憲法解釈見直しへ、憲法改正との関係はどうなっている?

 安倍首相は20日の衆院予算委員会で、集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈見直しについて、閣議決定を経て進めていく方針を明らかにしました。憲法解釈が変更されれば、従来の日本の安全保障政策が大きく変わることになりますが、憲法改正との関係はどのようになるのでしょうか?

 安倍氏は基本的に憲法改正論者と言われており、今回の集団的自衛権の見直しをきかっけに、最終的には憲法9条の見直しに着手したいと考えています。しかし憲法改正ではなく、憲法解釈の見直しを先行することについては、様々な意見が出ているようです。

 そもそもなぜ憲法を改正するのかという理由については、大きく分けて二つあります。ひとつは日本には自主憲法が必要だからというもの。もうひとつは軍事力が行使できるよう憲法9条を改正する必要があるというものです。もちろんその両方という人もいるでしょう。

 日本は戦後、民主的な憲法を制定することで国際社会に復帰することができました。しかし現在の日本国憲法は米国が素案を作ったといわれており、保守的な人々は、これは押し付けられた憲法なので好ましくないと考えています。

一方、憲法制定の経緯はともかくとして、武力の行使を禁じる条文は現在の国際情勢にそぐわないという考えから改憲を求める人もいます。しかし、現在の憲法がある限り武力の行使ができないのかというそういうわけでもありません。集団的自衛権の行使はそもそも民主国家には当然の権利として付与されているものですから、憲法のさらに上位に位置する法の精神という立場に立てば、憲法9条という条文が存在していても、総合的な解釈で集団的自衛権を行使することは、法理論的にそれほど難しいことではないといわれています(法の支配)。

 実際、米国は日本の自衛隊との共同作戦実施を強く望んでおり、憲法改正という大きな手続きを必要としない形で集団的自衛権の行使を容認するよう日本政府に対して求めてきました。安倍政権も基本的にはその方向性であり「個別自衛権の行使は憲法9条で認められているものの、集団的自衛権の行使は禁止されている」という従来の政府見解を見直し、集団的自衛権の行使を容認したいと考えています。