけじゃないんですよねぇ。
いつでも殺す用意があるという事で脅しているようですねぇ。
しかしテロリストの娘を人質にとってテロをしかけようとしているのは一体どんな連中なのでしょうね。
うーん…新興勢力じゃないかと。
既存のテロ組織ではないと。
もちろん赤いカナリアの第2世代もしくは第3世代の仕業という可能性もなくはないですけど現在とりわけ日本では赤いカナリアはほとんど壊滅状態です。
左翼過激派として名を馳せたのは遠い昔の事。
いわば過去の栄光ってやつですからね。
まっそれでも公安は監視を続けてますから何か動きがあれば察知出来るはずです。
…がそういう情報はあがっていません。
なるほど。
いわゆる左翼運動とは切り離して考えるべきだと思いますね。
もはや風前の灯火の左翼運動がここへきて盛り上がるとも思えませんし。
つまり思想なき破壊活動ですか。
だって日本で今日本人がテロを起こすとしたら…そうでしょう?実は今いささか厄介な事態が起こっている。
詳しくは警察庁の小野田君から。
おはようございます。
小野田です。
とりあえず警視庁幹部の皆様のお耳に入れておきたい事があります。
もちろん愉快な話題ではありません。
ちょっとよろしいですか?…はい。
少々厄介なお話があります。
厄介な話…。
お父上の件です。
公安の方ですか?いえ…。
いずれにしましてもお仕事中に出来る話ではありませんので今夜…。
こちらへ来ていただけませんか?
(中園)今夜は捜査会議に先立って部長からお話がある。
どうぞ。
(内村)この人物の身元が判明した。
本多篤人。
テロリストだ。
(中園)ピンときた者もいるかもしれないが赤いカナリアの幹部の1人だ。
70年代に指名手配を受けながら国外逃亡の末現在まで逃げ延びてる。
(内村)この本多が日本に舞い戻った。
首都・東京でテロを企てていると思われる。
(中園)標的その他具体的な事は不明だが確実な筋からの情報だ。
(伊丹)あの…確実な筋というのは?
(内村)確実な筋というのは確実な筋だ。
(中園)よけいな質問するな!
(内村)今回の事件に本多篤人が関与している事は当然考えられるが我々刑事部は本多の線はいじらない事になった。
(ざわめき)
(中園)静かに!静かにしろ!本多篤人の捜査はもっぱら公安部が担当する。
いやしかし当然の如く事件に関与したと考えられる人物を捜査対象外に置くというのはいかがなものかと…。
(内村)じゃあ訊くがこの本多に今宮幸夫が殺せるのか?
(三浦)は?
(内村)10月5日に入国した本多に今宮幸夫が殺せるのか?と訊いてるんだ。
答えはノーだ。
(内村)彼が入国した時に今宮幸夫はすでに畳の下で腐りかけていた。
つまり少なくとも本多はこの事件の犯人ではない。
我々刑事部は殺人事件の犯人を追う。
今宮幸夫を殺害した人物を検挙すればいい。
以上だ。
頑張ってくれたまえ。
(内村)そう不満そうな顔をするな。
テロの責任は公安が負うという事だ。
万が一テロが実行された時に我々の捜査が公安の邪魔をしたというような言いがかりを防ぐための当然の処置だ。
以上。
6番シアターでの上映です。
(スクリーンの音声)前を見たままで結構です。
改めて自己紹介をします。
警視庁の杉下です。
神戸です。
早瀬です…。
早瀬茉莉さん。
ええ。
早速ですが実は今お父上の本多篤人が…。
父はいません。
はい?いない?生物学的な意味では本多篤人は私の父親です。
…けれど父親だと思った事ありませんから。
私が1歳になるかならないかの頃日本を離れてしまった人です。
それ以来会った事もありませんしそれを血縁があるから父親だって思えって…無茶です。
それに…。
なんでしょう?人殺しでしょう?本多篤人は。
(茉莉)国際的な指名手配を受けているテロリスト…。
そんなのが父親だなんて…迷惑です。
なるほど。
