中日新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 特集・連載 > 「われら」の憲法 > 記事一覧 > 記事

ここから本文

【「われら」の憲法】

集団的自衛権を考える 作家・竹田恒泰氏

写真

◆解釈改憲は将来に禍根

 憲法は、国民ひとり一人が幸せになるための道具です。未来の日本に役立つ内容か、不都合だから変えた方がいいのか。常に批判的な目で眺めることが大切。憲法護持と声を上げているだけでは、考える力をそいでしまいます。

 ただ、改憲派の保守といわれる人たちも、本当に保守の視点で考えているのかは疑問です。「押しつけ憲法で、すべて間違い」と、憲法への憎悪感が強いんじゃないですか。壊すことだけに目がいっている。愛国心など道徳観念を盛り込もうというのもおかしい。

 現行憲法はその辺はちゃんと区別して、とても大切なことが書かれている。一三条(幸福追求権)や一条(象徴天皇)などです。私は、重要な原則をしっかり守っていくために、どのように変えていったらいいかと考えます。議論した結果、すべて守るとなるなら、それでもいいでしょう。

 九条は見直すべきだと思っています。文言が分かりにくい。政府が解釈を積み重ねてきたと言っても普通の人には分かりません。集団的自衛権も、明確に書かれていないことで、ときの政府解釈でなし崩しに戦争に加担することが起こりうる。「後方支援だから」といっても、すでに実態は加担しているのと同じです。どのような場合に自衛隊を海外派遣できるのか、原則を憲法に書くべきです。

 安倍晋三首相は信頼していますが、解釈で変えるのは将来に禍根を残します。百歩譲っても、私的な諮問機関の報告ではなく、国民合意をはかってから閣議決定しなければ。せめて、選挙を経るくらいのことが必要でしょう。

 九条の平和主義を正面から語り、文言を変えないことの危うさを訴える方が、遠回りに見えて近道だと思う。「限定容認論」などを持ち出してきても、余計に袋小路に入ってしまう気がします。

 <たけだ・つねやす> 3月まで慶大講師(憲法学)。明治天皇の玄孫(孫の孫)。著書に「語られなかった皇族たちの真実」など。

 

この記事を印刷する

PR情報



おすすめサイト

ads by adingo




中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