憲法記念日の3日に合わせ、兵庫県内の各地でも集会が開かれた。集団的自衛権の行使容認や憲法改正を狙う安倍政権の動きを「平和憲法の危機」と警戒する護憲派と、「敗戦で押しつけられた憲法を変える好機」と捉える改憲派。神戸市などの自治体が護憲集会の後援を拒否する動きも広がる中、67回目の記念日は、かつてないざわめきに包まれた。
神戸市中央区の神戸芸術センターでは3日、市や市教育委員会が後援を断った「神戸憲法集会」があり、約1100人が集まった。
集会をめぐっては実行委員会が昨年末、市と市教委に後援を依頼したが、市側は「護憲・改憲それぞれ政治的な主張があり、集会そのものが政治的中立性を損なう可能性がある」と後援を拒否した。
集会では内田樹・神戸女学院大名誉教授が講演し、市側の拒否理由に「民間人が言うのはいいが、公務員は憲法99条で憲法尊重擁護義務を負っている」と指摘。その上で「首相や公務員が憲法を軽んじ、70年近くたっても憲法に重みがない。そのことを受け止め、日々実践するしかない」と行動を呼び掛けた。
また、実行委の上脇博之神戸学院大大学院教授は「過去2回、神戸市から後援を受けており後援規定も同じ。運用側の姿勢が変わったということだ」とし、自治体が政権の意向を推し量る傾向が「今後ますます大きくなるのでは」と危惧した。
同様の動きは昨年から相次ぎ、三重県鈴鹿市や長野県千曲市も集会の後援を拒否。後援規定を厳しくする自治体もある。千葉県白井市は2月に憲法集会を後援したが保守系市議に批判され、後援しないケースを「政治的・宗教的な色彩を有する行事」へと広げた。それまでは「色彩」ではなく「目的」だった。
3日は神戸市中央区の市勤労会館でも、自治労などでつくる実行委が護憲集会を開催。参加者約400人を前に、広島市立大広島平和研究所の河上暁弘准教授が「“壊憲”阻止を」と訴えた。(黒田勝俊、宮本万里子)
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2日夜には、神戸市東灘区で、日本青年会議所兵庫ブロック協議会が「この国のあるべき姿を描こう」と銘打った集会を開催。参加した約700人を前に、安倍首相と親しい評論家の金美齢さんが講演した。
金さんは台湾民主化運動の経験を踏まえ、「敗戦後70年近くたつのに、なぜ日本は占領時の自虐史観から抜け出せないのか。与えられた民主主義、憲法だからだ」と主張。安倍首相が解釈変更を目指す憲法9条にも触れ、「『(9条の)おかげで戦争に巻き込まれずにきた』と無邪気に信じる人が多いが、米国に守ってもらっている」と強調した。
その上で「戦争ができるカードを持つことと、カードを使うことは全く違う。自国の安全を他人任せにせず、アジアのリーダーシップを取るべきだ」とし、改憲により、抑止力としての戦力を保持する必要性などを訴えた。(黒田勝俊)
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