役所でお目にかかった時公安ですか?とおっしゃいましたね。
(茉莉)え?公安から接触がありましたか?大昔です。
私が小学校にあがった頃母に公安の監視がついてました。
監視はいつ頃まで?…本多が今どこで何をしているか知りませんけど私のところへいらしても無駄ですよ。
本多を捜したいなら他をあたってください。
我々は本多篤人を捜しているのではないんですよ。
あなたを守りにきました。
おっしゃってる意味が…。
何者かがあなたの命を狙っています。
ですからこんなスパイじみた真似を…。
どういう事でしょうか…。
何者かが今あなたの命を人質にして本多篤人にテロを実行させようとしています。
我々はテロを阻止するためにやって来ました。
それにはあなたの協力が必要なんです。
父と娘の思いにはこれほど差があるものなのでしょうかね。
生物学的には父親…か。
けんもほろろでしたね。
父親だと思った事はない父親だと思えというのが無茶だと。
一方父親の方は娘の命を救うためにやりたくもないテロを実行しようとしている。
このそれぞれの思いの差は…なんなのか。
申し訳ありませんがしばらくの間外出禁止です。
外に出たくなった時は連絡ください。
お迎えにあがりますから。
(茉莉)はい。
僕たちの部屋は4521です。
…よっ!鍵どうぞ。
(茉莉)はい。
それでは。
(茉莉)ありがとうございます。
(車を施錠する音)案外いいかもしれませんね。
何がですか?お互いをよく知るためにはこういう仕事も。
馬頭刈村の事件の時は別々の部屋に泊まりました。
しかし今回はこうして…一緒の部屋。
ここで2人で朝を迎える事になる。
君は突如不気味な事を言い出しますねぇ…。
あぁ…!いやそういう…そういう変な意味じゃないですよ。
当たり前ですよ。
(電話)あっ…俺出ます。
もしもし?ちょっと外に出たいんですけど…。
「どちらへ?」買い物です。
買い物…。
あのー品物を言っていただければお届けしますよ。
薬局です…。
薬局?女の子のもの買いたいんです。
…ちょっと刑事さんに買ってきてもらうのは気まずいんで…。
なるほど…わかりました。
生理用品買いたいみたいです。
ちょっと行ってきます。
行ってきまーす。
(チャイム)お待たせしました。
うっ…!
(携帯電話)
(チャイム)
(鍵が開く音)どうしました!?すいません…。
彼女は!?…すいません。
いきなりですか…。
ええ。
油断大敵ですねぇ…。
彼女…連れ去られちゃったんですよ。
僕の責任ですけど。
まっ連れ去られたところで当面彼女の命に別条はないはずです。
少なくとも本多篤人が計画を実行するまでは彼女の命は安全ですよ。
そうでしょうけど…!彼女の行方を早く捜さないと…。
ですからそのために我々の目をかすめて彼女を監視し続け君を一撃で撃退して彼女を連れ去った犯人の手掛かりがないか調べてるんですよ…!それ…彼女の鞄です。
私物ですよ!?鞄があるとどうしても中身を確かめたくなる…僕の悪い癖。
おやおやどれもすぐに鞄から出してあげないからシワになってますよシャツが。
どちらへ?ホテルの防犯カメラ確認してきます。
ああそれは名案ですね。
よろしくお願いします。
では後ほど…。
ありませんねぇ…。
(メールの着信音)
(携帯電話)高倉か?なんだこれは!
(高倉)こんな事したくなかったんですがお嬢様を監禁しました。
何?なんか妙な連中がうろちょろしだしたもんですから。
(高倉)「おとなしくご同行いただけなかったものでちょっとけがさせちゃいましたが…」ご安心ください。
命に別状はないので。
計画を実行してさえいただければお嬢様は間違いなく解放しますよ。
おい!
(高倉)「それじゃあくれぐれもよろしくお願いします」ファンを幻滅させるような事はしないでくださいね。
こちらです。
この男です。
切り替えてくれる?
