4月24日水曜日の『怒り新党』では、神取忍の三大喧嘩マッチというのを紹介していて、神取と北斗あきら、神取とブル中野の喧嘩マッチというか死闘をみせ、最後には男性プロレスラー天竜との喧嘩マッチだった。連日女子プロレス・ネタで恐縮だが、天竜との試合は、テレビ中継されたかどうか知らないのだが、とにかく見ていない。しかし、その後、テレビで何度も紹介されていて、全部ではないにしても、さわりのところだけはしっかり記憶に焼き付いている。
神取忍は女子レスラーのなかでも大柄な方だが、巨漢の天竜に勝てるわけがない。最初から勝負がついているのだが、それでも神取は、天竜の顔面になどもびんたをくらわせて、挑発して本気の対応を引き出すことに専念する。また体格差のある相手を倒そうとする意志は全くなく、プロレスの常套的段取りで、相手の技や攻撃を受けて、次にやり返すというパターンになるので、挑発して、逃げることなく技を受ける。そして打撃系の技の応酬なので、神取は、何度も倒れて、最後にタオルが投げ込まれて幕となる。
喧嘩マッチをして、試合を盛り上げることにだけ専念し、本気で体格差のある相手を倒そうとはしていない。黒沢清監督の『セブンスコード』で小柄な前田敦子が、男性を倒すときのように、体格差というハンディを克服する格闘技の技術は存在する。そのような技術を駆使することを神取は最初からあきらめているというよりも、プロレスの試合だから、そもそも、そんなことはしない。とはいえ、本気で格闘技をしたら、神取は天竜に勝てるかというと、まあ、それはないだろう。神取がいくら強い女子レスラーと言っても、男子レスラーに勝つことは至難のわざだろう。
神取と天竜の関係は、ちょうど、六大学野球における東大野球部と、その他の大学の野球部の関係と似ているというと失礼だろうか。
新聞で東大野球部が勝てないという報道があったが(とはいえこれはメディア操作臭い。最近勝っているというのならニュースになるが、人が犬を噛めばニュースになるが、犬が人を噛んでもニュースにならないのと同じで、負けているということは絶対にニュースにならないはずだが)、とはいえ、私たちは誰でも、わかっている。東大野球部が弱いから勝てないのではなく、格が違うから勝てないということを。神取が天竜から勝てないのと同じように、素人の野球チームが、プロ野球チームに勝てないのと同じことだ。
実際、相手は、スポーツ枠で入っている人間で、セミプロと言ってもいい存在。東大チームは、身体能力・知力ともに優れていることは確かでは、身体能力についてはプロ並みではない。ただ言えるのは、子供チームが大人チームには勝てないのだから、そんな試合は余興でみるならまだしも、まともにみる価値はない。
むしろ、六大学のなかでスポーツ枠で入ってこない一般学生からなる野球部間で試合をすれば、それは実力が拮抗したチームどうしの迫力のある試合が期待できるし、スポーツ枠で入ってくる人間のチームだけで対抗戦をするという五大学野球をすればいいと思う。とにかく最初から実力差のある五強一弱のチーム戦は、みていてつまらない。スポーツ枠選手と、そうでない一般学生選手とは分けて、それぞれのリーグ戦を展開すべきだろう。そうでないとフェアではない。東京六大学野球はフェアではないファウルなリーグ戦を展開している。
もちろん東大も推薦入学制度を始めるようだから、スポーツ枠も設けて、いまの野球部の選手を全員追放して、新しいスポーツ枠選手でチームを結成してもいいかもしれない。そうすれば、アンフェアな六大学野球が、フェアな六大学野球にかわるかもしれない。
とはいえフェア・イズ・ファウル、ファウル・イズ・フェアというように、どちらの案も実現は不可能である可能性は高い。神取・天竜戦が興味深かったのも、この点にある。どうせ勝てないのだから、東大野球部も、神取みたいに、相手を挑発したりして、ヒール役に徹してはどうだろうか(なお神取がヒールということではない)。勝つためには反則も辞さない。危険球を連発する。そうして相手チームを怒らせ、最後には、乱闘が起こり、最終的に、ぼこぼこにされて、また試合にも負けるという、二重の敗北を喫したらどうだろう。どうせ負けるなら反則負けでいいのではないか。そしてこうすれば、ファウルなフェアという、六大学野球部も、プロレスに匹敵する良質のエンターテインメントに様変わりするだろう。ヒール役に徹すれば、一般のファンも増えるかもしれない。