(cache) AGARA紀伊民報 - みなべ町職員の不正　町、議会挙げ原因追及を

みなべ町職員の不正　町、議会挙げ原因追及を

　みなべ町職員の不正に対する県警捜査２課の追及が続いている。摘発は公金詐取事件から始まり、贈収賄事件に広がった。住民は「この際、積年のウミを出し切ってほしい」と県警の捜査に期待し、議会と町を挙げた真相解明・再発防止を迫っている。

　最初に公金詐欺の容疑で逮捕されたのは、みなべ町住民環境課長の坂本努（56）と同課主幹の山本浩（52）＝ともに２月25日付で懲戒免職＝、町内の廃棄物処理業「上山商店」の長井唱宇（59）と妻（56）の４容疑者。長井容疑者の妻は起訴猶予になったが、残る３人は起訴され、さらに別の公金詐取事件も摘発された。続けて坂本、長井容疑者と、町内最大手の土木建築業、池田土木の社長、池田尚仁容疑者（55）と長男で専務の智昭容疑者（31）が贈収賄容疑で逮捕された。町は27日、池田土木を２年間の指名停止にした。

　これらの事件は、すべて県警の捜査で明らかになった。取材に応じてくれた住民は口々に「徹底的に事件を暴いてほしい」「まだまだうわさはいっぱいある。洗いざらい全部出してほしい」と、捜査に期待を寄せている。

　みなべ町は２００４年10月、南部町と南部川村が合併して誕生した。今回の事件にかかわっているのは、旧南部町の職員だったから「旧町以来の体質」という声が多い。しかし、それだけで片付けていいものだろうか。

　事件を見過ごしてきた原因の追及と今後の不正防止に向けて、まずは議会が動かなければならない。だが、議員の言動を見る限り、議会が行政をチェックする機能を十分に果たしているとは思えない。取材に対する議員の応対を見ても、不祥事を見過ごした自覚がないように見える。

　議会は２月17日、公金不正問題を検証し、再発を防止するため調査特別委員会を設置した。だが、委員会は非公開。理由は「委員が発言しにくいから」（山中邦夫委員長）という。会議の内容についても、終了後に委員長から説明するといいながら、終われば「それはいえない」と口を閉ざす。

　これで住民の負託に応えているといえるのだろうか。いま町内の人たちが望んでいるのは、不祥事の全容解明と再発防止である。議会も町当局もそれに全力で取り組まなければならない。

　まずは、特別委員会を公開するべきである。議員の論議だけで足りなければ、住民に参画を呼び掛けて今後のことを議論する場を設けてもよい。なんでも公開し、議論する中からよりよい町にしていく「みなべ流」をつくればよい。

　一連の事件について、多くの住民から怒りの声を聞いた。もっともだと思う。だが、町長を選ぶのも、議員を選ぶのもこの町に住む人々だ。この人たちが行動を起こさないかぎり、町は変わらない。

　職場、地縁、血縁と、狭い町にはいくつものしがらみがある。だが、それを超えて心ある住民が立ち上がることだ。不信感をエネルギーにして、集結することだ。

　町や議会の取り組みを監視するためにも、傍観者でいることは許されない。町と議会を動かす住民の目に期待したい。（Ｆ）

(2009年03月03日更新)

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