(警備員)はい。
はいここ。
確かに大きい鞄ですが大の男が2人がかりで持ち上げなきゃならない荷物なんてちょっと違和感ありません?もちろんこれだけで疑ってるんじゃありません。
前の映像をお願いします。
(警備員)はい。
さっきの場面から1時間20分さかのぼった映像です。
はいここ。
ねっ。
なるほど。
来た時には一人で軽々と持ち上げていますね。
来た時は空だったんですよ。
でホテルの中で何かを詰めて車で運び去った。
大の男が2人して持ち上げなきゃならないような重量のものを詰めて。
とりあえず彼女を連れ去った犯人はさっきの2人組と思って間違いないんじゃありませんか?
(携帯電話の振動音)失礼。
(携帯電話の振動音)もしもし。
案外役に立たないねぇ君たちは…。
誘拐されちゃったみたいじゃない。
自分のヘマです。
申し訳ありません。
謝って済むなら警察いらないもんねぇ。
はいおっしゃるとおり…。
で杉下は?それが官房長が急きょこちらにいらっしゃるから状況を説明しておいてくれと言い残してどちらかへ…。
僕がわざわざ来るって言ってるのに自分の用事を優先させるなんていい根性してるよねぇ。
はい。
杉下警部は少々わがままが過ぎるところがあります。
一緒にいるのしんどい?あ…いえ…。
意外とハモってる?新鮮な驚きとともに日々楽しく過ごしています。
ああそうだ。
これ見てよ。
さっき本多から転送されてきた。
はい…。
あ…!彼女けがを…?拘束される時多少手荒な真似されたみたい。
そうですか…。
君の方は平気なの?え?君も殴られたんでしょ?あっ平気です。
痛っ…。
問題ありません。
そう。
ところでさっきから気になってるんだけどこれってどういう趣向かしら?ああこれは杉下警部が…。
やっぱりあいつの仕業か…。
まったくの彼女の私物です。
杉下警部はちょくちょくこういった傍若無人な真似をします。
変わった事するよねあいつは。
どれもすぐに鞄から出してあげないからシワになってますよシャツが…。
(携帯電話の振動音)もしもし。
神戸です。
わかってます。
あの彼女本当に誘拐されたんでしょうか?ひょっとするとさらわれてないんじゃないかと…。
ええおそらく狂言ですよ。
すべて仕組まれていたんです。
やっぱり…。
って事は彼女とあの2人組はグル?間違いないでしょう。
今はどちらです?言いたくありません。
ええ!?いちいち君に注意されるのは不愉快ですから。
では失敬。
あっちょっと…あっ!あー!「この電話は電波の届かないところにあるか…」うーん…ううんっ!
(チャイム)
(チャイム)よくわかりましたね。
そりゃ見当つきますよ。
早瀬茉莉が連中の一味だとすれば警部は当然彼女の部屋を調べたくなる。
でも合法的な手段では入れないからまた住居侵入を犯す。
当然僕は注意しますよ。
不愉快だろうがなんだろうが。
そうではなく誘拐が狂言だった事です。
え?よくわかりましたね。
旅行鞄に入れっぱなしの服。
警部もそれを怪しんだんでしょ?少なくとも一週間は滞在するわけですからねぇ。
部屋に入ったらまずクローゼットに服をつるしてしかるべきだと思いました。
こんなふうに。
鞄に入れっぱなしではシワになってしまいますからねぇ。
特に女性はそういうのを嫌うのではありませんかね。
でも早瀬茉莉はそうしなかった。
チェックインからだいぶ時間があったのに服を1枚たりとも鞄から出していない。
それから化粧道具一切ありませんでしたね。
それにも非常に違和感を覚えました。
特に宿泊の準備を急かしたわけでもないのに女性がお化粧の道具を忘れる事があるのだろうかと。
