とある青二才の斜方前進

経済とエロスのブロガーことTM2501です。いい機会なので、引っ越すことにしました。

フリーゲーム「Ralf un Real」にフリゲの真髄を見た!

最近、僕が一番書きたくてウズウズしてるテーマである「フリーゲーム」の話をする。

 

今回、紹介するのが「Ralf un Real」というゲームだ。このゲームをやれば「ここ最近のフリーゲームがどういう考えで作られていて、どんな工夫がされているか」がわかるとてもわかりやすくて、面白いゲームだ。

 

商用のゲームとネット上のフリーゲームでは違う傾向を持っているので、そこに着目しつつ、このゲームの面白さを語ってみたい。

 

□簡単なあらすじ・おことわり

ラルフというRPGツクールVXでデフォルト主人公になっているキャラクターだ。そのラルフを主人公にすると、プレイする人から「またお前か」「手抜きだ」と言われ、主人公としてよく思われない傾向がある。

 

そこで、ラルフ自身が真の主人公を目指してダンジョンを冒険するゲームである。

 

ゲーム画面はあえて貼りません。掲載されている画像がツクールで製作したゲームではよくあるものばかりだったので、これを見て余計な先入観を与えたくないのです。

 

ふりーむでの紹介およびダウンロードはこちらからどうぞ。

http://www.freem.ne.jp/win/game/5183

 

 

商業用のゲームよりもむしろ「フリーゲームならでは」と感じるゲームの作られ方がある。

 

特にこの記事で言及したいのは次の三つ。

1、「何かの裏モノ」である作品が多いこと

2、ネタの仕込み方がとてもネットやオタクと馴染みのあるものが多い

3、ゴールをいくつも設けていること

 

これらの工夫があるため、子どもの頃にそこそこのゲーム数をこなした人でも新鮮味を感じる仕上がりになっている作品が多い。そんな「フリーゲームの魅力的な特徴がが1つの作品に圧縮されている」のが本作である。

 

まず一つ目から。

漫画やアニメの世界ではこの「裏モノ」というジャンルはポピュラーだが、「裏モノ」という視点から作られた作品が特に多い。

 

「裏モノ」という考え方に馴染みのない人のために、少し説明をしていく。

 

例えば、最近ヒットした「魔法少女まどか☆マギカ」は魔法少女モノの裏モノだ。

魔法少女」という言葉から過去に作られた魔法少女のイメージや決まり文句がある。セーラームーンプリキュア、あとはカードキャプターさくらなど定なんの作品郡からみんなが連想する「魔法少女」という概念がある。

 

まどかマギカの場合はその「魔法少女ならばありふれてる・みんなが期待している」ということを踏まえたうえで、ファンの期待を裏切ったり、ファンをじらしたりする。

こうした「みんなが持っているイメージを前提にして、作者が王道とはまた違うトリックを仕込む」のが「裏モノ」という概念である。

 

フリーゲーム、特にRPGモノには「剣と魔法のファンタジー」を知っていることを前提に作られた「裏モノ」が多い。

具体的な作品を言えば、ドラクエやFFなどへの「裏」が多い。

 

本作は、「剣と魔法のファンタジーの裏モノ」であると同時に「RPGツクールで制作されたゲームへの裏モノ」でもある。前者はともかく、後者は珍しく、特に斬新だった。

ありがちなことをネタにしたり、ありがちな定番を登場人物が想像して裏切られる…という運びでゲームが進むことがほとんどになっている。

 

そもそも、ゲームのあらすじ自体がメタ構造で、「RPGツクールをプレイしたことがある」「RPGの主人公がどのような性格のものか」を知っていることが前提になっている。

そして、この着眼点で作られたゲームは多い。

 

そして、「裏モノの文化」はゲーム内では小ネタを仕込む時に積極的に活用される。

本作では特にアイテムや装備品、ほかにはキャラクターの会話の中に敢えてオタク要素・ネット的な表現/ネタが盛り込まれている。

 