あるいは忘れたのではないとしたら彼女はさらわれる時に化粧道具だけを持っていったという事になります。
そんな馬鹿げた話はない。
しかしその馬鹿げた話を成立させるとしたら…。
狂言。
ええ。
服の一件とあわせておそらくそういう事だろうと踏みました。
化粧道具だけ持っていったんだと思いますよ。
これに必要だったんです。
本多のところに送られてきた動画だそうです。
官房長に転送してもらいました。
けがをしているように見えますがメークでしょうたぶん。
ですね…。
この手の画像ならばそれで十分ごまかせますね。
これは?「MARI」。
成長の記録といったところでしょうか。
ん?これが最後ですか?成人式の写真のようですねぇ。
同じ写真が2枚…。
他は1枚ずつなのにどうしてその写真だけ2枚あるのでしょうねぇ?さあ?何か意味が?わかりません。
ああちなみに言っときますが今回は勝手に入ったのではありませんよ。
戸締りがきちんとしてありましたから入ろうにも入れません。
じゃあ管理人さんですか?ご名答。
鍵を開けてもらいました。
どういう理由で?それはまあ…ゴニョゴニョと…。
またどうせ警察バッジを見せてその勢いで開けさせたんでしょう。
ハハッ。
職権乱用ですね。
わかりきった事をいちいち言われるのはやはり不愉快ですねぇ。
(鍵が開く音)
(芹沢)あ…あれ?
(三浦)ちょっと危ない危ない…。
(伊丹)なんだよ。
(芹沢)あっ杉下警部!?おい尊もだぜ!おい追え!え!?いいから追え!バックバック!あああ…はい!お仕事中ですか?あっ前!前!おいスピード上げろ!スピードどんどん上げろ!はいはいはいはい!
(三浦)ああ警部殿!前前!前前!あいつあいつ!回り込め回り込め!
(三浦)待て待て待てー!
(三浦)よしもらった!
(伊丹)よーしよーしもうかけっこはおしまいだ。
(三浦)ご苦労さんでした警部殿!ご協力どうも。
一体何事ですか?放せよ!一体俺が何したってんだよ。
君が何をしたかは存じませんが早瀬茉莉の部屋で何をしようとしていたのですか?
(三浦)え?警部殿も早瀬茉莉のところへ?そちらもですか?
(三浦)そうです。
なるほど。
登録してましたか。
ええ。
(三浦)今宮さんは真剣に嫁さん探しをしていたようです。
で何人か女性を紹介してもらっていたようなんですが…。
その中に早瀬茉莉がいたと…?
(三浦)まあ紹介された女性たちを一人ひとりあたってる最中でした。
(伊丹)で早瀬茉莉はその狂言誘拐とかで今不在って事ですか?残念ながら。
でもあいつはその一味なんですよね?確認はまだですが早瀬茉莉の部屋の鍵を持っていますし第一ひと言も発する事なく逃げ出したところをみると相当やましい事をしていると思いますよ。
奴を拘束して締め上げればいろいろ出てきそうだなぁ。
どういう容疑で拘束するんですか?え?彼の容疑はなんですか?ほら降りろ。
勝手な真似は許しませんよ。
どういう根拠でこんなふうに拘束するんです?ほら行けよ。
彼にはまだ訊きたい事があります。
明らかに不当捜査ですよこれは!
(伊丹)まあまあまあまあ!落ち着いて!ね!
(三浦)あとはお二人にお任せします。
(三浦)行くぞ。
(芹沢)え?
(三浦)いいから出せよ!
(芹沢)あ…はい。
強制的に拘束する権利はありません。
こんな真似してどうするつもりです?首飛びますよ。
ほらあんたは自由だ。
行けよ。
ふぅ…。
迫真のお芝居でしたよ。
芝居をしたつもりはありませんよ。
はい?日頃の杉下さんの行動に対して率直にご注意申し上げたつもりです。
なるほど。
(芹沢)奴です。
(三浦)慎重に追えよ。
(芹沢)大丈夫ですって。
車変わってんだから気づきませんって。
(伊丹)よし行け!
(携帯電話)もしもし。
追跡始めました。
了解。
我々もすぐに追いかけます。
電話はこのままつなげておいてください。
アイアイサー!
(咳払い)現在中央通りを環八方面へ直進中。
中央通りを環八方面です。
了解。
おいスピード落とせ。
おい気づかれたか?いや気づかれてないと思うけど…。
奴が路肩に停止しました。
わかりました。
少しスピードを落としましょう。
脇田の車が路肩に止まりました。
(伊丹)あっ奴の車だ!大丈夫です。
気づかれてません。
追跡します。
追跡を開始しましょう。
(子供たち)お前の父ちゃん人殺し!人殺し!爆弾!爆弾!どうしたの?別に…。
あと3日の辛抱だよ。
(ドアが開く音)遅かったじゃない。
(脇田)いやまいった。
危ねえとこだった…。
どうした?悪い…。
着替え取ってこれなかった。
は?どうして?
(ドアが開く音)
(脇田)おい…なんでつけるんだよ!
(芹沢)おとなしくしろ!痛っ!
(脇田)逃げろ!逃げろ!ご無事で何よりです。
特にお顔にけがもないようで。
パスポートと運転免許証を入手するために今宮幸夫さんを殺害した。
そうだな?
(三浦)お前が今宮さんの首絞めて殺したんだろ!本多篤人と同年代の今宮幸夫さんを彼女が結婚相談所で探し出した。
それは間違いねえだろうが!なんだとこの野郎クソ…。
じゃあよお前の仲間の高倉の事聞かせてもらおうか。
大資産家の息子でおまけに大学の助手の高倉をお前の方から言葉巧みにそそのかして巻き込んだ。
違うか?
(三浦)ああー!
(伊丹)てめえ何やってんだ…!そうです。
殺したのは脇田。
でも殺害方法は知りません。
彼に聞いてくださいよ。
僕たちは適材適所分業制なんですから。
ナンバープレートの偽造もパスポートの偽造も運転免許証の偽造も脇田です。
なんてったって手先が器用ですから彼は。
でも偽造したパスポートの出国記録データを改ざんしたのは僕なんです。
それは脇田じゃ出来ません。
ハハハ。
父親なんて関係ないみたいな事を言ってたよね?その父親を呼び戻してテロなんかさせてどうするつもりだったの?一種の復讐でしょうかねぇ?復讐?そうよ。
本多篤人の娘ってだけでさんざん嫌な思いをしてきたわ。
お察しします。
早瀬茉莉…。
お母様の姓を名乗って生きるしかなかったんですね。
過去にいろいろご苦労なさいました?一緒に暮らした事すらない父親のためにね…。
待ってください。
本多に改めてテロをさせる事は復讐になるんですか?これを読めばわかります。
実は昨日あなたの部屋を調べていた時これを発見しました。
消印によると届いたのは1年ほど前。
お母様あての手紙ですね。
母はとっくに死んだわ。
そんな事も知らずにあいつ…。
お母様が亡くなったのは10年ぐらい前ですかね?9年前。
あなたが成人した頃でしょうかね?そうよ。
そうですか。
それ差出人は本多ですか?名前はどこにもありませんが手紙の内容からして間違いありません。
後悔をつづった手紙です。
「君が知っている俺はかつて革命家と呼ばれた左翼運動のリーダーだった」
(本多)「当時俺は本気で世の中を変えてやろうと思っていた」「その志に嘘偽りはなかった」「しかし今にして思えばその方法を誤った」「革命の名のもとにたくさんの無辜の命を犠牲にした事を俺は今痛烈に後悔している」この手紙があなたに復讐を決意させたのではありませんかね?こんな身勝手な手紙ってある?今さら後悔されたってどうしようもないじゃない。
あんたが後悔するまでの何十年間こっちがどれだけ苦労したと思ってんのよ!ええ。