RPGというと、世界観に合わせていかにも強そうな名前の武器や防具が出てくる。当然本作でも例外ではなく、そんな武器が出てくる。

しかし、テキストを見ると「ドイツ語にすれば中二病っぽくてかっこいい」とか、武器の名前に「バールのようなもの」なんて言葉が出てきたりと一味違う。

 

一味どころじゃない違いは服の装備に出ている。

本作ではオリジナルキャラクターも作れるが、本編を素直に進めていくと、ラルフと女の子3人での冒険が主流になっている。

 

ラルフ自身は鎧の装備だが、女の子が装備する服は…スクール水着に、学生服に、巫女服に、着物に…と装備説明を見ているだけでワクワクするようなコスチュームが揃ってる。

 

道具名も遊び心のある名前や解説が多い。回復アイテムの定番は薬草やポーションだが、このゲームでは菓子パンや食事になってる。

 

露骨に遊び心をテキストやアイテムに盛り込んでくるゲームは多いが、このゲームはその点とても顕著だ。

作風がギャグ系か、リアル系かでアイテムやテキストに含まれる雰囲気は違う。しかし、世界観よりもむしろスパイスを効かせたネタや風刺を多く入れてくる技法は多くのフリーゲームで採用されている。

 

そして、最後が「複数のゴール」という話だが、これこそがフリーゲームの奥深さを出している重要なポイントになっている。

 

  •  廃人も短時間プレイも歓迎するフリゲ文化!

フリーゲームをプレイする人にはいろんな人がいる。

 

ほかのゲームと同様に「やり込みプレイ」に対応した難しいステージがあるのはもちろんだが、「少しだけやりたい人」にも優しい仕様になっているゲームは多い。

 

本作も「クリアした」と呼べるラインが4つ存在する。

・本編をクリアしたとき。

・ウラ面をクリアした時。

・「裏の裏」面をクリアした時

・小悪魔なお姉さんを倒したとき

 

で、本編をクリアしたらスタッフロールが流れて、ゲームが終わったような雰囲気を醸し出して達成感を演出してくれる。

 

そして、このゲームの面白いところは「ウラ面をクリアする頃にはレベル99が達成できてしまうことで、その先はレベルや強さではなく作戦勝負になっているところ」だ。

 

僕はこのゲームをプレイ中に実はこんな告白をしてる。

 

 

「裏の裏」については僕が今まで体験したことのないRPGで、なんと「レベルがカンストしていることを前提に相手にその時その時で作戦を考えて勝つ」ということだ。

 

装備や強化アイテムをうまく活用して強くすることは可能だが…技も増えないし、力でゴリ押しするのも難しい防御技やHPに設定された相手と戦わないといけなくなる。

 

イメージとしては「艦隊コレクション」に近い。万全の体制で挑んでも、運悪く相手の攻撃が悪いところに当たれば負ける。装備と近代化改修(と言っても後半は「まるゆ」の大量投下)で強化して挑むことはできるが、最終的には作戦を組んで戦わないとそもそも勝ち目がない。

  

よく考え抜かれた対戦システムを時間をかけてプレイしていく。そんなステージを作っておきながら、それを強要しないで出口も設けてある。

難易度やプレイヤーのレベルに合わせた出入り口の設定がとても丁寧で好感の持てる設定になっていた。

 

RPGとしても、フリゲとしてもその魅力を深く知っている作者がそれらのゲーム文化の良さをうまく盛り込んで作られていた。

プレイ中は何度もやり直させられたり、道具屋が貧弱すぎてダンジョンに潜っても撤退を余儀なくされる仕様に頭にきたこともあった。でも、最終的に笑った部分やクリアするまでにした努力について考えてみると「実に幅広い楽しみ方ができるゲームだ」と感じた。

 

お世辞でも媚びているわけでもなく、本当に「フリゲの真髄を見た」と言えるだけの満足感がゲームにあったと思います。

 

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 ちなみに、ACEなどの別の主人公も登場します。

 

 

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