この手紙であなたの中に鬱積していた怒りが爆発したんです。
そのように本多篤人は自らの過去を激しく後悔しています。
ならばその後悔している事を再び繰り返させるのは相当こたえる仕打ちになりませんかね?十分復讐になりますよ。
それもかなり残酷な。
茉莉が俺を陥れようとしたっていうのか。
君を相当憎んでいるみたい。
(茉莉)「あんな奴もっともっと後悔してから死刑になればいいんだわ」あの男どもは何者なんだ?1人は高倉俊司。
(小野田)永林学園大学の政経学部で助手をやってる男でね。
茉莉さんが君の娘だと知って彼女に近づいたらしい。
特に君のファンらしいよ。
であと1人は脇田輝之。
高倉俊司の幼なじみで暴走族上がり。
今は整備工をしている。
茉莉さんは君への復讐のため。
高倉俊司は60年代70年代の新左翼による武装闘争の再現を夢見て。
互いの利害が一致して今回の事を実行したんだよ。
いつどこを狙う計画だったの?もう教えてくれてもいいでしょ。
僕だって相当のリスクを冒してこんな真似してるんだから。
3日後…いやもう0時回ったから2日後だ。
場所は…迎賓館。
迎賓館…IOCの視察団の歓迎晩餐会かな?ああ…。
もう実行するつもりはないよね?もちろん。
アジトも教えてもらえるかな?今回もお得意の爆破でしょ?製造した爆弾を回収したいんで。
新芝浦埠頭。
(本多)鴻上倉庫の跡地だ。
新芝浦埠頭…鴻上倉庫の跡地。
ありがとう。
じゃあ…。
また会う事があったとしてもその時は確実に檻の中と外だからね。
君の友情に感謝する。
いや同情かもしれない。
(小野田)落ちぶれ果てた革命戦士への。
よく聞こえてた?あとは君たちに任せます。
(捜査員)新芝浦埠頭鴻上倉庫跡にはサクラ班が向かっています。
ターゲットの追跡も開始します。
ターゲットの確保は爆弾を確認してからね。
正直に話したかどうか確証はないから。
わかってます。
行くぞ!はい!
(無線)「こちらサクラ班。
アジトは確保した」「だが肝心の爆弾がない」確かなのか?よく捜せ!爆弾製造の痕跡はあるが爆弾はない。
(ため息)
(携帯電話)もしもし。
やっぱり食えない野郎だな。
まあ昔から君はズルだったから。
それはお互い様でしょ。
つい今しがた連絡があってね部屋に爆弾なかったよ。
そうかそれは残念だな。
こっちはついてきたゴキブリを2匹退治したとこだ。
うっ!うっ…!2対1でよく勝てたね。
いいか小野田。
海外逃亡ったってそう簡単な話じゃないんだ。
油断すりゃすぐ捕まる。
そんな中で…最も安全な場所はどこか知ってるか?紛争地帯の最前線だよ。
そこまでは警察の手も及ばない。
そんな暮らしをしてりゃいやでも身を守る術は身につくさ。
取引しないか?あいにくテロリストとは交渉しない事になってるんだ。
…ならどっかが吹っ飛ぶぞ。
テロには屈しない事になってる。
フフ…勇ましいな。
でも俺の首は欲しいだろ?うん?おいお前ら後ろから回れ。
はい。
よし正面から行くぞ。
本多篤人だな?
(足音)
(ため息)出なさい。
とっとと白状しろよこらっ!
(芹沢)お?
(三浦)おいなんだ?あんたたち。
公安部です。
脇田輝之の身柄はこちらで預かります。
なんだと?立て。
おい…。
おいおいちょっと待て!こいつはな殺しの被疑者だ。
テロ未遂の被疑者でもあります。
そちらの調べを優先します。
来い。
(芹沢)おいおいおい…勝手な真似はよせよ。
上で話がついてる。
ごちゃごちゃ言うな。
ごちゃごちゃ?おい!
(伊丹)待てこら!
(三浦)何すんだこの野郎。
お…。
刑事と違って公安は拷問とかするんですか?ねえ…ねえどうなんです?まあいいですけどね…。
耐えてみせますよ僕は。
おとなしく我々に従えば悪いようにはしない。
「今朝長く国際手配されていた左翼過激派赤いカナリアの本多篤人容疑者が警視庁公安部によって逮捕されました」「本多容疑者は海外に逃亡していましたが先日日本に潜入したとの情報を警視庁公安部がつかみ捜査していたところ今朝潜伏先の住居にて逮捕されました」「本多容疑者は1972年に啓和銀行本店を爆破し多数の死者を出し警察では当時同時期に起こったテロ行為との関連も含め余罪を追求すると発表しています」早瀬茉莉の釈放が取引の条件ですか?取引って?本多篤人と取引があった事は明白です。
あの茶番のような逮捕劇そして早瀬茉莉の釈放。
だって早瀬茉莉は被害者でしょ。
人質だったんだから。
拘束する理由がない。
すべてを承知している人に申し上げるのはいささか間の抜けた感が否めませんが早瀬茉莉は今回のテロ未遂事件の実行犯です。
同時に今宮幸夫殺害に関与している疑いもある。
証拠は?物証はありませんが状況証拠なら官房長あなたがお持ちのはずですが。
僕が?本多篤人から転送されてきた動画。
早瀬茉莉の顔には殴られた跡があったはずです。
一晩やそこらで消えてなくなるはずのない跡が。
拉致監禁が狂言だった事の状況証拠としては十分だと思いますよ。
あいにくあの動画は消しちゃったもんで。
なるほど。
君の携帯には残ってますね?すいません。
君も消しましたか。
官房長の命令だったのでゆうべ…。
優先順位ですよ。
はい?どっちも手に入れたいけどどっちかしか手に入らないなら優先順位の高い方を選ぶ。
本多篤人とその娘じゃ秤にかけるまでもなく本多篤人です。
仮にですよ娘の方が殺人を犯していたとしてもやはり優先順位は本多篤人です。
殺人犯の1人や2人捕まえ損なったって体制に影響はない。
しかしテロリストを放っておく事は国家の存亡に関わる。
それは君の意見ですか?いえご存じでしょ?公安部の基本的な考え方です。
まあ国家警察の自負といったところでしょうか。
その考え方を君は支持しているんですか?僕は立場で考え方を変えます。
柔軟に。
まあ考えようによっては娘のおかげで本多篤人を逮捕できたとも言える。
柔軟に考えればね。
(チャイム)ちょっと確認したい事があるのですがよろしいですか?確認…?ええ。
これです。
実はあなたとお父上との思いの差がずっと気になっていたのですがこれを発見した時ひょっとしてと思いましてね。
これはお母様がお作りになったアルバムではありませんか?そうですけど…。
タイトルが「MARI」ですからね。
本多篤人はこの写真によって遠い異国の地にいながらもあなたの事を思っていたのではありませんかねえ?はい…?最後の写真がこれです。
どうして他は1枚ずつなのにこれだけ2枚あるのか?不思議に思いました。
確かちょうどこの頃お母様は亡くなった。
そうでしたね?ええ…。
だから2枚残ってしまったんですよ。
本来ならば1枚は本多篤人に送られるはずだった。
そして残りの1枚は他の写真と同様にきちんとこのページに張られるはずだった。
お母様はあなたの成長していく姿をずっと送り続けていたんです。
(爆撃音)
(銃撃音)本多篤人に。
本多篤人にとってあなたはずっと成長を見守ってきた愛する娘だったわけですよ。
だからその娘のために今回危険を冒した。
そして最後には身を滅ぼしてまであなたを救ったんです。
そんな父親に感謝しろとでも?あなたにとっては生物学的な意味合いしか持たない父親ですがね。
早く死刑になればいいんだわ。
自分のした事を大いに後悔しながら。
しかし生物学的意味合いしか持たない父親に対して今回のような大それた真似をしますかね?テロリストの娘として嫌な目にあってきた。
その恨みだけでこんな真似をするでしょうか?どうも僕は今回の犯行の動機にはもっと違う感情が潜んでいるような気がしてならないんですよ。
違う感情ってなんですか?おっしゃっていたようにあの懺悔の手紙があなたの怒りを爆発させた事は間違いないでしょう。
しかしそれはテロリストの娘として嫌な目にあってきた怒りではなかった。
むしろ愛する者に裏切られた思い…。
その怒りだったのではないでしょうか?あなたにとってお父上はヒーローだったのではありませんか?そのヒーローがある日自らの過去を悔いる手紙を送ってきた。
それがあなたの逆鱗に触れたんです。
(早瀬ゆかり)パパは人殺しなんかじゃない。
悪い人をやっつけてるの。
この世の中をよくしようとしているのよ。
みんなが楽しく幸せに暮らせるように。
キョロキョロしないで前向いて。
しっかり前向いて胸張って歩くの。
パパは正義の味方?そうよ。
むろんすべて僕の想像です。
否定されれば検証のしようもない。
しかしその方がずっと腑に落ちるんですよ。
(茉莉)母は…早く死んでよかった。
あんな情けない手紙読まずに済んだもん。
(茉莉の声)パパは正義の味方?結果的にお父上はあなたの望みどおりになりましたが…。
これで満足ですか?いらっしゃいませ。
(大河内春樹)待たせたな。
あ…いえいえこちらこそ。
なかなか時間とれなくてすいません。
電話で話したとおりお前が特命係に飛ばされてきた事がどうしても腑に落ちん。
フフッ。
相変わらずせっかちですね。
なんか頼んでから話しましょうよ。
お前があそこに飛ばされるようなヘマをするとは思えないんだ。
実は杉下右京を警察から追い出すために派遣されたんです。
…とでも言えば信じますか?いや信じない。
さすがのお前でもそれほどの力はない。
あっ10年前の俺とは違いますよ。
ぐっと成長したかも。
いくら成長していても杉下右京にはかなわない。
じゃあ本当に追い出す事になったら協力してくださいよ。
2人がかりなら勝てるでしょ。
本当なのか?フフフフ…嘘ですよ。
ほんとだったらこんな事ペラペラしゃべりませんよ。
ヘマして飛ばされた哀れな神戸です。
おはようございます。
おはようございます。
いやいやいやゆうべ飲みすぎちゃって。
はい?そういえば別れた奥さんって小料理屋さんやってるんですよね?それがどうかしましたか?今度連れてってくださいよ。
なぜですか?「なぜ」?「なぜ」ってなぜ…?いや飲みに行きたいだけですけど。
こうして同じ職場で働く上司と部下。
取り立てて特別な事じゃありませんよね?…いけませんか?機会があれば…。
機会は積極的に作らなきゃ。
お願いしますね。
2014/05/06(火) 14:35〜16:30
ABCテレビ1
相棒 season8 #1[再][字]
警視庁一の異端児・杉下右京(水谷豊)と突如特命係に左遷された神戸尊(及川光博)。尊は上層部からの命で右京を調査するため特命係へ。この新しい相棒から目が離せない!
詳細情報
◇番組内容
第1話SP「カナリアの娘」
右京(水谷豊)が帰国。迎えにきた尊(及川光博)が右京を助手席に車を走らせる。途中、右京は取締中の白バイを見つけ、ふと疑問に。「千葉県で警視庁の白バイが取締を!?」 帰国早々、右京と尊の新しいコンビがいよいよ動き出す!
◇出演者
水谷豊・及川光博・益戸育江・岸部一徳
川原和久・大谷亮介・山中崇史・山西惇・六角精児
神保悟志・小野了・片桐竜次
【ゲスト】内山理名・古谷一行
◇スタッフ
●脚本:輿水泰弘
●監督:和泉聖治
●ゼネラルプロデューサー:松本基弘(テレビ朝日)
●プロデューサー:伊東仁(テレビ朝日)・西平敦郎(東映)・土田真通(東映)
◇音楽
池頼広
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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